センター概要
精神神経疾患の疾病負荷は甚大で、メンタルヘルス抜きで健康を議論することはもはや不可能である。我々は2013年にストレス研究センターを設立し、主に企業におけるメンタルヘルスの問題解決のための取り組みを実施し復職後の就業継続率や労働生産性を改善してきた。マインドフルネス&ストレス研究センターでは、ストレス研究センターの知見を基盤に、マインドフルネスなど新たな心理社会的技法にまで射程を広げること、こうした技法とテクノロジーとの有機的な連携を推進することなどを通して、社会のあらゆる人々が、メンタルヘルスやウェルビーイングを増進できる社会の実現を目指す。
2023年度事業計画
■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標
設立の背景
世界の疾病負荷研究の結果から、精神神経疾患は、非感染症の全疾患負荷のうち、実に28%をも占めることが明らかになっている。これは、がんの11%、心血管疾患の20%を凌駕する甚大な規模である。このことからも、メンタルヘルス抜きで健康を議論することが、もはや不可能であることがわかる。こうした課題の解決のために、我々は2013年にストレス研究センターを設立し、主に企業におけるメンタルヘルスの問題解決のための様々な取り組みを実施してきた。その中でも最も大きな取り組みのひとつは、効果的な復職支援プログラムであるKeio Employee Assistance Program(KEAP)を開発し、それを様々な企業で実施したこと、それにより復職後の就業継続率や労慟生産性を改善したことである。一方で、こうした活動から明らかになってきた課題もいくつか存在する。ひとつは、企業や社会におけるメンタルヘルス向上には、メンタルヘルス不調者への介入だけでなく、一般の人々の真の健康の増進も必要であること、2つ目はこう した一般の人々のメンタルヘルスやウェルビーイングの増進には、マインドフルネスやボジテイブサイコロジーといった新たな精神療法による効果が期待できること、そして3つ目がメンタルヘルスやウェルビーイングの増進には人々の行動変容が必要であるが、それにはテクノロジーと対人的介入とを有機的に連動する必要があることなどである。
設立の目的
そこで我々は、前身となるストレス研究センクーでの成果を基盤に、マインドフルネスなど新たな心理社会的技法にまで射程を広げること、こうした技法とテクノロジーとの有機的な連携を推進することなどを通して、社会のあらゆる人々が、メンタルヘルスやウェルビーイングを増進できる仕会の実現に寄与するために、慶應義塾大学マインドフルネス&ストレス研究センターを設立することとした。
計画
・マインドフルネス-2023年度は、現在進行中の文部科学研究基盤B(職場における簡易型マインドフルネス認知療法の労働生産性への効果)を継続し効果を検証する。また若年者に対するマインドフルネスの効果を検証するためAMEDの 研究資金でマインドフルネス認知療法と認知行動療法の非劣勢試験を開始する予定である(現在申請中)。2024年度以降は科研Bの研究成果をさらに発展させ、職場や社会における人々の真の健康増進の方策を新たな研究課題として研究資金を獲得した上で検証を進める。またこうした研究成果を企業やその他の団体等への導入を通して社会におけるマインドフルネスなどを用いた新たな介入技法の普及を図る。普及のためはまこれを適切に実施できる人材の育成が急務である。そのためMoment Lab合同会社(代表社員 佐渡充洋)と連携し、研修の企画監修および研修効果の検証を行い目的の達成を目指す。このような活動を通して、Oxford Mindfulness Center, Brown Mindfulness Centerなどと眉を並べるマインドフルネスのアジアの拠点となることを目指す。
・産業精神保健(KEAP) -2023年度は現状の復職支援プログラムの精緻化を図り、2023年度、2024年度にはこれを採用する企業の拡大を図る。拡大にあたっては医学部予防医療センター「レジリエンス共創研究寄付講座」三村將特任教授と連携を図りながら、虎麻ヒルズ地区を含めた幅広い企業や団体にアクセスを試みる。
・医工連携-理工学部の満倉靖恵教授と連携し、2023年度は簡易脳波計(感性アナライザー)などの意識や感情をリアルタイムで計測する新たなテクノロジーを用いて、これがメンタルヘルスやウェルビーイング増進に向けた行動変容にどの程度つながるかを探索的に研究する。2024年度はこうした成果をもとに新たな研究資金を獲得した上で効果検証の計画を立て2025年度以降に検証、実装を進めていく。
設置期間
2023/05/01~2028/03/31
