センター概要
本センターは多様な他者(マイノリティー、動物、AIなどの非生物)との未来共生の実現のために、人文・社会科学的英知を結集し、人間のこころについてのミクロ、マクロの多層的な基礎研究に基づいた研究を行う。さらに、それらの社会拡張へ向けた価値を創生し実装へつなげることを目指す。
2025年度事業計画
■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標
これまでの成果を踏まえ、以下の課題に継続して取り組む。
白保遺跡出土人骨の分析,ミャンマー産化石・中国広西ヒト歯化石に関する研究の論文化を行う。
感情と身体の関係性を探る研究,思考の遷移のメカニズム、および気圧変動に関連する研究を継続して実施する。
教育欲求の遺伝環境構造研究・教育格差(社会ゲノミクス)に関する行動遺伝学研究の論文化、ふたごのライフヒストリー研究、火焔型土器製作技術の伝搬様式の研究を行う。
1960年代から1970年代にかけて論争となった批評的言説の分析を中心に「ニュー・ハリウッド」という新たな概念が形成されていく過程を明らかにする歴史的研究を継続する。
多様な乳幼児の認知発達と脳機能発達の縦断研究を継続実施する。
価値創造の評価的側面および創作的側面に関する心の働きに関する研究を行う。
神経発達症における協調運動機能の脆弱性の解明および協調運動機能の評価尺度の開発を行う。
身体と道具の関係に関する運動・知覚面の検討および複数時間スケールにおけるヒト意味構造ダイナミクスの解明を行う。
オセアニア離島環礁社会と気象災害の通史的把握を行う。
認知症等、精神疾患の人類学的研究と、若者のメンタルヘルス国際比較の学際的研究を行う。
■2025年度の新規活動目標と内容、実施の背景
2025年度に新たに、以下の課題に取り組む。
AI(人工知能)の道徳的ステータスを検討する。AIがマイナリティや動物など多様な他者に与える影響や、我々にとってどのような他者なのかを明らかにする。
感情と身体の関係性、思考遷移のメカニズム、気圧変動に関連する研究の複数の実験が終了するため、データ解析を実施した後に,随時,論文化を進める。
火焔型土器製作技術の伝搬様式について、製作手続きの学習様態で比較した実験研究研究を行い、定形性の維持の差異を比較する。
「ニュー・ハリウッド」期に起こった技術的な革新をはじめとした複数の要因を背景にして生まれた「サウンド・デザイン」という新しい概念についての歴史的・理論的研究を行う。
WPIとの共同研究として発達障害児の縦断研究において腸内細菌叢研究を組み込む。
協調運動機能評価尺度の開発すすめ、保険収載に向けた全国データを収集、および小児期の内部モデルに関わる神経基盤の解明を行う。
ヒト意味構造ダイナミクスの文化比較、ノルウェーと日本において、モノリンガルおよびバイリンガルを対象に言語流暢性課題を実施し、ヒト意味構造ダイナミクスの文化比較を、文化や言語を統制した形で実施する。
環境認知のための考古学的方法論の検討を行う。
2024年度事業報告
■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度
多様な他者との関係から、自然環境、遠い将来世代、AI(人工知能)はステークホルダーになりえるかを検討した。
日本、ミャンマー、中国、インドネシア各地域の遺跡の発掘と化石の分析を進め、論文成果として発表した。
感情と身体の関係性を探る研究、および思考の遷移のメカニズムを探る研究などで具体的な成果をあげた。
教示欲求のパーソナリティとの遺伝・環境構造を精緻に分析したほか、教育の進化についての研究対象として縄文土器の伝達様式をモデルとした研究を開始した。
アメリカ・ハリウッドの構造的変化の歴史的研究、ヨーロッパ地域の古代彫刻調査、新出の一次資料からてヒルシュフェルト=マックの色彩論を解明した。
発達障害における多様な乳幼児の認知発達と個体の相互作用の縦断研究を行った。
価値創造に関わる心の働きについて、評価的側面および創作的側面に関する研究を行った。
神経発達症における協調運動機能の脆弱性の解明と、協調運動機能の評価尺度の開発した。
身体と道具の関係に関する運動・知覚面について長期間の道具使用学習実験を進め、複数時間スケールにおけるヒト意味構造ダイナミクスの解明について大規模データの収集と解析プロトコル構築した。
心理学の再現性問題に関する考察を踏まえ、深層学習技術を用いた心理学研究についての理論的検討と実証研究の準備を行った。
クック諸島プカプカ環礁の現地調査にて天水田景観の考古学的発掘した。
認知症・自閉症といった脳・神経疾患の人類学的研究と、若者のメンタルヘルス国際比較を行った。
■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)
主な出版論文数: 75本, 主な雑誌:
Nature Communications, International Journal of Psychophysiology, Consciousness and Cognition, Translational Psychiatry, Plos Biology, Journal of Cognitive Neuroscience, Scientific Reports, Empirical Studies of the Arts, Cortex, PLoS ONE, IEEE TNSRE, Asia Pacific Journal, 精神療法,現代思想,サステナビリティ経営研究,哲学,美学,ユリイカ
学会発表件数(国内・国際) : 144件(うち国内98件、国際46件)
主なイベント
2024年5月13日:センター主催 パーデュー大学・慶應義塾大学国際交流イベント(日吉)
2024年7月18日:センター主催 未来共生デザインセンター キックオフシンポジウム(三田)
2024年12月6日:センター共催 美の心理学研究の先に描いたモノづくり・コトづくりへの挑戦(三田)
2025年1月14日:センター共催 UNESCO 世界論理デー記念オンライン・ミーティング
2025年1月18日:センター共催 『なぜアートに魅了されるのか』(三田)
2025年1月24日:センター共催 慶應赤ちゃんラボセミナーシリーズ:第1回(日吉)
2025年2月21日:センター共催 慶應赤ちゃんラボセミナーシリーズ:第2回(日吉)
2025年3月5日:センター主催 未来共生デザインセンター2024年度末報告会(三田)
メディア取材
読売新聞、毎日新聞、共同通信、USEN、東洋経済オンライン、AERAdot.com、文化放送、インターエフエム、エフエムフジ,中日新聞,日経新聞,Psy Post,芸術新潮,朝日新聞
■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄
特に成果を挙げた点として、次の事項が挙げられる。
遠い未来世代は企業のステークホルダーになりえないことを示し、昨今話題となっている「長期主義(longtermism)」への懸念を示した。
白保遺跡出土人骨が風葬によるものであるとの理解について、国際シンポジウムで発表した。
啓蒙欲求にはナルシシズムとの遺伝的相関があること。火焔型土器は他の土器様式と比較して定形性が著しく高く特殊な学習・教育システムが存在した可能性を示唆。
『アメリカ映画史入門』の刊行、新出の一次資料を通じた推測に依らないヒルシュフェルト=マックの色彩論の直接的解明をした
文法学習に関わる脳機能ネットワークについて新生児から生後半年までの発達を明らかにした論文を出版した。
美術館での鑑賞行動など、高い生態学妥当性のもとでの行動研究を構築・実施した。
自閉スペクトラム症の知覚の特異性が、微細運動機能の低下に影響することを明らかにした。
論文集『分析形而上学の最前線──人、運命、死、真理』の刊行、UNESCO世界論理デーを記念したミーティングを企画・開催した。
深層学習と心理学の関係性について理論的な整理ができた。
プカプカ環礁現地発掘調査にて良好な層位発掘が実施できた。
Lancet のCase Studies in Global Social Medicine にeditorとして出席・シカゴ大との共催で若者のメンタルヘルス国際比較シンポジウムを香港で開催した。
設置期間
2024/04/01~2027/03/31
