慶應義塾
Keio LIFE

# 1

いないなら、なればいい。

ー何者かになりたいあなたへ。

#Challenge
公開日:2026.04.06
大学時代を就活のための準備期間や遊ぶ時間として過ごすのではなく、社会と向き合い、社会のために行動する人がいる。ラテンアメリカの家庭を1年にわたって巡った三宅さんは、帰国後にレストラン「@no aji (あのあじ)」を友人と運営し、日本に暮らす海外の方の故郷の味を届けている。古川さんは、炊き出しの活動を活かし、子ども食堂を立ち上げ、現場と寄り添いながら運営を行なっている。ふたりは自ら現場に足を運び、実際の目で大きすぎる世界を見てきた。そこで彼らは何を感じ、見たのだろうか。彼らを動かす原動力とは一体何だろうか。そして、彼らは何のために行動し続けるのだろうか。二人の言葉はきっと、一歩踏み出そうとしているあなたの背中を押してくれるはずだ。

プロフィール

三宅佳穂

在学生/総合政策学部 4年

ラテンアメリカを旅し、家庭の食卓から日常の味を体験した。 帰国後は間借りレストラン「@no aji(あのあじ)」を運営して現地の味を届けている。

古川陽登

在学生/経済学部 3 年

国際問題啓発団体S.A.L.の「オイコス」プロジェクトの代表。炊き出しや子ども支援に取り組んでいる。

まずはアクション。リアルを知るために、とにかく行動した二人。

編集部K.H. :

ラテンアメリカの家庭を巡ろうと思ったきっかけはありますか。

三宅 :

大それたものはなかったんですけど、簡単に言えばきっかけは自分探しでした。もともと食に興味があったのと、大学でスペイン語を履修していたこともあって、ラテンアメリカの家庭をのぞいてみたいと思いました。ホテルに泊まるのではなく、家庭に滞在させてもらったのは、暮らしの中の温かみのある食事を自分の目で見たかったからです。

編集部K.H. :

古川さんは、炊き出しから活動を始められたそうですね。

古川 :

そうです、炊き出しは大学に入ってから始めました。理由は単純で、テレビでしか見たことのない炊き出しを自分の手でやりたいと思ったんです。僕は行動してから考えるタイプなので、まずは炊き出しをしているサークルに入って活動に没頭しました。

編集部K.H. :

学生のうちに行動することのメリットはどんなところにあると思いますか。

古川 :

2つあると思っています。1つは、スピード感です。社会人になると多方面に責任を持つようになることもあって、どうしても挑戦へのスピード感が落ちると思います。けれども、学生というやりたいことに夢中になれる立場なら時間を惜しまず知らない世界に踏み込むことができるのは強みだと思います。

もう1つは、「共走」できる仲間が身近にたくさんいることです。僕の周りには一緒に活動に夢中になってくれる仲間がいて、たくさんの人に精神的にも経済的にも支えられているから活動ができています。同じ高い志を持つ仲間がいることは活動する上でも大きな助けになっています。

古川

気づきは行動から。原体験がもたらすもの。

編集部K.H. :

おふたりは現地での経験、炊き出しを経て、印象に残ったことはありますか。

三宅 :

ラテンアメリカで家庭を巡って気づいたことは、みんな家族の時間をすごく大切にしていることです。離れて暮らしていても、週末には必ず家族が集まり、朝ごはんを一緒に食べるんです。その中に居させてもらったとき、私も日本に帰ったら家族の時間を大切にしたいと思いました。

あと、旅の間に本当に多くの人に助けてもらいました。人に頼ること、助け合うことの大切さを旅を通じて実感しました。だからこそ、今は自分も誰かが困っていたら何かしたいと思うようになりました。間接的だけど、それが私なりの彼らへの恩返しだと思っています。

ラテンアメリカにて家庭で家事を手伝うことを通じて現地の食を知った
古川 :

実際に炊き出しをやってみて感じたことは、自己責任という言葉では片付けられないということです。聞くところによると、路上生活者の約半分はメンタルに問題を抱えていて、10人に1人は児童養護施設出身です。そこには、子どもの頃の環境という本人には責任のないような社会構造的な要因があることを知りました。もし路上生活者が子どものときに安心して生活できるような居場所があったら、また違った今があったかもしれない。そう思ったことをきっかけに、今の子どもたちに何かアプローチすることが重要だと思うようになり、子ども食堂の立ち上げに至りました。

見据える未来は。居場所づくりに奔走するふたり。

編集部K.H. :

三宅さんは帰国後、「@no aji」というレストランを運営していると聞きました。

三宅 :

そうです。今は学生団体の同期と間借りレストラン「@no aji」を運営しています。コンセプトは、日本に暮らす海外の方の故郷の味を届けるというもので、現地の家庭の料理を教えてもらい、再現して提供しています。というのも私は、ラテンアメリカで日系の方の家庭にたくさんお世話になりました。すべてが新鮮なラテンアメリカでの暮らしの中で食べる母国の味のよさを心から実感し、すごく安心したんです。今度は、日本で暮らす外国人の思い出の味を知りたい。食を通して様々な方の居場所について考えられたらと思ってレストランを始めました。

居場所というのは、古川さんと共通して意識していることだと思っています。

食を通じて人々の居場所を作っているという三宅さん
古川 :

そうですね。居場所を創るというのは根本にあるものだと思います。僕が子どもたちに直接与えられる影響というのは、生活の少しでしかない。その中でも、彼らが安心できる家庭、学校での居場所という横の繋がりでつくっていくということは、本当に難しいけども大切にしていることです。僕が大事にしているのはギリギリのおせっかいです。子どもたちの人生に踏み込みすぎず、でも見て見ぬふりはしない。そうした関わりの積み重ねが、彼らに居場所をつくると思っています

子どもたちのやりたいを形にするワークショップの様子

まずは踏み出してみよう。ふたりからのメッセージ

編集部K.H. :

おふたりが、活動の中で大切にしていることは何ですか。

三宅 :

私が一番大切にしているのは「まずは美味しいと思ってもらうこと」です。美味しいをきっかけに、その料理を作った人や国、背景に関心を持ってもらえたら嬉しいと思っています。食は、世界と人をつなぐ入口です。思い出の味を届けるということには、食材だったり、調理法に制限がある中で、どうやったら温かみのある料理を届けることができるかを試行錯誤しています。その中でも特に、今までの経験から来る手触りのようなものを大事にしています。

古川 :

僕は、まずは行動して点を増やすことだと思っています。行ったことない場所へ行き、やったことのないことをやる。小さな行動の積み重ねが、繋がりを生み出すと思うんです。僕は「いないならなる。ないならつくる」という言葉を大切にしています。一歩踏み出して自分が最初になる、行動することによって、理由が後からついてくるものだと思っています。

編集部K.H. :

最後に、これから挑戦する学生たちへ伝えたいことはありますか。

三宅 :

大変な時期もあったけれど、振り返ると全部、今の自分を作ってくれた大切な経験です。ラテンアメリカを巡ることを疑問に思う人もいました。行きたい理由を論理立てて説明することなんてできなかったけど、それでいいと思います。やりたいにかっこいい理由なんていりません。自分のやりたいという気持ちを大事にして、勢いを持って飛び込んでほしいです。

古川 :

僕はかっこいい人間でありたいと思っています。自分の好きなことや信念にまっすぐでいられるように、頑張り続けたいです。何かをしたいと思っている君に、大それた理由なんか必要ないです。行動したら絶対に応援してくれる人はいます。僕もそうですが、行動して初めて何が必要かわかることもたくさんあるはずです。ワクワクに勝るものはないので、まずは一歩踏み出してみてください。次はあなたの番です!

古川さんと三宅さん

取材・撮影

ぽぽやま(編集長)

英語と社会心理学の勉強を頑張っています。映画を熱語りすることが好きです。最近の抱負は早く車の免許を取ってドライブに行くことです。

づま(副編集長)

2025年は大阪・関西万博にどハマりし、プライベートで17回、仕事も含めると40回以上夢洲に行きました!

R.H

第二外国語はイタリア語と中国語。言葉と音楽が好きです。最近の悩みは、イタリア語選択なのに巻き舌が未だにできないことです。

KAHO

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kana

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