センター概要
エネルギー源としての水素の利用が、Economy、Energy、Environment、いわゆる3Eのトリレンマを解決する鍵として脚光を浴びております。私たちは、水素ガスの虚血再灌流障害を抑制する効果に着目して、水素ガス吸入療法が、救命救急医療現場の様々な局面において治療効果を発揮する可能性を示し、水素医療の具現化に向けた先導的・戦略的研究拠点としての役割を果たして参りました。この水素ガス治療開発センターでは、産学連携を基に、非臨床・臨床一体型の研究を推進し、水素ガス、水素医療機器の薬事承認をめざして活動を続けております。
2022年度事業計画
■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標
院外心停止後患者に対する水素ガス吸入療法の有効性の検討HYBRIDⅡ TRIALは、COVID-19 の蔓延に伴って、当該研究を行う医療機関である、救命救急センターをはじめとした地域医療を支える高次救急医療機関は大きな影響を受けており、9月30日をもって新規組入れを停止した。2022年度は、これまで登録された73例(目標360例)を解析して、水素ガスの有効性を評価する。
■2022年度の新規活動目標と内容、実施の背景
スポーツをする前に水素水で水分補給をすると筋肉疲労が軽減され、疲れからくる運動パフォーマンスの低下が抑えられ、疲れにくく持久力も向上することが臨床研究でも示され、多くのアスリートが体調管理を目的に水素水を愛用している。2021年度の水素水を飲用した際の水素の体内への吸収、分布を実証した研究の結果、高濃度の水素溶液を短時間で飲むことは、門脈血中の水素濃度を高め、肝臓に水素を供給する良い方法ではあるが、腸管から吸収された水素は、肺を経由している間に呼気中に排出され、動脈血を介して全身に供給されることはないことが明らかとなった。したがって、飲料水として水素を服用した場合、筋肉疲労が軽減しパフォーマンスが向上するのが事実であれば、水素が直接、骨格筋に作用しているとは考えにくく、臓器間連関を介して、心肺機能に影響を及ぼしていると想定される。2022年度は、臨床、基礎研究でこの点を明らかにすることをめざす。
2021年度事業報告
■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度
昨年度は、水素を単回吸入、持続吸入させた時の薬物動態をブタで検証した結果を報告した。
Pharmacokinetics of a single inhalation of hydrogen gas in pigs.
Sano M, Ichihara G, Katsumata Y, Hiraide T, Hirai A, Momoi M, Tamura T, Ohata S, Kobayashi E.PLoS One. 2020 Jun 19;15(6):e0234626. doi: 10.1371/journal.pone. 0234626.
Low-Flow Nasal Cannula Hydrogen Therapy.
Sano M, Shirakawa K, Katsumata Y, Ichihara G, Kobayashi E.J Clin Med Res. 2020 Oct;12(10):674-680.
今年度は、水素を含有した水(水素水)を飲用したときの薬物動態をブタで検証した。Heliyon. 2021 Nov 11;7(11)
中国・武漢では、新型コロナウイルス肺炎の治療に水素吸入が採用され、重症化予防に一定の効果をあげたことが報告された。一方、新型コロナウイルス感染患者の血液中の好中球は、より高いレベルのNETsを産生しており、肺の傷害や微小血管血栓の形成に深く関与していることが知られている。我々は、NETs形成に着目して研究を行い、水素が活性化された好中球による過剰なNETs産生を抑制することを発見した。J Am Coll Cardiol Basic Trans Science. Jan 12, 2022
■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)
Sano M, Tamura T.Curr Pharm Des. 2021;27(5):650-658. Hydrogen Gas Therapy: From Preclinical Studies to Clinical Trials.
Ichihara G, Katsumata Y, Moriyama H, Kitakata H, Hirai A, Momoi M, Ko S, Shinya Y, Kinouchi K, Kobayashi E, Sano M. Pharmacokinetics of hydrogen after ingesting a hydrogen-rich solution: A study in pigs. Heliyon. 2021 Nov 11;7(11):e08359. doi: 10.1016/j.heliyon.2021.e08359.
Nishi K, Iwai S, Tajima K, Okano S, Sano M, Kobayashi E. Prevention of Chronic Rejection of Marginal Kidney Graft by Using a Hydrogen Gas-Containing Preservation Solution and Adequate Immunosuppression in a Miniature Pig Model. Front Immunol. 2021 Feb 17;11:626295. doi: 10.3389/fimmu.2020.626295.
Tamura T, Sugai K, Fujisawa M, Ichihara G, Katsumata Y, Endo J, Yoshizawa J, Homma K, Suzuki M, Kobayashi E, Sasaki J, Hakamata Y, Sano M. Blood Pressure-Lowering Effect of Daily Hydrogen Gas Inhalation in Spontaneously Hypertensive Rats.Diagn Pathol Open 2021, 6:4
Shirakawa K, Kobayashi E, Ichihara G, Kitakata H, Katsumata Y, Sugai K, Hakamata Y, Sano M., H2 Inhibits the Formation of Neutrophil Extracellular Traps. J Am Coll Cardiol Basic Trans Science. Jan 12, 2022. Epublished DOI: 10.1016/j.jacbts.2021.11.005
学会発表 5回
第21回日本抗加齢医学会総会 シンポジウム
第94回日本生化学会大会 シンポジウム
脳心血管抗加齢研究会第17回学術大会 シンポジウム
日本機能水学会第19回学術大会 特別講演
第10回日本分子状水素医学生物学会大会 特別講演
プレスリリース 2件
世界で初めての水素水を飲用した際の水素の体内への吸収、分布をみた実証実験
高濃度の水素溶液を短時間で飲むことで、門脈血中の水素濃度を50倍に上昇させることが出来る。(2021年11月30日)
水素は活性化した好中球のNETs産生を抑制し炎症反応を改善する。(2022年1月14日)
■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄
世界で初めて水素水を飲用した際の水素の体内への吸収、分布を実証した。高濃度の水素溶液を短時間で飲むことは、門脈血中の水素濃度を高め、肝臓に水素を供給する良い方法であると考えられた。
水素がphorbol-12-myristate-13-acetate(PMA)やカルシウムイオノフォアA23187で刺激した際の好中球細胞外トラップ(Neutrophil Extracellular Traps, NETs)の産生を抑制することを明らかにした。さらに、マウスおよび高齢のマイクロブタにリポ多糖(LPS:Lipopolysaccharide)で敗血症を誘発した際に、水素吸入療法が、肺におけるNETsの産生を抑制することを確認した。
設置期間
2017/04/01~2027/3/31
メンバー
プロジェクトメンバー


