慶應義塾

KGRI Grant 2026: 新規医療デバイス創出に向けた3D Point-of-Care基盤の構築

公開日:2026.07.13
KGRI

研究概要

3D Point of Care(3D PoC)は、患者の近くで3Dプリンティングやデジタル可視化技術を活用し、個別化医療を支援する新しい診療基盤である。解剖学的モデル、手術ガイド、医療機器設計、AR/VRによる三次元可視化を通じて、術前計画、経カテーテル治療のシミュレーション、患者・医療者教育などへの応用が進み、診断精度向上や手術時間短縮、合併症低減が期待されている。

本プロジェクトでは、3D PoC技術を心臓血管外科、呼吸器外科、脳神経外科、歯科口腔外科など複数診療科へ展開し、VRモデルや3Dプリントモデルが術前計画、デバイス選択、手技シミュレーションにどの程度有用かを検証する。治療時間、術者の空間認識、患者理解度、臨床アウトカムへの影響を多面的に評価し、学際的な臨床エビデンスを構築する。

さらに、現行技術の課題である「触れられない三次元情報」に対し、本学の強みであるハプティクス技術との融合を進める。メディアデザイン研究科や理工学部研究者と連携し、VR空間で解剖構造やデバイス操作時の力覚・触覚を再現する次世代シミュレーション環境を構築し、従来にない没入感と実践性を提供する。

本研究を通じて、学内外の医療者・研究者が連携する「3D PoCセンター」設立に向けた基盤形成を進め、科研費基盤研究BやAMED事業への発展的展開を図り、日本における3D PoC研究・教育・臨床応用の中核拠点構築を目指す。

2026年度事業計画

■2026年度の新規活動目標と内容、実施の背景

2026年度は、心臓血管外科・放射線診断科・呼吸器外科・歯科口腔外科・脳神経外科を対象に、3D PoCセンターを立ち上げ、VR/3Dプリントを用いた術前計画とデバイス設計の臨床研究を開始する。シンシナティ小児病院等との国際連携により技術導入と人材育成を進め、CT/MRIに基づく3Dモデル作製とVR展開、3Dプリンティングを体系化する。Mimics、VR3S等のソフトウェア、さらには院内プリンタを活用し、臨床スタッフとの反復的レビューでモデル精度と運用プロセスを最適化する。術者の空間認知、モデルの解剖学的正確性、術前カンファレンスの妥当性を評価し、手術時間・合併症・入院期間などの臨床アウトカムを過去症例と比較する。これらの成果を基盤として、3D PoCの学際的エビデンス構築と科研費・AMEDへの発展的展開を図る。

メンバー

研究代表者

小平 真幸

特任講師医学部先天性心疾患画像シミュレーション