研究概要
現代のデジタル技術は、コンピュータと情報、そしてインターネットを基盤とし、グローバルに連結されたサイバー空間と、人間社会が形成する国際空間との完全な融合を実現しました。この融合は、自然科学の知見を活用し、新たな道具を生み出すことで、社会の進化と文明の形成に寄与しています。
新技術の導入と情報の共有・流通は、経済や技術の飛躍的発展を促進すると同時に、人々の心や感情に深い影響を与えています。こうしたデジタル技術によって生み出された文明を「サイバー文明」として定義し、テクノロジーの構造を正しく理解しながら、未来社会の設計と構築に貢献することを目的とした研究を行います。
2026年度事業計画
■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標
1. サイバーセキュリティ研究センター
株式会社日立製作所と共同研究「重要インフラの重要な時代におけるセキュリティを支えるプラットフォームの実現」を実施予定。データ流通基盤および電力システムを対象としたサイバーセキュリティ対策の研究を進める。特に、分散型電源(DER)のセキュリティ確保に関するガイドライン策定および技術検証を行い、国際相互認証に基づくDFFT実現に向けたデジタルトラストの技術基盤と制度提言を推進する。
また、株式会社日立製作所および中部電力株式会社と分散型電源のサイバーセキュリティ対策に係る共同研究を実施予定。分散型電源のセキュリティのエコシステムの確立を目指す。
さらに、研究成果の国際発信として第16回サイバーセキュリティ国際シンポジウムを主催する(2026/10)。
2. アジア太平洋レジリエント社会
APRS では、アジア太平洋地域のレジリエント社会の構築のために、アジア太平洋の研究教育ネットワークの構築、次世代の人材育成、国際共同研究の推進、オープンサイエンスの推進などの具体的なアクションを設計実装してきた。2026年は2025年に策定した中期プランに従い研究を進めていく。
[国際連携強化]
● 2026年度は、University of Hawaiʻi(UH)、Royal University of Bhutan(RUB)との連携推進のため、それぞれとMoUを締結し、活動の促進を図る。
[次世代人材育成 - インターネット技術者人材育成]
● APIE Programは、オンライン講義、Camp、Advanced Camp を組み合わせた段階的な教育モデルを継続し、インターネット基盤分野を担う人材育成を推進する。
● 対面型プログラムの機会拡大に向け、地域分散型 Camp の試行など新たな運営モデルの検討を進める。
● 参加国・地域の拡大に伴う VISA 取得や国際移動に関する運用支援の強化を図り、国際的な教育プログラムを安定的に実施できる体制の整備を進める。
● APRS内外の関係者と連携しながら、次世代のインターネット人材育成に向けた取り組みを継続・発展させていく。
● APIE Programを通じて、学習者が国際的なインターネット技術・運用に関わる国際コミュニティに参加し、自らのキャリアを主体的に設計できる環境の整備を進めるとともに、APRSコミュニティ内外の関係者との連携を通じて、次世代のインターネット人材育成に向けた取組を継続・発展させていく。
[次世代人材育成 - EBA (Evidence-Based Approach)]
● 2026年2月に慶應主催の羽田イノベーションシティフィールドワーク、6月にChulalongkorn University (CHULA)主催のタイ・カンチャナブリにおけるフィールドワーク、8月に水俣フィールドワークを、11月にUniversity of the Philippines Diliman (UPD)主催のフィールドワークを実施予定であり、2026年も引き続き海外学生の日本(慶應義塾大学)への受け入れとパートナー大学主催のアジア地域でのフィールドワークへの学生の派遣を行う。
● パートナー大学主催のフィールドワーク提案の採択プロセスを見直し、2027年実施予定のフィールドワークから、フィールドワーク提案の募集時期を年に2回定め、提携教育機関の担当教員も提案内容の評価に加わることで公平な採択プロセスを通じた多様なフィールドワーク実施を目指す。
● 2026年9月にインドネシア、バンドンで開催予定のSOI Asia Meeting後に、Institut Teknologi Bandung (ITB)主催でFaculty Meeting の実施を予定しており、引き続きパートナー大学と連携しながら、今後もEBAフィールドワークを主軸とした包括的な教育プログラムの開発・強化に注力する。
● パートナー大学とともに、学生のプログラム参加のための海外渡航、フィールドワーク中の安全確保のための危機管理体制の整備、ガイドライン策定にも着手する。
[オープンサイエンスと研究データ基盤の構築]
2026年は、プロジェクトの核として「3Dデータの利活用」に焦点をあて、技術的・学術的なワークフローの確立と、その標準化を行う予定である。具体的には以下を計画する。
● 3Dデータの利活用を軸に、多様な文化資源に対応可能なデータ標準化、メタデータスキーマに関する調査を継続し、共通ガイドライン策定に向けた議論を行う。
● 開発中のデジタルアーカイブの初期バージョンを公開する。
● プロジェクトの概要、目的、進捗を発信するためのウェブサイトおよび情報共有プラットフォームを構築する。
● DHASHでは今後、3Dデータを中核に据えたマルチモーダルな展開、特に教育現場や地域コミュニティへの還元を目的としたデジタルコンテンツのあり方について、多角的な検討を進めつつ、各地域での持続的な運用体制を構築・支援していく。
[学習履歴と個人認証基盤]
コミュニティで実施されるフォーマルおよびノンフォーマル教育プログラムの受講者が、その学習履歴を在学中に限らず、生涯にわたり記録・収集し、第三者に証明できる仕組みとして、デジタルバッジプラットフォームINXIGNIA(インシグニア)を開発し運用している。2026年度は以下の計画を立てている。
● 現在は Open Badge 2.0 を基盤としたシステムが稼働しているが、より分散型で信頼性の高い認証基盤の構築に向け、SFCと連携しながら、DID/VC(Decentralized Identifier / Verifiable Credential)を活用した新システム(INXIGNIA v2)の開発を進める。
● DIDベースの信頼ネットワークの運用を進めるとともに、各パートナー機関が自身の秘密鍵を管理する分散型運用体制への移行や、鍵ローテーションを含むセキュリティ運用の整備を進め、教育活動における学習成果の信頼性の高い証明基盤としての活用を拡大する。
[アジア太平洋地域のグローバル共同研究拠点の確立 - CBR]
CBRでは、2025年に CBR Seedを開始した。CBR Seedは、APIE CampやEBA Fieldwork の修了学生を対象に、国境を越えたチームを形成し、各地域社会が抱える課題に取り組むことを目的としたプログラムである。2026年度は、CBR Seed をはじめ、APIE、EBA、DHASH などの関連プログラムと連携した CBR プロジェクトの実施を予定している。
[Community Engagement & Outreach]
本取り組みの推進には、パートナー大学に加え、APAN、APNICなどアジア太平洋地域の関連組織との連携が不可欠であることから、パートナー機関との定期的なミーティング、コミュニティ会議への参加・発表等を通じて、継続的な情報共有と意見交換を行っていく。
3. 日ASEAN分散電源サイバーセキュリティプロジェクト
2024年7月、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)と連携した、ASEANにおける分散型エネルギーシステム(Energy Resource Aggregation Business、以下ERAB)の普及に向けた、セキュリティアセスメント手法の開発、関連制度及び関連技術のモデリングの研究プロジェクトとして始動した。本活動は、2023年12月のアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳共同声明は、「地域間連携及び系統柔軟化の拡大」、「信頼性の高い再生可能エネルギーベースのマイクログリッド化」を進めることに合意しており、本事業は、日本が事務局を務めるアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)イニシアティブに基づくプロジェクトの一つとして位置づけられている。2025年度研究活動終了が2026年5月末という形態であるが、ERIAからの活動に対する評価は高く、継続が見込まれる。
4. デジタルサイバー安全保障プロジェクト
OT/IT混在環境を模擬する動的ペネトレーションテスト基盤を活用し、重要インフラ事業者と連携してインフラシステムのレジリエンス評価手法の確立を目指す。さらに、OT脅威インテリジェンスを自律的に生成・分析する脅威情報生成環境を構築し、重要インフラに対する継続的なリスク評価および対策立案の高度化を図る。
5. 大規模広域分散環境の構築
これまで、大規模な広域分散環境を実現するために、さまざまな活動を行なってきた。インターネットは現在では生活の基盤となり、その重要性は疑問の余地が無い。一方、偽誤情報に関する問題を含め、流通される情報の質について疑問が呈されている状態は続いており、インターネットを安心して使えるようにする努力は継続する必要がある。これはインターネットを広く普及させてきた我々の責務でもある。また、世界的な情勢を鑑みるに、基盤としてのインターネットのより安定した長期的な運用への努力を欠かすことはできない。さらに、量子インターネットや宇宙インターネット等、新たな領域への取り組みも重要である。従って、今後も、自律分散システムの地球規模のグローバルでの基盤を含む環境構築運用とその上でのアプリケーション展開についての研究を長期的に継続するのが重要である。
6. メディカルインクルージョン
インターネットを基盤とするサイバー文明のもとで、地球規模で誰もが適切な医療・健康サービスにアクセスできる体制を構想することは、今後の医療・福祉政策にとって不可欠なグローバル課題である。これまでの活動では、「メディカルインクルージョン」の概念化や、2050年を見据えたビジョンおよび指標の骨格を提示してきたが、今後も時間をかけた緻密な検討が必要である。2026年度は、これまでの知見を基に、より具体的な政策・制度設計につながる実践的知見へと引き上げることを目標とする。
また、メディカルインクルージョンの到達に至る過程を、過去・現在・未来とつなぐ「サイバー文明の創生」の前年度からの文脈では、David Farberをはじめとするインターネット黎明期のレジェンドと、若手研究者や学生との国際的な交流から「サイバー文明の未来デザインプロジェクト(Future of Cyber Civilization Design Project)」が萌芽した。人間と医療のあり方の変容を理解するためにも、引き続きより広い文脈でサイバー文明の生成過程と未来像を整理することが重要である。2026年度は、医療分野にとどまらず、より広範な文明論的枠組みからサイバー文明の未来ビジョンを検討する基盤づくりを目標とする。
7. 台日半導体産学人材育成制定着計画
2025年度に構築した日台の産官学ネットワークを基盤として、具体的な人材定着モデルの社会実装が求められている。また、半導体地政学の変動に伴い、継続的な政策調和と研究成果のアップデートが不可欠である。
8. センターとしての継続根拠と目標
デジタル技術の環境が社会の基盤として急速に発展するとともに、その社会的、人間的な課題も広がっている。これをサイバー文明としてとらえることを共通の理念として、それぞれの具体的な課題の議論に取り向く。その意味で、各グループの活動は順調に成果を上げている。
各グループで設定されている目標を達成するとともに、KGRIとして、CCRCとして、成果が上がり、法学研究科、医学研究科、メディアデザイン研究科、理工学研究科、政策・メディア研究科の連携体制による成果は全塾の成果となることも目標である。
■2026年度の新規活動目標と内容、実施の背景
1. サイバーセキュリティ研究センター
本センターは、産学官連携による研究・実証・国際発信を通じて、日本のサイバーセキュリティおよびデジタルトラスト分野の発展に貢献する。
また、国際連携の象徴的活動として、第16回サイバーセキュリティ国際シンポジウムにおいてデイビッド・ファーバー客員教授の追悼式を実施する予定である。
2. アジア太平洋レジリエント社会
APRSは、2021年4月1日より慶應義塾大学 KGRI CCRC 内のサブプロジェクトとして始動し、アジア太平洋地域における教育研究ネットワークの発展およびコミュニティ連携の推進に向けた活動を展開している。これまでの5カ年のデザインフェーズを通じて、同地域における教育研究ネットワークおよびコミュニティ連携の基盤形成を進めてきた。
2026年度は、この成果を踏まえ、活動をさらに発展・拡張する段階として新たな取り組みを進める。特に、太平洋地域との連携強化および APRSが事務局を務める SOI Asia 設立30周年を背景として、地域間の協力関係を一層強化する。30周年の節目には、設立当初からのパートナーである Institut Teknologi Bandung (ITB) と共にインドネシア・バンドンにおいてパートナー会議および記念式典を開催し、パートナー大学の学長等の代表が一堂に会する予定である。本会合では、これまでの SOI Asiaの参画を通じたこれまでの成果を共有するとともに、今後の地域協力とパートナーシップの方向性を示すBandung Declaration の発出を予定している。
3. 日ASEAN分散電源サイバーセキュリティプロジェクト
具体的には、2026年に以下の活動を予定している。
● 日ASEANの分散型エネルギーシステム(ERAB)に関するサイバーセキュリティ確保の指針等の策定、各国の具体的な取組に落とし込むためのキャパシティビルディング、各国大学におけるセキュリティアセスメントを目的に、バンドン工科大学(インドネシア)、マレーシア工科大学(マレーシア)、国立研究機関NECTEC(タイ)に研究テストベッドを設置し、リスクアセスメント研究の継続
● SOI ASIA(School on Internet Asia)と連携しながら、日ASEAN各国の産官学の有識者を集めたサイバーフィジカルシステムのセキュリティ設計に関する産官学のコミュニティを維持・発展させる
● CCRCが開発に貢献した最新の分散エネルギーシステムの国際標準 IEC SRD63443-1に準拠した、国際標準連携型の研究開発を推進
● 成果物としてERIAの白書を発行
4. デジタルサイバー安全保障プロジェクト
本プロジェクトは、OT/IT混在環境を対象とした動的ペネトレーションテスト技術の研究開発を推進し、重要インフラのサイバーレジリエンス評価手法の確立を目指す。さらに、重要インフラ事業者との実証を通じて、実運用に適用可能な評価基盤の構築を進める。
動的ペネトレーションテスト技術の研究開発を加速するため、OTおよびサイバーセキュリティ分野の専門家によるアドバイザリーボードを設置し、評価手法、実証環境、研究ロードマップの高度化を図る。
5. 大規模広域分散環境の構築
自律分散システムの地球規模のグローバルでの基盤を含む環境構築運用とその上でのアプリケーション展開についての研究を行う。
取り組む領域として、特に以下にフォーカスする: 1) 広域基盤構築とオペレーション、2)広域基盤構築とオペレーションに向けた教育、3) 信頼のある情報流通視点でのトラスト構築とそのガバナンス、4) インターネットガバナンス、5) 量子インターネット、6) 宇宙インターネット、7) 様々な国際標準化、8) アプリケーション構築
これらを様々な議論と活動をグローバルに展開する。一方、日本を起点としたインド太平洋領域における学術研究ネットワークの発展およびに取り組んでおり、これを継続する。
今後ともインターネットの基盤に関連する技術から応用に至る様々な研究活動を推進するとともに、他のプロジェクトとの連携をしながら、新しい研究テーマや研究プロジェクトの創生に寄与していく。
6. メディカルインクルージョン
成熟したサイバー文明の社会像では、インターネットを基盤として地球規模で誰もが最適な健康・医療を享受できる環境が想定される。このため、引き続きメディカルインクルージョンの姿を検討する。2026年度は、書籍化などを通じてこれまでの成果をより広く、わかりやすく社会に発信する。また、2050年実現に向けたロードマップの精度を高めるため、専門家との対話や交流を通じ、前年度のメディカルインクルージョンビジョンをアップデートし、より実践的な内容へと進化させる。
「サイバー文明の未来デザインプロジェクト」では、メディカルインクルージョンに至る、過去・現在・未来における人間と医療のあり方を理解するためにも、より広い文脈でサイバー文明の生成過程と未来像を整理する。2026年度は、テクノロジーの進化と社会制度の変容を統合した文明論的フレームワークを検討するための基盤づくりを目標とする。具体的には、インターネットの黎明期から連続するテクノロジーと社会の進化シナリオをテーマ別に策定する。
7. 台日半導体産学人材育成制定着計画
2025年度に引き続き、SEMI等の国際的なプラットフォームや専門誌を活用し、日本が主導する日台協力の価値を国際社会に発信し続ける。
2025年度事業報告
■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度
1.サイバーセキュリティ研究センター
・株式会社日立製作所と共同研究「重要インフラの重要な時代におけるセキュリティを支えるプラットフォームの実現(2)」を推進し、デジタルインフラ、エネルギーインフラの2テーマにつき、データ流通基盤や分散型電源シミュレーションのテストベッドを構築し、基盤システムに対する攻撃リスク評価、セキュリティ対策の有効性検証、制度設計に関する政策提言を行った。
・株式会社日立製作所および中部電力株式会社と共同研究「分散型電源分野におけるセキュリティ対策に関する研究」を実施し、分散型電源のセキュリティのガイドライン開発、妥当なセキュリティ対策を客観的に検証する技術の有効性を検証した。
「第15回サイバーセキュリティ国際シンポジウム」主催・講演 (2025年10月)を4日間にわたり実施した。国内外の産官学の関係者約450名が参加し、重要インフラ防護、国家サイバーセキュリティ政策、国際協力に関する議論が行われた。本シンポジウムは、日本における産官学連携のサイバーセキュリティ議論の重要なプラットフォームとして機能した。
2.アジア太平洋レジリエント社会
APRS (Asia Pacific Resilient Society) は、KGRI 内 CCRC(Cyber Civilization Research Center)で、2021年4月にスタートした Working Group である。
『アジア太平洋のレジリエント社会の構築』をミッションとして掲げ、アジア13カ国20 大学・研究組織と共同で進める『SOI Asia』の中核となる研究および本部機能を担い、アジア太平洋地域の研究教育を推進している。アジア太平洋の研究教育ネットワークの構築、次世代の人材育成、共同研究の推進、オープンサイエンスの推進などの具体的なアクションを設計し、現在パートナー大学とともに推進している。
[国際連携強化]
● 2025年7月、ベトナムのインターネット関連組織Vietnam Internet Network Information Center (VNNIC) とベトナムにおけるインターネット工学教育の連携強化に関するMoUを締結した。
● 2025年5月National University of Laos (NUOL)訪問を契機に、しばらくSOI Asiaの活動に参加していなかったNUOL11月にMoUを再締結、活動を再開した。
●SOI Asiaにとっては初めての国であるブータン王国から、Royal University of Bhutan(RUB)のメンバーが第60回 SOI Asia 会議に初めて参加した。連携推進のためMoU締結に向けて具体的な協議を開始。
●2014年よりEBAで協力してきたUniversity of the Philippines Diliman(UPD)、University of Malaya(UM)が、2025年度からSOI Asia 会議にも参加するようになった。今後EBAだけでなく、他のプログラムへもその参加を広げていくことが期待されている。
[研究教育ネットワーク基盤]
●2025年11月、Asia Pacific Internet Development Trust(APIDT)とGoogle Cloudは、太平洋地域の研究・教育ネットワーク(R&Eネットワーク)の拡充に向けた協定を締結した。これにより、Arterial Research and Education Network in Asia Pacific(ARENA-PAC)を通じ、太平洋地域の大学・研究機関に対して、高速かつ信頼性の高いネットワーク環境を提供する体制が強化される。
●2025年12月、Arterial Research and Educational Network in Asia Pacific(ARENA-PAC)は、戦略的な大きな節目として、太平洋地域における広帯域・高容量の研究教育ネットワーク構築を、ARENA-PACの取り組みの一環として正式に開始することを発表した。
[次世代人材育成 - インターネット技術者人材育成]
●APIE Programでは、オンラインを中心としたCore Course、対面での実践的学習を行うAPIE Camp、さらに高度なトピックを扱うAPIE Advanced Campにインターンシップを組み合わせた教育体系のもと、2025年は、プログラムのアップデートとそのオペレーションの両面において大きな進展が見られた。
●APIE Programのさらなる発展と学習機会の拡大を目的として、2025年は新たなパートナー大学における導入に向けた取り組みを実施、東ティモールでは、National University of Timor-Leste (UNTL)において、APIE学習者向けのワークショップを実施した。
●一般に向けたインターネット理解の向上を目指し、2023年にリリースした“Understanding the Internet” に続き、同じく CCRC Co-director 村井純教授がEducator を務める“Participating in the Internet” オンラインコースを開発し、7月にリリースした。
[次世代人材育成 - EBA (Evidence-Based Approach)]
●2025年7月に Syiah Kuala University (USK)主催のインドネシアにおけるフィールドワーク、8月に水俣フィールドワークを実施。2025年も海外学生の日本 (慶應義塾大学)への受け入れとパートナー大学主催のアジア地域でのフィールドワークへの学生の派遣を行った。
●EBAフィールドワークに参加する前の学生を対象に、エビデンスに基づくリサーチ・マインド、基本的なデータの取り扱いと探索スキル、リサーチ・コミュニケーション・テクニックを習得することを目的として、2024年にパイロット実施したEBAオンライン共通コースを改良し、“Introduction to EBA Course”として、2025年度からフィールドワーク事前学習コンテンツとして本格的に導入した。
●2025年5月Chulalongkorn University (CHULA)主催で教員会議を実施し、パートナー大学と連携しながら、EBA フィールドワークを主軸とした包括的な教育プログラムの開発と互いの学生が参加しやすいプログラムの枠組みの構築を目標として、意見交換を行った。また、CHULA の教員や学生を対象に国際EBAシンポジウムを開催し、EBAプロジェクトがレジリエントな未来社会の構築にどのように貢献するかについてのビジョンが共有された。
[オープンサイエンスと研究データ基盤の構築]
●国際的にOSの推進が求められているなかで、多様な文化、言語や歴史を持つアジア太平洋地域を対象に、文化資源を共有・活用するためのデジタル環境を開発することで、デジタル人文学分野における文化資源データの研究・教育利用を促進するための連携拠点となることを目指し、Digital Humanities Asia and Science Hub(DHASH) をプロジェクトの正式名称として策定した。
●SOI Asiaを研究フィールドとし、パートナー大学との共同研究を基本としながらも、相互に協力して文化資源のデジタル化によるOSを推進し、様々なかたちで協力活動を奨励、発展させていくことを確認することを目的として、2025年4月1日から2年間を期限として、慶應義塾ミュージアム・コモンズと共同研究覚書(MoU)を締結した。
[学習履歴と個人認証基盤]
●2025年度も引き続き、本コミュニティで実践される様々なフォーマル・ノンフォーマル教育プログラムを受講する人がその受講履歴を在学中だけでなく生涯を通して記録、収集し、証明していくためのデジタルバッジプラットフォーム INXIGNIA(インシグニア)を開発し運用している。本年度は14機関で900を超えるバッジが発行された。提携機関では、SOI Asia Programにおける学生の達成度を示す証拠として INXIGNIA(インシグニア) バッジの認知度が上がっており、これは認証システムに対する機関の受容度が高まっていることを反映している。
[アジア太平洋地域のグローバル共同研究拠点の確立 - CBR]
●新たなCommunity Based Research(CBR)の取り組みであるCBR Seedを立ち上げ、学生に向けて、統合的な学習パスを明示した。CBR Seedは、実社会での展開と地域社会との連携に向けた応用プロジェクトの開発において、初期段階の研究者を支援するもので、これまで、EBA、APIEがそれぞれ独自にアプローチしてきた学生や関係教員間の連携、協業の機会を提供した。
●2025年には3つのCBRイニシアチブが開始され、計画目標を上回った。新たな試みとして、前述のCBR Seedの立ち上げにより、参加者からさらなる研究提案が促された。
[Community Engagement & Outreach]
●2025年10月20日から22日の3日間、Asian Institute of Technology (AIT) と協働でタイ・バンコクにてSOI Asia Meetingを開催し、15カ国から77名(オンライン参加者を含む)が参加した。各大学の教育現場の状況報告に加え、SOI Asia の各プロジェクト(INXIGNIA・APIE・ARENA-PAC・DHASH・EBA・CBR)がそれぞれに Project Impact Sessionを行い、現在の活動報告だけでなく今後のプランやビジョンについて共有した。各セッションの質疑応答の時間を通じ、活発な議論が行われた。最終日のディレクターミーティングでは太平洋諸島におけるコラボレーションの可能性について協議し、SOI Asia における新たな取り組みとしてARENA-PAC と連携を進めることで合意した。
ARENA-PACが発表した大洋州に焦点を当てたイニシアチブを含む、地域における研究・教育ネットワークの近年の発展を踏まえ、APRSは、The University of Hawaiʻi (UH) と大洋州におけるレジリエント社会の実現に向けた研究・教育ネットワーク戦略及び研究協力に合意、取り組みを開始した。APRSとUHの関連研究メンバーは、2026年1月にホノルルで行われた初期計画協議を経て主要パートナーとして協働を開始し、今後10年間にわたり基盤を段階的に構築し、共同事業のパイロット実施を行い、人的・組織的能力を強化することで、持続可能な大洋州の研究・教育エコシステム構築に貢献していくことで合意した。
3.日ASEAN分散電源サイバーセキュリティプロジェクト
2023年12月のアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳共同声明は、「地域間連携及び系統柔軟化の拡大」、「信頼性の高い再生可能エネルギーベースのマイクログリッド化」を進めることに合意しており、本事業は、日本が事務局を務めるアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)イニシアティブに基づくプロジェクトの一つとして位置づけられる。
2025年度は、昨年度の創設した日ASEAN各国の産官学の有識者を集めた分散型エネルギーシステム(ERAB)、サイバーフィジカルシステムのセキュリティ設計に関する産官学の研究者コミュニティを拡大させた。2026年3月現在、インドネシア・マレーシア・タイの産学官の研究機関・政府機関・企業を中心に23か所に維持・発展した。その基盤となっているのは、SOI Asia研究プロジェクトパートナー大学である。
具体的な活動としては、分散型エネルギーシステム(ERAB)におけるサイバーセキュリティ基本的な考え方の整理を目的としたワークショップを 2025年4月於 インドネシア・バンドン、2025年11月於マレーシア・クアラルンプール、2026年2月於タイ・バンコクにおいて開催し、ASEAN3か国+CCRCの研究者間での研究スコープの整理と研究手法のナレッジ共有を行った。
その結果、成果物として2025年7月、 研究コミュニティを構成する研究者の共著として、本コミュニティにおけるセキュリティ研究を支援する東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)の白書をCCRC梅嶋真樹、村井純他の共著「Security by Design for Cyber and Physical Systems for Driving Energy Transformation through Decarbonisation, Decentralisation, and Digitalisation: CPSF and ERAB Initiatives in 2024」を発行した。
2026年2月、日ASEANの分散型エネルギーシステム(ERAB)に関するサイバーセキュリティ確保の指針等の策定、各国の具体的な取組に落とし込むためのキャパシティビルディング、各国大学におけるセキュリティアセスメントを目的に、バンドン工科大学(インドネシア)、マレーシア工科大学(マレーシア)、国立研究機関NECTEC(タイ)に研究テストベッドを設置し、リスクアセスメント研究を始動させた。
4.デジタルサイバー安全保障プロジェクト
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による経済安全保障重要技術育成プログラム(通称“K Program”)の一環で「先進的サイバー防御機能・分析能力強化」の研究開発項目を推進。期間は2024年7月から2029年6月(予定)。OT/IT混在環境を対象とした動的ペネトレーションテスト技術の研究開発を実施し、慶應義塾大学内に重要インフラシステム模擬環境を備えた動的ペネトレーションテスト基盤を構築した。さらに、攻撃シナリオとシステム挙動を比較評価するテストケースを開発し、重要インフラシステムのレジリエンス評価を可能とする実証環境を整備した。
5.大規模広域分散環境の構築
自律分散システムの地球規模のグローバルでの基盤を含む環境構築運用とその上でのアプリケーション展開についての研究を行った。取り組む領域として、特に以下にフォーカスした。
1. 広域基盤構築とオペレーション: インド太平洋領域における学術研究ネットワークの発展に取り組み、宇宙空間への取り組みを進めた。宇宙は分散システムの特性の視点で明確に異なる領域であり、基盤構築の視点で多くのチャレンジのある未踏領域への研究を推進した。
2. 広域基盤構築とオペレーションに向けた教育: インターネットの基盤に関連する技術から応用に至る様々な研究活動を推進するとともに、他のプロジェクトとの連携をしながら、新しい研究テーマや研究プロジェクトの創生に寄与した。
3. 信頼のある情報流通通視点でのトラスト構築とそのガバナンス: 流通される情報の質に関する問題を含め、インターネットを安心して使えるようにするための研究を推進した。
4. インターネットガバナンス: 世界的な情勢を鑑み、基盤としてのインターネットのより安定した長期的な運用への努力を推進した。
5. 量子インターネット: 量子コンピューティングや量子ネットワークに関する新たな領域への取り組みを推進した。
6. 宇宙インターネット: 宇宙空間でのネットワーク構築に向けた研究を推進した。
7. 様々な国際標準化: 各種国際標準化活動への貢献を継続した。
8. アプリケーション構築: グローバルな分散環境上でのアプリケーション展開に関する研究を推進した。
6.メディカルインクルージョン
【メディカルインクルージョン】
●第4回医療と健康のDXセミナー「AI前提の健康・医療」の報告書(日英版)を公開
●KGRI Working Papers「AIを前提とした医療の創生」(2025年8月発行)を公開し、AIを基盤とした医療インフラの将来像を多角的な議論とともに、社会実装に向けた課題を国際的に共有する成果を得た。
●前年度までに蓄積されたCCRCにおける医療DXの多様なユースケースを総括し、サイバー文明下の2050年における医療・健康の姿であるメディカルインクルージョンビジョンをアップデートし、その方向性を定量的に示す指標を提案した。書評特集「文明知往還ブックトーク『医療と健康のDX』」(比較文明 第41号、2025年12月)では、本プロジェクトの理論的背景を人類史を通じた文明論の文脈から批評的に紹介し、学際的議論を喚起した。また、本書評は、学会長保坂俊司による『インターネット文明』(村井純)の書評とともに、当学会誌の「特集企画」として取り上げられ、インターネット文明および医療・健康のDXを文明論の視点から客観的に解説する機会となった。
【サイバー文明の創生】
●福澤諭吉の活動と著作を横断的に検討し、近代日本における文明転換の構造と現代情報社会の構造的連続性を、メディア論の観点から再解釈した考察「情報文明から振り返る福澤諭吉のメディア論的考察」を発表した。
●西洋近代科学文明からサイバー文明の構造的転換点を比較文明学的に示した"The Transition from Western Scientific Civilization to Information Civilization Viewed from a Comparative Civilizational Perspective."を発表した。
●David FarberおよびDan Gillmorが主催する国際オンライン会合「IP-ASIA」では、サイバー文明の創生に関わる研究者・技術者・実務家のゲストらとの対話を通じて議論を深めた。週次で30名以上が世界各地から参加し、ネットワークインフラ、AI、メディアと表現の自由、医療、日本など多様なテーマを扱った。
●David Farberと若手研究者・学生との交流を促進し、医療の未来ビジョンを含む新たな研究プロジェクト「サイバー文明の未来デザインプロジェクト」の構想・立ち上げの契機となった。「サイバー文明の創成」に関する当初計画(黎明期に関する知見を関係者との対話を通じて明らかにする)も着実に進展させることができた。
これら一連の活動を通じて、当該年度計画であるサイバー文明下の人間と医療の新たな像の構築に向けた、2050年までの中長期的ロードマップの基盤形成を達成できた。
7.台日半導体産学人材育成制定着計画
●国内における政策・学術連携の推進
▷経済産業省局長を含む半導体産業関係者および半導体政策関連の国会議員との打合せを実施し、日本の半導体戦略における現状の課題抽出と産学官連携の方向性を整理した。
▷熊本大学や熊本県立大学の半導体研究者と連携し、地域における半導体人材の育成と定着に関する実態調査および共同研究の基盤を構築した。
●国際連携(台湾)の強化と知見の共有
▷国立台湾大学などの主要な半導体政策関係者と台湾現地で打合せを開催。台湾の先進的な人材育成モデルの日本への適用可能性について議論を深めた。
▷台湾・日本の半導体協力に関する「公開ビデオカンファレンス」を主催。両国の専門家による対話を通じて、グローバル・サプライチェーンにおける協力体制を可視化した。
●研究成果の公表と社会還元
▷これまでの研究成果を基に、日台双方の視点を取り入れた「半導体政策に関する分析・政策提言」を台湾および日本国内で出版。
▷「SEMI Impact Forum 2025」等の国際カンファレンスにて研究成果を発表。また、『日経サイエンス』等の媒体を通じて、専門家および一般層へ向けた情報発信を行った。
■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)
1.出版物・論文
① [国内学会] Satoshi KAI, Takao KONDO, Kazuma KASAHARA, Jun MURAI; Dynamic Penetration Testing to Verify Resilience Performance in OT/IT Hybrid Environments, The 13th SICE Multi-Symposium on Control Systems (2026/03)
② Masaki Umejima, Jun Murai, Naoto Okura(2025) “Security by Design for Cyber and Physical Systems for Driving Energy Transformation through Decarbonisation, Decentralisation, and Digitalisation: CPSF and ERAB Initiatives in 2024” No.551, ERIA Discussion Paper Series, Economic Research Institute for ASEAN and East Asia
③ Shinken: An Adaptive and
Transaprent Model for Claim Verification
Ryosuke Abe, Riku Mochizuki, Shigeya Suzuki, Osamu Nakamura
Journal of Information Processing (Vol.66 No.6 941-952 (June 2025)),
Tokyo, Japan
(2025-03-04)
④ 村井 純・川森 雅仁・山本 隆太郎・佐野 仁美, 「AIを前提とした医療の創生」, KGRI Working Papers, 慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート, 2025年8月
⑤ 佐野 仁美, 「書評特集 文明知往還 ブックトーク『医療と健康のDX』—情報文明を先導する核心—」, 比較文明, 第41号, 行人社, pp.228–233, 2025年12月(ISSN 0912-2087)
⑥ Hwang Colley, “SEMI Country: Trump Storm, and the Island of No Significance” Digitimes Press, 2025
⑦ 藤末健三「イノベーションによる日本経済の復活:半導体技術を核に日本と地方経済を再興」FD出版,2025
⑧ 藤末健三「だから世界は半導体から目を離せない」日経サイエンス特集『シン半導体』pp.6-7, 2026
2.学会発表
① Colley Whan, “After TSMC’s $100 Billion Investment in the US, the New Semiconductor Landscape is Emerging” Keynote of SEMI Impact Forum 2025, London, 2025
② Masaki Umejima, “ERAB with CPSF-Trust Design for Cyber and Physical System in energy in ASIA”, the Viet Nam Internet Network Information Center Conference 2025 (VIC2025), Ha Noi, Viet Nam, July 25, 2025.
③ Fathima Assilmia, Kiyoko Itagaki, Leandro Navarro Hundzinski, Chihiro Sato, Keisuke Uehara, Keiko Okawa. Learners Understanding Social Complexity through Service Dominant Logic: A Fieldwork Education Program in Minamata City. The 14th Domestic Conference of the Society for Serviceology, Chiba, Japan.March 3-5, 2026
④ Achmad Basuki, Widhi Yahya, Dzaki R. Malik, Rizal Setya Perdana, Kasyful Amron, Achmad Husni Thamrin, Andrey Ferriyan, Muhammad Niswar. Parallel Micro-Batching and Scalable Inferencing for ML-based Malicious Traffic Detection. In Proceedings of The 1st International Conference on Research and Innovations in Information and Engineering Technology 2025. ISBN: 978-989-758-784-9, SciTePress, pages 142-148. 2025, Makassar, Indonesia September 6-7, 2025. Digital Object Identifier (DOI): https://doi.org/10.5220/0014275200004928
⑤ Assilmia, F., Pramudito, A., Sato C., Okawa, K., (2025) COLLAGE-MAKING AS A WAY TO IMPROVE REFLECTION IN THE CAREER EXPLORATION PROCESS FOR CHILDREN, ICERI2025 Proceedings, pp. 6676-6684. https://doi.org/10.21125/iceri.2025.1831
⑥ Miyakita, G., Akashi, E., Yimin, A.,Okawa., (2025, November) Community-Centric Digital Preservation:Collaborative Model for Cultural Heritage in the Asia-Pacific presented at THE 21ST INTERNATIONAL CONFERENCE ON DIGITAL PRESERVATION (iPRES 2025), Wellington, New Zealand https://www.ipres2025.nz/
⑦ Yimin, A., Miyakita, G., Akashi, E., Dawood, R., Fitria, M., Budi, S, A., Setiawan, E., Chalise, S., Okawa, K., (2025, April). Digitizing and Visualizing Cultural Heritage in Asia: The DHASH Project's Approach to Digital Archive, at IEEE Pacific Visualization Conference (PacificVis) 2025. National Taiwan Normal University, Taiwan https://pacificvis2025.github.io/pages/index.html
⑧ Yimin, A., Okawa, K., (2025, June). Creating an Online Learning Community at Keio University Through Enhanced Course Facilitation on FutureLearn, at DULEARN25, the 17th annual International Conference on Education and New Learning Technologies conference. Palma, Spain. https://iated.org/edulearn/
⑨ WARASHIBE Protocol: Fair
Data-Data Exchange on Blockchain
Riku Mochizuki, Ryosuke Abe, Shigeya Suzuki
International Workshop on Fostering a Human-Centered, Trustworthy
and Sustainable Internet (TRUSTCHAIN 2025), Pisa, Italy (2025-06-02)
⑩ Extended ACME Protocol with
Time-Limited VC Tokens for Automated Organization Validation
Toi Ooka, Taisho Sasada, Ryosuke Abe, Yuzo Taenaka, Youki
Kadobayashi, Shigeya Suzuki
2025 International Conference on Information Networking (ICOIN),
Chiang Mai, Thailand
(2025-01-15)
⑪ E2EEメッセージングのための透明性と頑健性を備えたコンテンツモデレーション
稲垣凛太郎, 望月 理来, 赤間 滉星, 阿部 涼介, 鈴木 茂哉
コンピュータセキュリティシンポジウム 2025 岡山, Okayama, Japan
優秀論文賞
(2025-10-28)
⑫ デジタル証明書における当人認証に用いる鍵を交換可能な識別子と鍵の管理スキーム
曽我 悠真, 阿部 涼介, 鈴木 茂哉
マルチメディア,分散,協調とモバイル (DICOMO2025) シンポジウム, Bobata, Japan
優秀論文賞
(2025-06-25)
⑬ 佐野 仁美, 「情報文明から振り返る福澤諭吉のメディア論的考察」, 第42回比較文明学会大会, 2025年12月, 早稲田大学, 口頭発表(一般).
⑭ Hitomi Sano, "The Transition from Western Scientific Civilization to Information Civilization Viewed from a Comparative Civilizational Perspective", International Society for the Comparative Study of Civilizations (ISCSC), Hallym University Doheon Academy, Chuncheon, Republic of Korea, September 2025, Oral presentation (General).
3.イベントなど
● [主催] 第15回サイバーセキュリティ国際シンポジウム (2025/10)
● [モデレータ] Satoshi KAI; Cyber threats to defense and critical infrastructure and how to counter them, DSEI Japan 2025 (2025/05)
● [ニュースリリース] CyLogicと慶應義塾大学CCRCによる慶應JRAMPクラウドの共同リリースを発表、URL=https://www.ccrc.keio.ac.jp/news20250409/(2025/04)
● [ニュースリリース] WiSECURE、慶應義塾大学サイバー文明研究センター(CCRC)と協力して技術検証した成果を第十五回サイバーセキュリティ国際シンポジウムで発表、URL=https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000153040.html(2025/11)
● [覚書] Cloud Signature Consortium(CSC)と慶應義塾大学は、データスペースとトラストサービスの連携および概念実証(Proof of Concept:PoC)に向けた協力を目的とする覚書(MoU)を締結(2025/07)
● The Economic Research Institute for ASEAN and East Asia INTERNATIONAL CONFERENCE “Constructing a Future of Secure and Resilient Energy Resource Aggregation in The Digital Era: Cyber-Physical Security, Technology Innovation, and Energy Resource Aggregate Business”, Bandung, Indonesia, April 24, 2025
● The Economic Research Institute for ASEAN and East Asia CYBERSECURITY SUMMIT for ENERGY SECTOR ERAB 2025, Kuala Lumpur, Malaysia, November 18, 2025
● The Economic Research Institute for ASEAN and East Asia Cyber Resilience by Design: Securing Distributed Energy Systems, Bangkok, Thailand, February 5, 2026
■プロジェクト活動を通じて特に成果を挙げた事柄
1.サイバーセキュリティ研究センター
● 本センターは、重要インフラのサイバーセキュリティに関する産官学連携研究拠点として活動した。
● [研究成果] 分散型電源システムのセキュリティガイドライン策定
● [社会実装] 重要インフラ企業との共同研究
● [国際連携] サイバーセキュリティ国際シンポジウム開催
2.アジア太平洋レジリエント社会
APRS内のサブプロジェクト(EBA、CBR、APIE)間の横断的な連携を強化するとともに、学生主体の国際共同研究を促進する新たなプログラムとして、CBR Seed を2025年度より開始した。その結果、APIE CampやEBA Fieldworkに参加した学生が、プログラムで培った知識やネットワークを活かし、地域課題をテーマとした国際共同研究へと発展させる Learning Path が構築された。
3.日ASEAN分散電源サイバーセキュリティプロジェクト
● 日ASEANの分散型エネルギーシステム(ERAB)に関するサイバーセキュリティ確保の指針等の策定、各国の具体的な取組に落とし込むためのキャパシティビルディング、各国大学におけるセキュリティアセスメントを目的に、バンドン工科大学(インドネシア)、マレーシア工科大学(マレーシア)、国立研究機関NECTEC(タイ)に研究テストベッドを設置し、リスクアセスメント研究を始動させた
● 2026年2月、日ASEANの分散型エネルギーシステム(ERAB)に関するサイバーセキュリティ確保の指針等の策定、各国の具体的な取組に落とし込むためのキャパシティビルディング、各国大学におけるセキュリティアセスメントを目的に、バンドン工科大学(インドネシア)、マレーシア工科大学(マレーシア)、国立研究機関NECTEC(タイ)に研究テストベッドを設置し、リスクアセスメント研究を始動させた。
● SOI ASIA(School on Internet Asia)と連携しながら、日ASEAN各国の産官学の有識者を集めたサイバーフィジカルシステムのセキュリティ設計に関する産官学のコミュニティを維持・発展させた。
● CCRCが開発に貢献した最新の分散エネルギーシステムの国際標準 IEC SRD63443-1に準拠した、国際標準連携型の研究開発を推進した。
● 成果物として2025年7月、 研究コミュニティを構成する研究者の共著として、本コミュニティにおけるセキュリティ研究を支援する東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)の白書をCCRC梅嶋真樹、村井純他の共著「Security by Design for Cyber and Physical Systems for Driving Energy Transformation through Decarbonisation, Decentralisation, and Digitalisation: CPSF and ERAB Initiatives in 2024」を発行した。
4.デジタルサイバー安全保障プロジェクト
● 本プロジェクトは、重要インフラのレジリエンスを定量評価する技術の実証とサイバー防護人材の育成の活動を行った。
● [研究成果] 動的ペネトレーションテスト基盤の構築、OT/IT混在環境におけるレジリエンス評価手法の開発、および重要インフラシステム模擬環境における動的ペネトレーションテスト技術の実証
● [人材育成] 大学院教育およびサイバーセキュリティ人材の育成
5.大規模広域分散環境の構築
インターネットの基盤に関連する技術から応用に至る様々な研究活動を推進するとともに、他のプロジェクトとの連携をしながら、新しい研究テーマや研究プロジェクトの創生に寄与していった。量子インターネットや宇宙インターネット等、新たな領域への取り組みを推進した。また、日本を起点としたインド太平洋領域における学術研究ネットワークの発展に取り組んでおり、これを継続した。
6.メディカルインクルージョン
KGRI Working Paper「AIを前提とした医療の創生」(2025年8月)の公開により、多くの研究者や実務家の実践的知見を広く共有できた。また、David Farber共同センター長のコメントを掲載するなど、貴重な記録を提供することができた。さらに、これらの研究成果を総括し、同ワーキングペーパーグループとして二冊目となる書籍化の準備もほぼ完了した。また、比較文明学会誌において本グループの一冊目の著書に対する書評が掲載され、「メディカルインクルージョン」という概念が、医療・情報・倫理・文明論を横断する総合的課題として認知される契機を作ることができた。これらの活動を通じ、人員は少ないながらも、サイバー文明下における医療と健康の新たな社会的ビジョンの構築に向け、分野を超えて理論的・社会的両面からの進展を可能にした。また、将来のサイバー文明のビジョンの形成を通して、CCRC共同センター長であるDavid Farberの意志を継ぐ研究者同士のつながりを持続することもできた。
7.台日半導体産学人材育成制定着計画
産官学を横断する対話
プラットフォームの構築
日本の政策立案者、行政、地方大学(熊本)、および台湾のトップ大学を結ぶ独自のネットワークを構築した。特に政策提言の出版と国際フォーラムでの発信を組み合わせることで、実効性のある政策提言の土台を築いた。
2024年度事業報告
■当該年度事業(活動)計画に対する実施内容、および研究成果と達成度
1. サイバーセキュリティ研究センター
株式会社日立製作所と共同研究「重要インフラの重要な時代におけるセキュリティを支えるプラットフォームの実現」を実施し、デジタルインフラ、エネルギーインフラの2テーマを立ち上げ、テストベッド開発、課題抽出をおこなった。
株式会社日立製作所および中部電力株式会社と共同研究「xEMS領域におけるインシデント調査にもとづく有効な対策に関する研究」を実施し、マイクログリッド・分散型電源のセキュリティの方向性を整理した。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による経済安全保障重要技術育成プログラム(通称"K Program")の一環で「先進的サイバー防御機能・分析能力強化」の研究開発項目のひとつを受注。期間は2024年7月から2029年6月(予定)。新たに「デジタルサイバー安全保障プロジェクト」を立ち上げた。
「第14回サイバーセキュリティ国際シンポジウム」主催・講演 (2024年10月)
2. アジア太平洋レジリエント社会 (APRS: Asia Pacific Resilient Society)
APRS (Asia Pacific Resilient Society) は、KGRI内CCRC(Cyber Civilization Research Center)で、2021年4月にスタートしたWorking Groupである。『アジア太平洋のレジリエント社会の構築』をミッションとして掲げ、アジア13カ国20大学・研究組織と共同で進める『SOI Asia』の中核となる研究および本部機能を担い、アジア太平洋地域の研究教育を推進している。アジア太平洋の研究教育ネットワークの構築、次世代の人材育成、共同研究の推進、オープンサイエンスの推進などの具体的なアクションを設計し、現在パートナー大学とともに推進している。
[国際連携強化]
大学間の学生交換、教員交換などを促進するために、パートナー大学とのMoUを再締結・新たに締結するプロセスを2022年から開始している。2024年度は、タイのAIT(Asian Institute of Technology)およびフィリピンのUSC(University of San Carlos、 Philippines)の2大学と締結し、合計17大学とのMOUが締結されている。
2024年11月、UNESCO とKGRI のMoUを締結し、オープンサイエンスに関する協力体制を強化。 "Mobilizing Science Knowledge for Sustainable Development in East Asia and wider Asia-Pacific through ICT and Open Science".
アジアの研究教育ネットワーク(REN)の連携を行う組織である APAN (Asia Pacific Advanced Network) との MoU を締結(2025年3月)した。今後さらなる協調が期待できる。
羽田イノベーションシティ内に新しい研究拠点を開設した。日吉・三田に分散していたスタッフを集約し、かつ、高速な研究教育ネットワーク設備も敷設。2025年度本格稼働予定。
[研究教育ネットワーク基盤]
アジア太平洋の研究教育ネットワークのバックボーン構築プロジェクトである ARENA-PAC と協力して以下の活動を行った。
2024年度は、アジア太平洋地域に構築したGuamに続く一つのハブとしてのシンガポール拠点の構築を準備した。 2025年3月に運用開始。
2022年インドネシア、2023年フィリピンに続き、グローバル研究協力を支援するため、マレーシア科学大学(USM)と新たに協定を結び、マレーシアの国立研究大学グループ (MYREN) との連携を目指した、シンガポール-ペナン(USM)間の100Gbps 研究教育ネットワーク基盤を構築(2025年3月)
[次世代人材育成 - インターネット技術者人材育成]
インターネット基盤がレジリエントであるためには、それを担う人材が不可欠であるが、昨今、若者層がインフラ系技術から離れる傾向がアジア共通の課題となっている。本プロジェクトではその解決が急務であることを認識し、APNIC、AITACと協力して、アジア太平洋地域におけるRENの運用を担う人材や、インターネット分野の研究者を目指す若手人材を醸成することを目的として、2021年よりプログラムの開発を開始した。2024年度は以下の活動を行い、成果を出した。
APIE Core Course の実施: 次世代のインターネット研究開発をになう人材育成の活動として、学生向けに特化した APIE (Asia Pacific Internet Engineering) コースを運用し、2024年は4月(第4バッチ)と8月(第5バッチ)に学生を受け入れて、アジア各地から 927 名の学生が参加した。前年より2倍の参加者数となり、また、TA制度の導入により修了率も大幅にアップした(15% → 36.2%)
APIE Camp の実施: 2023年2月に日本で実施した内容をベースに共通のCampプログラムを開発し、2023年ITB開催を皮切りに、2024年は2月、8月、11月にUSM(マレーシア)、UNHAS(インドネシア)、USK(インドネシア)と、各パートナー大学によって積極的に開催された。APIE Camp 修了者向けに、APIE Advaned Camp を設計し、第1回を 2024年3月に日本で開催した。2024年、これらの Camp には7カ国9大学から92名の学生が参加した。また、APIE Campへの女子学生の参加率が向上し、8月のUNHASでは約50% に上った。
APIE 単位化に向けた動き: 2024年度はAPIE プログラムをベトナムに普及するために VNNIC との協力体制を構築した。VJU(日越大学)において、APIE Online で提供するコースが単位科目の中での教材として採用された。
APIE 一般向けコース:一般に向けたインターネット理解の向上を目指し、2023年に世界リリースした"Understanding the Internet" は1200人以上が学ぶ。それに続き、同じくCCRC Co-director 村井純教授がEducatorを務め、Internet Governanceを含む、社会基盤としてのインターネットにフォーカスした。"Participating in the Internet" オンラインコースを開発中(2025年3月)。
[次世代人材育成 - EBA (Evidence-Based Approach)]
EBAプロジェクトは、レジリエントな社会のために、社会課題を、エビデンスをベースに分析し、コミュニケーションができる人材を育成することを目的として、2016年より文科省の支援を得て、慶應義塾大学を中心とした幾つかのアジアのパートナー大学と協力して開始した教育プログラムである。フィールドワークを中心とした教育プログラムで、データの収集、分析、ストーリーテリングの3つのスキル教育と課題を共有するコミュニティ形成を促進している。2024年度は以下の活動を行った。
EBA インドネシア・カリマンタンフィールドワーク: ITB (バンドン工科大学)と共同で、インドネシア・東カリマンタン島でのフィールドワークを成功させた。1年以上の準備期間をかけて、これからも継続できる形を構築した。新首都移転による地域への環境、社会インパクトにフォーカスしたプログラムを2024年6〜7月実施し、慶應を含む8大学から12名の学生が参加し、インドネシアの首都移転予定地である東カリマンタン州をフィールドに、そこから得たデータをもとに「持続可能な都市」の定義を人間、文化、自然の側面から考え、そのコンセプトを映像化した。
EBA 水俣フィールドワーク: EBA が2016年から継続して実施しているフィールドワークである。2024年は、8月1日から7日の日程で、熊本県水俣市で実施した。慶應を含む10大学から合計13名が参加した。参加者は地域社会が直面している問題を掘り下げ、水俣市の持続可能な発展のために可能な解決策を提案した。
EBA 共通コース開発: 学生がエビデンスに基づいて課題を特定し、取り組むための準備を進めることを目的とし、EBAフィールドワークに参加する前の学生を対象にしたコースを開発した。本コースを通して、学生はエビデンスに基づくリサーチ・マインド、基本的なデータの取り扱いと探索スキル、リサーチ・コミュニケーション・テクニックを習得させることを目指している。2024年度に実施した2つのフィールドワークの参加者合計25名に対してパイロットプログラムを実施し、2025年度の本格運用に向けた知見をまとめた。
[学習履歴と個人認証基盤]
本コミュニティで実践される様々なフォーマル・ノンフォーマル教育プログラムを受講する人がその受講履歴を在学中だけでなく生涯を通して記録、収集し、証明していくためのデジタルバッジプラットフォーム INXIGNIA(インシグニア)を開発し運用している。
2024年度 INXIGNIAは、オンラインコースやフィールドワークなど13のプログラムを修了した12大学の学生に合計 774 のデジタルバッジを発行した。
2024年度は、INXIGNIAの一部として稼働していた認証部分を、様々な教育プログラムで利用するために独立させた SOI Asia IdP を開発し、2025年2月から運用を開始した。
INXIGNIAに興味を持つ複数の大学が試用を始めている。今後の持続的な運用のため INXIGNIA Consortiumの設立を議論している。
ヨーロッパとアジアが協力して進めている認証に関するワーキングチームである MICROCSA 主催のワークショップ(フィリピン)に出席し、協力体制について議論した。その結果として、MICROCASA より正式に参加表明を受領した(2025年2月)。
CCRCのTrust Working Group とも連携し、次世代の標準化の動向を見据えながらOpen Badge 2.0 ベースのINXIGNIA1.x を運用しながら、並行して、DID(Decentralized Identity)/VC(Verifiable Credential) をベースの INXIGNIA2.0 を開発始した。
INXIGNIA で可視化される学習履歴を基盤として、学生が自らラーニンブパスウェイを設計するなどの機能を実装してキャリアパス設計のサポートを行う機能や、SOI Asia コミュニティ内での学生モビリティ向上を促進するプログラムとの連携を進めている。これをまとめた論文は、CSEDU 2024 において Best Position Paper を受賞した。
[アジア太平洋地域のグローバル共同研究拠点の確立]
大学間協力を前提とした CBR (Community Based Research) Framework に従い、CCRCを中心に共同研究を推進している。
2024年度は、交通機関のIoT利用、スマートの農業のIoT利用、クラウド基盤の基礎研究などの研究プロジェクトが修了し、成果をコミュニティに還元するフェーズに移行した。
Starlinkと地上回線を柔軟に利用することで、災害時の大学の接続性確保のためのフィージビリティスタディとして、Disaster Drillを実施した。
2025年3月に成果の Showcase を実施し、学生を中心とした若手による研究成果の発表会を兼ねて多くのAP地域の研究者との交流を実施した。
[オープンサイエンスと研究データ基盤の構築]
UNESCOと協力し、オープンサイエンスをHumanity分野で実践する共同研究として、ネパール(伝統楽器サランギ)、インドネシア・マラン(古代寺院)、インドネシア・アチェ(墓石群)の3サイトにおいて現地の大学と協力した文化財のデジタル化プロジェクトが本格的に開始された。
ITBとの共同研究により、データ共有のシステムプロトタイプが開発され、ユーザ向けのワークショップを実施した。
[Community Engagement & Outreach]
2024年6月フィリピン・セブにおいてUSC主催でパートナー会議を実施し、10カ国より59名のコアメンバーが参加した。併設開催として現地APIE参加学生向けに、"Meet the Engineer" セッションを開催し、集まったメンバーたちと将来のキャリアについて話し合う機会を設けた。
2024年10月、BUET(Bangladesh University of Engineering and Technology)主催のパートナー会議を実施した。バングラデシュ開催を予定していたが急遽オンラインに切り替えて17カ国から78名の参加者がオンラインで活発な議論を行った。
AINTEC(Asian Internet Engineering Conference, 2024年8月・シドニー)にはAPIEのメンバーが参加し、APIE Campを題材にした論文発表を実施した。
欧州RENの年次大会であるTNC24(2024年5月・フランス・レンヌ)に参加し、アジアのRENについての発表を行い、さらなる連携や協力について議論を行った。
3.日ASEAN分散電源サイバーセキュリティプロジェクト
2024年7月、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)と連携した、ASEANにおける分散型エネルギーシステム(Energy Resource Aggregation Business、以下ERAB)の普及に向けた、セキュリティアセスメント手法の開発、関連制度及び関連技術のモデリングの研究プロジェクトとして始動。
2023年12月のアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳共同声明は、「地域間連携及び系統柔軟化の拡大」、「信頼性の高い再生可能エネルギーベースのマイクログリッド化」を進めることに合意しており、本事業は、日本が事務局を務めるアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)イニシアティブに基づくプロジェクトの一つとして位置づけられる。
本年度において、SOI ASIA(School on Internet Asia)と連携しながら、日ASEAN各国の産官学の有識者を集めたサイバーフィジカルシステムのセキュリティ設計に関する産官学のコミュニティを構築し、分散型エネルギーシステム(ERAB)普及に向けてのサイバーフィジカルシステムとしてのセキュリティ確保の整理を行った。
2024年10月、インドネシア・ジャカルタのERIA本部において、インドネシア・マレーシア・タイの産官学の専門家を招聘した官民ワークショップを開催し、本研究のスコープを共有した。
2025年1月、ASEAN議長国であるマレーシアにおいて第二回目の官民ワークショップを開催し、IECにおける国際標準化及び日本における制度設計などの先行研究の整理及びマレーシアがCCRCとの連携に基づき先導するテストベッドの紹介が行われた。
4. メディカルインクルージョン
「第4回医療と健康のDXセミナー -AI前提の健康・医療-」を開催。(2025年3月)公衆衛生の専門家 尾身茂氏を初め、医師、AI開発の最先端を担う企業、多くのステークホルダーと共に、コロナ禍のデジタル医療の反省から、サイバー文明での医療の理想まで、あらゆる医療DXの知見を共有できた。
イベントレポート前半後半を日本語版、英語版をCCRCホームページで公開。(2025年3月)
佐野仁美, 国際比較文明学会ISCSC 2024, カナダ・アルベルタ州 Lethbridge大学「Medical Inclusion Health and Medical in the Global Digital Civilization」デジタル医療を文明の進化の観点から論じ、メディカルインクリュージョンの口頭発表を行った。デジタル文明における新たな生命観や医療の解釈は、各国の文明論者に対して大きなインパクトを与えた。(2024年5月)
佐野仁美,「比較文明の窓」上記国際大会でのメディカルインクリュージョンの発表報告書が国内の日本比較文明学会のHPのトップページに掲載されている。(2024年5月-現在)
5. センターとしての活動成果
CCCRC鼎談企画「サイバー文明の創生」
佐野仁美「Notes from Conversation with Professor David Farber: A Pioneer's Perspective on the Internet's Beginnings and Growth」/「デイビッド・ファーバー教授との会話ノートインターネットの始まりと成長に関する先駆者の視点」サイバー文明の創生に関わるCCRC共同代表デイビッド・ファーバー教授の重要な会話内容を、特にインターネットガバナンスの変遷という観点から収めたノートを日本語と英語で公開(2025年3月)
CCRCプロジェクトルームの開設
羽田空港に隣接した東京都大田区羽田イノベーションシティに慶應義塾大学KGRIサイバー文明研究センター CCRCプロジェクトルーム(羽田キャンパス)を開設し、開所式を開催。(2025年3月8日)
■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)
1. 出版物・論文・学会発表
佐野仁美「比較文明から見た World Wide Web 人類に一つの情報空間の構造化」 第42回比較文明学会 , 口頭発表, (2024年12月)
梅嶋真樹(2024)『IoTネットワーク専門委員会‐標準類制定状況』、TTC Report Vol.39/No.1 Spring 2024
Masaki Umejima, et al(2024), "Distributed Energy Resource Aggregation Business System - PART 2: Risk assessment and treatment", New work item proposal, International Electrotechnical Commission System Committee for Smart Energy
Ikeda, R., Ferriyan, A., Okawa, K., and Thamrin, A. H. (2024). Design of A Learning Reflection Tool to Promote Learning Mobility Using Open-badges, In Beyond SDGs Innovation Research, Volume 2, Issue 2, pp. 19-23.
[Presentation] APNIC 58 (https://conference.apnic.net/58/) on September, 2024
・APNIC Foundation session
https://conference.apnic.net/58/program/program/index.html#/day/6/nextgen-and-leadership-bof/
・Noriatsu Kudo
[Presentation] AP Star retreat
・Noriatsu Kudo, APiE update, AP Star retreat September 3rd, 2024, Wellington, New Zealand
[Presentation] TNC24, Keiko Okawa, Panelist of the Panel Discussion "United or divided: How will our community be working together by 2040?" organized by GÉANT, June 13, 2024
https://tnc24.geant.org/sessions/#s526
Kurazumi, Y., Uchida, Y., Arima, S., Kudo, N., & Okawa, K. (2024, August). Examining Technologies to Reduce Response Time in Hands-on Exercise Environment Over Widely Distributed Computer Network Utilizing RENs. In ASIAN INTERNET ENGINEERING CONFERENCE 2024 (pp. 36-45).
https://dl.acm.org/doi/10.1145/3674213.3674218
Miyakita, G., Akashi, E., Itagaki, K., Homma, Y., & Okawa, K. (2024, September). From marginalization to exhibition: Embracing indigenous Ainu history through cross-cultural dialogues, 7th World Conference of the International Federation for Public History (IFPH 2024), on 3-7 September 2024, Belval, Luxembourg.
Miyakita, G., Akashi, E., Homma, Y., & Okawa, K. (2024, August). Community-Centric Open Science Infrastructure for Digital Humanities in the Asia-Pacific, Digital Humanities 2024. ADHO Digital Humanities Conference (DH2024), Washington, D.C., on 6-9 August 2024
Ikeda, R., Ferriyan, A., Okawa, K., & Thamrin, A. H. (2024, May). A Community-Based Support Scheme to Promote Learning Mobility: Practices in Higher Education in Southeast Asia and Japan. 16th International Conference on Computer Supported Education (CSEDU 2024), on 2-4 May 2024
Hundzinski, L., Assilmia, F., Okawa, K. and Vu, L. (2024, May). Exploring the Significance of 360-Degree Video Technology on Fieldwork Learning in Higher Education: Students' Perspectives. 16th International Conference on Computer Supported Education (CSEDU 2024), on 2-4 May 2024.
https://doi.org/10.5220/0012707200003693
Assilmia, F., Gunawan, E. A., Ikeda, R., & Okawa, K. (2024, April). A Guide to Immersive 360-degree Video Storytelling in Career Exploration for Rural Children. In 3rd International Conference of Art, Craft, Culture and Design (ICON-ARCCADE 2023) (pp. 131-142). Atlantis Press.
https://doi.org/10.2991/978-2-38476-238-5_13
手塚 悟「ウクライナ情勢における重要インフラ防御と台湾有事への備え」シリーズ サイバーセキュリティとデジタル化戦略を考える①、防衛技術ジャーナル 2024年3月
手塚 悟「米国の国家安全保障におけるサイバーセキュリティとデジタル化戦略」、シリーズ サイバーセキュリティとデジタル化戦略を考える②、防衛技術ジャーナル 2024年4月
手塚 悟「我が国の国家安全保障におけるサイバーセキュリティとデジタル化戦略」、シリーズ サイバーセキュリティとデジタル化戦略を考える③、防衛技術ジャーナル 2024年5月
手塚 悟「デジタル化戦略の要であるサイバーインテリジェンスとセキュリティクリアランス」、シリーズ サイバーセキュリティとデジタル化戦略を考える④、防衛技術ジャーナル 2024年6月
手塚 悟「国家安全保障・経済安全保障・社会保障におけるサイバーセキュリティ戦略~国際相互認証を踏まえたデジタルトラストの必要性~」、特集 経済安全保障に向けたセキュリティ・アシュアランス~信頼の基盤構築のためのアプローチ、情報処理 Vol.65 No.8 Aug. 2024
2. 共同研究成果
Comparison Report of International Mutual Recognition for Trust Services Infrastructure, Available: https://d-trust.sfc.wide.ad.jp/#jpeuin
三田評論12月号、口絵「第14回サイバーセキュリティ国際シンポジウム」
読売国際会議2024「サイバー攻撃への備えは」、読売新聞2024年11月9日朝刊
3. 開催イベント
第4回医療と健康のDXセミナー開催(2024.3):2021年から始めた医療と健康のDXセミナーの第4回目では150名近い参加者の見込みがあるなか、「AI前提の健康・医療」をテーマに有識者、医療人、企業人による講演、ディスカッションが行われた。
第14回国際サイバーセキュリティシンポジウム「国家安全保障、経済安全保障、社会保障のためのデジタル・サイバー安全保障戦略」開催(2024.10):3日にわたり政府、産業界、アカデミアによるデジタル・サイバー安全保障に向けた議論が行われた。読売国際会議「サイバー攻撃への備えは」を共催。
INCS-CoE主催の2024 C2C (Country-2-Country) CTF (Capture-the-Flag)を、2024年8月、オーストラリアのエディスコーワン大学がホストとなり開催。36か国から300名以上の学生がリモートで競技に参加。
テッド・ネルソン氏招聘特別シンポジウムの開催(2024年11月28日)ハイパーテキストの生みの親として知られ、今日の情報空間の形成に大きく貢献したテッド・ネルソン氏を招き、三田キャンパスにてシンポジウムを開催した。
シンポジウム「個人データ保護のグローバル・マップ~憲法と立法過程・深層からみるプライバシーのゆくえ~」を三田キャンパスにて開催。(2024年6月)
■プロジェクト活動を通じて特に成果を挙げた事柄
1. サイバーセキュリティ研究センター
サイバーセキュリティに関しての共同研究としての個別テーマの成果に加えて、慶應義塾としてのサイバーセキュリティシンポジウムを開催することで、各国大使館をはじめとする国際協調と連携を実現することができた。NEDOのKプロの研究開発予算を獲得し、新たに「デジタルサイバー安全保障プロジェクト」を立ち上げ、今後5年間をかけて研究を推進する。2. アジア太平洋レジリエント社会(APRS)
個別のテーマの成果に加え、本プロジェクトでは、特に各分野での次世代の人材育成に力を入れており、アジア各国の若い世代が集い、ともに学び合い研究する環境を構築することを全プロジェクトに意図的に組み込んできた。その集大成として2025年3月に横浜で実施した全サブプロジェクトの教育、研究の Showcase は、アジア各国から参加した優秀な学生を中心に半年かけて企画・制作を実施したが、素晴らしいプレゼンテーションとインタラクティブなポスターセッションを通して、確実に本プロジェクトが目指す環境の価値を証明したと言っても過言ではない成果だった。また、実際に参加した学生がこのコミュニティの価値を高めていきたいという声もでている。今後も、この学びと研究のグローバルな環境のエコシステムが効果的に発展するよう、推進していく。3. 日ASEAN分散電源サイバーセキュリティプロジェクト
SOI ASIA(School on Internet Asia)と連携しながら、日ASEAN各国の産官学の有識者を集めたサイバーフィジカルシステムのセキュリティ設計に関する産官学のコミュニティを構築した。同時にコミュニティを構成する研究者を2024年10月のインドネシア・ジャカルタ、2025年1月マレーシア・クアラルンプールと連続開催した研究ワークショップに招聘し、分散型エネルギーシステム(ERAB)普及に向けてのサイバーフィジカルシステムとしてのセキュリティ確保の整理を行った。4. メディカルインクルージョン
2022~2025年にかけて4回にかけて開催されてきた医療DXをテーマにしたセミナーの内容を総括した書籍を出版するなど、医療・健康分野の第一線で活躍する各者の先端の知見を広域に共有を地道に続けてきた効果が各所で見られる。本プロジェクトの成果物を通じて、新たな研究者との意見交換や海外での翻訳出版の打診など様々な可能性が開けた。本プロジェクトを通じて、DX、ロボティクス、AI、新しいデジタルデータを前提とした医療のあり方に向けて、前向きに取り組もうとするステークホルダーが増えたことが顕著である。セミナーの開催や、新たに取り組むべき標準化への挑戦、制度整備、産官学で取り組むべきことの議論に積極的に関わろうとする企業や研究者らの変化が見られたが、これは当初より本プロジェクトが目指していた意図が実現していると断言できる。
プロジェクトWebサイト: