2018/5/1
項目1 | 項目2 |
|---|---|
日時 | 平成30年6月2日(土) 14:00~17:00 |
会場 | 慶應義塾大学三田キャンパス 西校舎527教室 |
講演タイトル | 基礎心理学フォーラム『時代は変わる―再現可能性問題から基礎心理学のパラダイムシフトへ―』 |
講演① | 池田 功毅(中京大学) |
講演② | 小杉 考司(専修大学) |
講演③ | 渡邊 芳之(帯広畜産大学) |
共催 | 三田哲学会と日本基礎心理学会の共催 |
【趣旨】
ここ数年、心理学の研究結果が再現できないという問題が活発に議論されるようになりましたが、基礎心理学もまさにその渦中にある領域の一つです。基礎心理学者はいま、自分たちの未来をその手で選び取らなければなりません。今回の講演会では、個人が行う研究実践とその教育における改革、ベイズ統計学によるデータ解析における改革、事前登録(プレレジストレーション)などを含めた学術出版における改革といった、3つのレベルの各話題に関するエキスパートである3名の演者をお招きしご講演頂きます。再現可能性問題を皮切りとして、この機に基礎心理学の限界を突破して前進することを目指し、そのための具体的な道を切り拓くヒントを提供します。
【講演概要】
講演① 池田 功毅(中京大学)「再現可能性問題は心理学教育をどう変えるか?」
近年、多くの科学的知見が再現可能ではないことが、改めて広く知られるようになってきた。疫学研究を除けば、心理学研究者はこの問題についていち早く取り組み、システマティックな改革案を数多く提案してきた。本講演では、この問題の時間的進展と、これまでに提案されてきた対策案について再度概略的に振り返る。さらにそれらが心理学教育の最初期においてどのような含意を持つかを検討することで、現在進行中の諸改革が、心理学研究・教育に対して根本的なパラダイムシフトを要求していることを指摘する。
講演② 小杉 考司(専修大学)「新しい統計学とのつきあいかた」
再現可能性の問題は 統計的帰無仮説検定の弱点が悪い形で現れたことが一因だろう。しかしそれはロジックの問題ではなく、我々と統計との付き合い方が問題だったのかもしれない。統計は、我々にとっては方法論でしかなく、そこに努力を費やすぐらいであれば心理学的な問題をもっと考えていたい、というのは心理学者にとって当然の要望である。ただし、残念ながら従来の統計的方法は、生半可な気持ちで手出しをすると失敗しやすいものだった。ベイズ統計学に乗り換えれば、問題のすべてが解決するというものではないが、少なくとも例数設計や多重比較の問題については、そのほうが単純でしかも間違えにくい構造になっている。本講演では、こうしたベイズ統計学の長所を紹介し、新しい流儀の心理統計法との付き合い方を考えていきたい。
講演③ 渡邊 芳之(帯広畜産大学)「和文学会誌は再現性問題にどのように立ち向かうか」
研究における不正や疑わしい研究実践(QRP)の防止、心理学研究の再現性の向上のためには、研究を掲載するジャーナルの側でも、査読システムの改善や活性化、データの公開やプレレジストレーションなど、研究者と協力して不正を防止し、再現性を高めるための制度作りが求められる。いっぽうでとくに学会誌では予算や人的資源が限られた中で、学会員の理解を得つつそうした改善を進めることにさまざまな困難がある。講演では、再現性向上のためにジャーナル側が取りうるさまざまな方略やその現状について概観した上で、とくに和文学会誌がそれらに対応しながら持続可能な運営体制を取っていく上での現実的な問題点について考えてみたい。