慶應義塾

史料と向き合う大学院生活

公開日:2022.04.03

登場者プロフィール

  • 土肥野秀尚

    文学研究科 史学専攻 西洋史学分野 後期博士課程3年(2022年度現在)

    土肥野秀尚

    文学研究科 史学専攻 西洋史学分野 後期博士課程3年(2022年度現在)

私は史学西洋史学分野で近世スペイン社会史を専門に研究しています。修士課程では、スペイン帝国の首都かつ宮廷都市として発展を遂げたマドリードに到来した出稼ぎ労働者の中でも、数量的に重要であったイベリア半島北西部の農民を事例に、「貧困申告書」という特殊な遺言書を用いて名もなき出稼ぎ労働者(水売り、リネンの行商人、粉ひき・パン職人、食料調達人など)が築いていたネットワークについて研究しました。

博士課程ではテーマを変え、1766年にバスク地方ギプスコア県を中心に広がった食糧暴動期の裁判文書と同時期の史料を交差して、ミクロヒストリーの方法で近世バスク地方の共同体について研究しています。また、研究と同時に、シマンカス総合文書館でインターンをしたり、アラバ県歴史文書館で史料のカタログ作成をしたりと、自分の研究に直接関係のない史料を読む「寄り道」をしながら歴史研究者として必要な幅広い知識も学んでいます。

学部生の4年間だけだと研究地域の史料に触れることなく卒業の日を迎えてしまい、「西洋史を学んだ」という実感が得られないかもしれませんが、史料と向かい合う西洋史研究の醍醐味は大学院から始まります。いくつもの文書館に足を運び、史料を探し、それを正確に読み解き、さらにその他の史料と交差して、生き生きと過去を再構成するのは、相当の好奇心と忍耐、幅広い分野の知識と豊かな想像力を必要とし、骨の折れる仕事ですが、研究の過程で人生を豊かにしてくれる多くの気づきと出会いがあります。そんな実り多い研究プロセスを楽しみたい方は、大学院進学を選択肢の一つとして考えてみてください。