慶應義塾

先端数理科学研究センター

公開日:2025.06.30
KGRI

センター概要

目的:現代社会の営みは、数理科学の発展とその応用を抜きにして考えることはできない。数理科学は現代のさまざまな活動に使われて、その重要性は高まるばかりである(たとえば、セキュリティシステムを管理する暗号理論やビッグデータの解析など例をあげればきりがない)。また、その成果がさまざまな分野に応用されるだけでなく、数理科学的な考え方も多くの分野に取り入れられて、現代社会の発展の要となっている。そして、このこととも関連して、慶應義塾大学にはさまざまな学部に数理科学関係の教員が在籍している。慶應義塾に在籍する数理系の教員を結集して、数学固有の問題はもとより、さまざまな研究分野の間の横断研究を行うことおよび国際的活動を行うことが、このセンター設置の目的である。2017年まで活動していた統合数理科学研究センターによって築かれてきた研究活動の基礎に基づいて、これを進化・発展させ、さらなる先端的研究活動を行う。

2021年度事業計画

■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標

今年度は、昨年度から延期された多くの企画を行うことが最初の目標である。例年行っている Boston Keio summer school は、中国の清華大学も加えて発展した形で行うことが計画されている。テーマは幾何学である。また、20周年を記念したUK Japan winter school は、幾何・確率・力学系を中心として、特別プログラムを組み、Warwick大学において行うことを計画している。2020年7月に京都大学数理科学研究所で開催予定であった、国際整数論研究集会 Pan Asian Number Theory Conference は、2021年12月に延期となった。アジア出身で世界の第一線で活躍する研究者を多数招へいする予定である。たとえば、数学のノーベル賞であるフィールズ賞を受賞したベトナムの Ngo 氏も招聘することになっている。この研究集会の開催に関しては、先端数理科学研究センターもその中心的役割と担うことになっている。

また、海外の第一線で活躍している研究者の講演会をオンライン開催という形も取り入れて行う計画である。このような国際的な企画を行うことにより、学生や若手研究者に国際的な体験をさせ、その国際性を高め、世界に通用する人材を輩出したいと考えている。分野横断型の共同研究、国際的共同研究などもこれまで通り継続して進めて行く予定である。

■2021年度の新規活動目標と内容、実施の背景

慶應義塾内の数理科学研究の発展を目標として、学内での共同研究、若手研究者支援、国際共同研究、さまざまな異分野の連携についてのサポートを推進していきたい。国際研究集会は2021年度はオンライン開催やハイブリッド開催も多くなると思われるが、これらの研究集会に教員や学生をこれからも数多く派遣して、大学院生や若手の教員に対して、国際的に活躍する場を数多く提供していきたい。海外および国内の著名研究者を招いた統合数理科学研究センター主催の談話会、セミナーも積極的、定期的に行うことにより、慶應義塾内の数理科学研究者達、若手研究者達、大学院生達が気軽に集まれる場所を提供するとともに、数理科学とその周辺分野のさらなる活性化、発展をめざしたい。海外との交流が再開すれば、海外からの研究者も当センターに積極的に受け入れる予定である。2021年度は談話会を充実することを特に推進したいと考えている。

以上のような活動の継続によって、慶應義塾の数理科学研究をさらに発展させたいと考えている。

2020年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

アメリカのBoston大学と慶應義塾大学先端数理科学研究センターとの間で行われているBoston-Keio summer workshopは今まで10年以上継続してきている重要な催しであり、本年度も計画されていたのだが、大変残念なことにCOVID-19の蔓延によって、サマースクールを開催することは不可能となり、計画は次年度に延期されることになった。また、イギリスの諸大学と連携して行っていたUK Japan winter schoolについては、今年度は20周年ということもあり、先端数理科学研究センターを中心にして資金を獲得し規模を大きくして、幾何・確率・力学系を中心として、Warwick大学において特別プログラムGeometry, Stochastics & Dynamics -Celebrating 20 years of UK-Japan Winter Schools UK Japan を開催の予定であったものの、5月に企画していたこの研究集会も延期せざるを得なかった。以上のように、今年度は多くの主要な計画が延期となり、十分な成果をあげることができなかった。しかしながら、今後の計画を立てる中で、アメリカのBoston大学、イギリスのWarwick大学との連携は強化された。また、イギリスのKing's College Londonとの数論についての共同研究などが進み、国際連携という点および国際的な共同研究という点では着実に成果を上げることができた。

■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)

論文(29件)

David Burns, Masato Kurihara and Takamichi Sano, On Stark elements of arbitrary weight and their p-adic families, Development of Iwasawa Theory -- the Centennial of K. Iwasawa's Birth, Advanced Studies in Pure Mathematics 86 (2020), 113 - 140, 査読有り

Yong Moo Chung and Hiroki Takahasi, Large deviation principle for S-unimodal maps with flat critical points, Journal of the Mathematical Society of Japan (2021), 査読有り

Naonori Kakimura, Naoyuki Kamiyama and Kenjiro Takazawa, The b-branching problem in digraphs, Discret. Appl. Math. (2020), 283 565 - 576, 査読有り

Kenichi Bannai, Kei Hagihara, Shinichi Kobayashi, Kazuki Yamada, Shuji Yamamoto, and Seidai Yasuda, Category of mixed plectic Hodge structures, Asian J. Math. (2020) 24-1, 31 - 76, 査読有り

他25件

学会発表(9件)

  • Masato Kurihara, Survey on the Brumer-Stark conjecture and the proof by Dasgupta and Kakde, 代数的整数論とその周辺, 2020年12月3日

■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

例年行っている大規模な企画を行うことはできなかったが、数学および数理科学の研究において、国際的な共同研究を推進して、着実に成果を上げることができた。また、若手研究者の育成に関しても、国際的なオンラインセミナーを通じて、着実に前進し、国際的な人材の育成という観点で成果を上げることができた。

設置期間

2018/09/01~2023/03/31

メンバー

プロジェクトメンバー

研究代表者

栗原 将人

教授理工学部代数学、整数論

厚地 淳

教授理工学部拡散過程、マルチンゲール、幾何学的関数論、ネヴァンリンナ理論

井口 達雄

教授理工学部解析学基礎、数学解析