センター概要
目的:現代社会の営みは、数理科学の発展とその応用を抜きにして考えることはできない。数理科学は現代のさまざまな活動に使われて、その重要性は高まるばかりである(たとえば、セキュリティシステムを管理する暗号理論やビッグデータの解析など例をあげればきりがない)。また、その成果がさまざまな分野に応用されるだけでなく、数理科学的な考え方も多くの分野に取り入れられて、現代社会の発展の要となっている。そして、このこととも関連して、慶應義塾大学にはさまざまな学部に数理科学関係の教員が在籍している。慶應義塾に在籍する数理系の教員を結集して、数学固有の問題はもとより、さまざまな研究分野の間の横断研究を行うことおよび国際的活動を行うことが、このセンター設置の目的である。2017年まで活動していた統合数理科学研究センターによって築かれてきた研究活動の基礎に基づいて、これを進化・発展させ、さらなる先端的研究活動を行う。
2022年度事業計画
■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標
今年度も例年行っている行事を行う。Boston Keio summer school は、中国の清華大学を加えてBoston Keio Tsinghua summer workshop として行う。UK Japan winter school は特別プログラムを組みWarwick大学で行う予定で、特に20周年行事をイギリスの日本大使館で5月に行う。この記念行事ではフィールズ賞受賞者のM. Heirer氏が講演をし、日本側からは東大の大栗博司氏が講演する。
国際研究集会や国際共同研究を今年度も推進・支援する。海外の第一線で活躍している研究者の講演会をオンライン開催という形も取り入れて行う計画である。このような国際的な企画を行うことにより、学生や若手研究者に国際的な体験をさせ、その国際性を高め、世界に通用する人材を輩出したいと考えている。分野横断型の共同研究もこれまで通り継続して進めて行く予定である。
■2022年度の新規活動目標と内容、実施の背景
慶應義塾内の数理科学研究の発展を目標として、学内での共同研究、若手研究者支援、国際共同研究、さまざまな異分野の連携についてのサポートを推進していきたい。国際研究集会は今後オンライン開催やハイブリッド開催も多くなると思われるが、これらの研究集会に教員や学生をこれからも数多く派遣して、大学院生や若手の教員に対して、国際的に活躍する場を数多く提供していきたい。海外および国内の著名研究者を招いた統合数理科学研究センター主催の談話会、セミナーを行いたいと考えている。このことにより、慶應義塾内の数理科学研究者達、若手研究者達、大学院生達が気軽に集まれる場所を提供するとともに、数理科学とその周辺分野のさらなる活性化、発展をめざしたい。海外との交流が再開すれば、海外からの研究者も当センターに積極的に受け入れる予定である。
以上のような活動の継続によって、慶應義塾の数理科学研究をさらに発展させたいと考えている。
2021年度事業報告
■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度
アメリカのBoston大学と慶應義塾大学先端数理科学研究センターとの間で行われているBoston-Keio summer workshopは今まで10年以上継続してきている重要な催しである。昨年度は新型コロナウイルスの蔓延によって延期になったが、今年度は形式を一新してオンラインで開催された。Boston大学と慶應義塾大学に中国の清華大学を加えて、BU-Keio-Tsinghua Workshop として2021年6月27日から7月1日まで行われた。また、イギリスの諸大学と連携して行っていたUK Japan winter schoolについては、20周年の催しを開催する予定であったが、残念ながらイギリスにおける新型コロナウイルスの蔓延がひどく、再度延期せざるを得なかった。しかしながら、来年度に延期した記念研究集会に関して、先端数理科学研究センターを中心とした資金を獲得にも成功し、幾何・確率・力学系を中心とした特別プログラムの集会を開く予定である。以上のように、アメリカのBoston大学、イギリスのWarwick大学との連携は強化された。また、アジア出身の最先端の数論学者を集めたPan Asian Number Theory Conferenceを2021年12月にオンラインで開催した。イギリスのKing's College Londonとの数論についての共同研究も進んだ。以上のように、国際連携という点および国際的な共同研究という点では着実に成果を上げることができた。
■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)
論文(23件)
M. Kurihara, Notes on the dual of the ideal class groups of CM-fields, Journal de Théorie des Nombres de Bordeaux 33 (2021), 971 - 996, 査読有り
A. Tamura and K. Tsurumi, Directed discrete midpoint convexity, Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics 38 (2021), 1 - 37, 査読有り
T. Iguchi and D. Lannes, Hyperbolic free boundary problems and applications to wave-structure interactions, Indiana University Mathematics Journal 70 (2021), 353 - 464, 査読有り
学会発表(6件)
Masato Kurihara, Some analytic quantities in the arithmetic of elliptic curves, The 9th East Asia Number Theory Conference, 2021年8月23日
■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄
数学および数理科学の研究において、国際的な共同研究を推進して、着実に成果を上げることができた。また、若手研究者の育成に関しても、国際的なオンラインセミナーを通じて、着実に前進し、国際的な人材の育成という観点で成果を上げることができた。
設置期間
2018/09/01~2023/03/31
