センター概要
目的:現代社会の営みは、数理科学の発展とその応用を抜きにして考えることはできない。数理科学は現代のさまざまな活動に使われて、その重要性は高まるばかりである(たとえば、セキュリティシステムを管理する暗号理論やビッグデータの解析など例をあげればきりがない)。また、その成果がさまざまな分野に応用されるだけでなく、数理科学的な考え方も多くの分野に取り入れられて、現代社会の発展の要となっている。そして、このこととも関連して、慶應義塾大学にはさまざまな学部に数理科学関係の教員が在籍している。慶應義塾に在籍する数理系の教員を結集して、数学固有の問題はもとより、さまざまな研究分野の間の横断研究を行うことおよび国際的活動を行うことが、このセンター設置の目的である。2017年まで活動していた統合数理科学研究センターによって築かれてきた研究活動の基礎に基づいて、これを進化・発展させ、さらなる先端的研究活動を行う。
2023年度事業計画
■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標
慶應義塾内の数理科学研究の発展を目標として、学内での共同研究、若手研究者支援、国際共同研究、さまざまな異分野の連携についてのサポートを推進していきたい。国際研究集会に関しては、2023年度は対面の集会もかなり行われる可能性がある。これらの研究集会に教員や学生をこれからも数多く派遣して、大学院生や若手の教員に対して、国際的に活躍する場を数多く提供していきたい。海外および国内の著名研究者を招いた統合数理科学研究センター主催の談話会、セミナーを行うことにより、慶應義塾内の数理科学研究者達、若手研究者達、大学院生達が気軽に集まれる場所を提供するとともに、数理科学とその周辺分野のさらなる活性化、発展をめざしたい。海外との交流が再開すれば、海外からの研究者も当センターに積極的に受け入れる予定である。談話会を充実することも考えている。
以上のような活動の継続によって、慶應義塾の数理科学研究をさらに発展させたいと考えている。
■2023年度の新規活動目標と内容、実施の背景
今年度も例年行っている行事を通じて着実に国際交流の実績を積んでいく。Boston Keio Tsinghua summer workshop は2023年6月に統計学をテーマとして行うことが決定している。3年ぶりに対面の研究集会として行う予定で、アメリカのBoston大学が会場である。慶應の学生や若手研究者たちに海外での発表の機会を与える予定である。21回目となるUK Japan winter schoolも2023年1月に対面の開催の予定である。また、本センターが支援するPan Asian Number Theory Conferenceは8月に中国のハルピンで行われる予定である。このように、2023年度も国際研究集会や国際セミナーを支援・推進していく。また、海外の第一線で活躍している研究者の講演会をオンライン開催という形も取り入れて行う計画である。このような国際的な企画を行うことにより、学生や若手研究者に国際的な体験をさせ、その国際性を高め、世界に通用する人材を輩出したいと考えている。分野横断型の共同研究もこれまで通り継続して進めて行く予定である。
2022年度事業報告
■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度
国際的な連携活動については、コロナ禍により停滞せざるを得ない状況が少しずつ改善され、2022年度はオンライン開催を含めると、かなりの事業を行うことができた。特にイギリスで行われているUK-Japan winter schoolは、当センター及びその前身のセンターが主催となって20年以上続けている重要な事業であるが、2022年度には幾何・確率・力学系を中心として、特別プログラムを組み、イギリスWarwick大学において行われた。これに加え、ロンドンの日本大使館において、大規模な記念行事を行った。20周年記念行事として、フィールズ賞受賞者や物理学者によるパブリックレクチャーが行われ、イギリスの日本大使も列席して、記念式典が行われた。
次に、アメリカのボストン大学との連携で行われているBoston-Keio summer workshopも10年以上継続してきている重要な催しである。2022年度は慶應義塾大学、アメリカのBoston大学に加え中国の精華大学もメンバーに入り、幾何学をテーマとして、Boston-Keio-Tsinghua summer school をハイブリッド形式で行われた。イギリスのKing's College Londonとのゼータ関数の値についての共同研究など、これ以外の国際連携も進められており、慶應の先端数理科学研究センターを中心にした国際的研究活動は、着実に進んでいる。
■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)
論文(20件)
Algebraic independence of the values of power series and their derivatives generated by linear recurrences, Haruki Ide,Taka-aki Tanaka, and Kento Toyama, Tokyo J. Math Vol. 45, 519 - 545 (2022)、 査読有り
Infinite-dimensional stochastic differential equations and tail σ-fields II: the IFC condition, Y. Kawamoto, H. Osada,H. Tanemura, Journal of the Mathematical Society of Japan Vol. 74. 79 - 128 (2022)、 査読あり
学会発表(11件)
Data analysis focusing on geodesic distance and curvature,Kei Kobayashi, Algebraic Statistics 2022 (University of Hawaii at Monoi)、2022年05月、基調講演
Topological groupoids and C*-algebras,Takeshi Katsura, Boston-Keio-Tsinghua summer school、2022年6月27日、基調講演
主なイベント
2022年9月16日にLondonの日本大使館においてFields賞受賞者などによるPublic Lectures - Celebration for the 20th UK-Japan winter school-が行われた(本センターが主催団体の一つとして開催)
UK Japan winter school, University of Warwick、2022年9月12日~16日
Boston-Keio-Tsinghua summer school、2022年6月27日~7月1日
■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄
数学および数理科学の研究において、国際的な共同研究を推進して、着実に成果を上げることができた。記念すべきこととしては、英国Londonの日本大使館で20周年の記念式典及びPublic Lecturesが行われた。これは、UK-Japan winter schoolの20周年を祝うとても良い催しとなった。
設置期間
2018/09/01~2025/03/31
