研究概要
本研究では、社会的持続可能性に焦点を当て、信頼(trust)・互酬性(reciprocity)・結合(cohesion)などの要素を欠けることなく次世代へ繋いでいけるのか、現在の地域コミュニティがつながり続けるための各種サービス設計と実践およびそれを包含する社会的インフラ(social infrastructure)の評価に取り組む。地域内で密に連携した共助型の地域共生社会のケースを通じて、既にコミュニティの一員を対象とした「居場所づくり」とまだリーチできていない住民を対象とした「情報発信」の二軸のアプローチで様々なつながり方の設計を実施していく。
本研究は、千葉県八千代市社会福祉協議会を筆頭とした様々な地域団体との参加型デザイン研究 (participatory design)活動として実施し、未来にむけた持続的な価値を共創(co-creation)する。本プロジェクトでは以下2点の学術的問いに挑む。
(1)日本の地域社会におけるコミュニティが多様・公平・包括的であるためには、どのような文化的資源や要素を包含するべきなのか。
(2)そのような持続性を可能にするための社会的インフラ構築・運用のためはどのような要件があるのか。
実際の日本の地域社会を担う様々な地域団体と活動を共にし、価値の襷を未来へ渡すことができる仕組みを共創していくことを目指す。
2026年度事業計画
■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標
2025年度は地域内既存活動の資源抽出および資源を活用した諸サービス設計に取り組んだ。フィールド活動を継続し、既存活動を尊重しポテンシャル資源を明らかにした上で、 「居場所」で実践されるサービスの設計に文化資源がどう役に立てるのか多角的な視点から挑んだ。2026年度は「居場所」が持続的に運用できる仕組み、そしてシステム化するための要件定義に挑む。
■2026年度の新規活動目標と内容、実施の背景
2026年度は「持続的運用」のための要素抽出に注目する。地域福祉の現場ではまだまだキーパーソンへの依存が多く、「その人がいなくなったら活動自体も終わる」ことが多い。いかにして仕組みづくりをすることでより多くの担い手を育成することができるのか、そして運用のためのコストが大きすぎずに無理なく世代交代を行えるのか、などの問いに挑む。
2025年度事業報告
■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度
2025年度は地域内既存活動の資源抽出および資源を活用した諸サービス設計に取り組んだ。フィールド活動を継続し、既存活動を尊重しポテンシャル資源を明らかにした上で、 「居場所」で実践されるサービスの設計に文化資源がどう役に立てるのか多角的な視点から挑んだ。
■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)
公刊論文 5件 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’25),DIS Conference of Designing Interactive Systems (DIS ’25) , the 27th International ACM SIGACCESS Conference on Computers
and Accessibility (ASSETS '25)
学会発表(国内19件 国際5件)
• Giulia Barbareschi, Chihiro Sato, Seray Senyer, Michael Pan Junpeng, Jianrui Zhao, Dunya Chen, Kirsten Ellis, and Kai Kunze. 2025. "Sticking With Electronics for Crafting Practices: An Inclusive Approach to Promote Making Literacy Among Older Adults." In CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’25). ACM, New York, NY, USA, 18 pages. DOI:10.1145/3706598.3714234
• Jianrui Zhao, Dunya Chen, Giulia Barbareschi, and Chihiro Sato. 2025. "The Role of ICT Tools through a Community Program Co-creation in a Japanese Aging Community." In CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’25). ACM, New York, NY, USA, 10 pages. DOI: 10.1145/3706598.3714158
• Sifan Chen, Danyang Peng, Giulia Barbareschi, Dunya Chen, and Chihiro Sato. 2025. "A Reflective Journey for Employees with Intellectual Disabilities: Rediscovering Competency Through AI-Enhanced Iron Beads Crafting". In CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’25). ACM, New York, NY, USA, 18 pages.DOI: 10.1145/3706598.3713984
• Chengtian Li, Jianrui Zhao, Kayoko Nohara, and Chihiro Sato. 2025. “Crafting the Unspoken: Engaging Japanese Older Adults with Data Physicalization Workshops”. In DIS Conference of Designing Interactive Systems (DIS ’25) ACM, New York, NY, USA, 2062–2074. DOI: 10.1145/3715336.3735721
• Sifan Chen, Giulia Barbareschi, Chih Ling Kuo, Yifan Xu, Dunya Chen, and Chihiro Sato. 2025. “Explore Movement Skills Development in Individuals with Profound Intellectual Disabilities through Collaborative Art Creation”. In the 27th International ACM SIGACCESS Conference on Computers and Accessibility (ASSETS '25). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 149, 1–5. DOI: 10.1145/3663547.3759704
サービス学会第14回国内大会
• 「『市民が主役のラジオ』千葉県八千代市社会福祉協議会による市民共創ラジオ番組」
• 「カプセルトイを活用した募金活動例の分析と新規アクター参入の可能性」
• 「新潟県津南町の河岸段丘花火から見る文化の継承課題と生存可能性」
• 「小規模有機農家と購買者を支える中間機能者の役割:宇都宮産タネ採り野菜販売の実践から」
• 「青に触れる時間:参加型文化から見る高齢者を対象にしたサイアノタイプワークショップの可能性」
• 「編み物コミュニティにおける高齢者の社会的交流と主観的ウェルビーイング」
• 「戦略的ゲームプレイ:包摂的な持続的レクリエーションに向けたミニボッチャツールキットの共創デザイン」
• 「地域コミュニティの持続可能性に貢献する理学療法士の役割と挑戦:千葉県松戸市を事例に」
• 「地域唯一の医療機関が主導する住民参加型健康イベントの効果:津南町健康フェアにおける価値共創の検証」
その他10本
■プロジェクト活動を通じて特に成果を挙げた事柄
2025年度は、5件の国際学会発表及び19件の国内学会発表を行った。地域コミュニティ内での展示実施や広報掲載も複数回に渡り、他地域からの視察も来訪されるなど、学術界を超えた活動が盛んである。
プロジェクトメンバー
