AI時代における商学のすゝめ
商学部長 佐藤 和
商学部の原点は、実学の重要性を説く福澤諭吉が、わが国会計学の先駆けとして明治初期に公刊した簿記書「帳合之法」に遡ります。福澤の言う「実学」は、サイヤンス=科学の訳語であり、幕末から明治にかけての大変革期には、道理や理屈を知ることで、狭い経験の檻に囚われない見方や考え方を身に付ける必要であったのです。
そして現在もまた大変革期です。これから社会で広くAI(人工知能)の活用が進んでいく中、今日存在している多くの職業が淘汰されていくだろうと言われています。私はそうした中で真っ先に価値がなくなるのは、コピペしかできない大学生だと思います。時にAIは噓をつきます。その嘘を見破るためには、幅広い教養と科学的な論理が必要なのです。
人間の脳には約1000億と言われるニューロンがあり、最新のスーパーコンピュータの数桁上の性能で深層学習を行うことが出来ます。この皆さんが持っているニューラルネットワークを学習させ、人工ではない本当の知能を身に付けなければならないのです。さらにAIが行う学習やいわゆる「勉強」は、「誰か」が整理した情報を習得することですが、大学生に求められているのは、その「誰かになる」こと、すなわち「研究」を行う事なのです。
商学部の専門分野は経営学、商業学、会計学、経済産業4つのフィールドに分かれており、同じ産業経済の現象を、物理法則を求めるかのようなマクロな視点から、人々の多様性や気持ちに寄り添うミクロな視点まで、幅広い観点から探求できるところにその特徴があります。そして講義や文献の渉猟により自らの知識を増やし、研究会や演習授業の中で、教員や仲間と議論をしながら「半学半教」の関係の中で問題意識を明確化させ、仮説を構築・検証することを通じて解決策を模索していく作業、これが研究の醍醐味なのです。
AIに使われるのではなく、AIを使っていくためには、問題を自らの力で発見し、解決策を提示し、実行するための能力、そしてリーダーとしての高い倫理観、責任感を併せ持つ「独立自尊」の精神を持つことが必要です。商学部では、このような教育を通じて、社会の発展に寄与できる「人財」の育成を目指しています。