慶應義塾

フィールド・分野の概要と専攻科目例

商学部の学問のコアは、経営、会計、商業、経済産業という大きな4つのフィールドから構成されています。学生は各フィールドで専門性を培うとともに、各フィールドは相互に補完的な関係にあるため、これらの4フィールドを柱に、各自の知的関心と希望する将来の進路にそって、自主的かつ個性的に専攻分野や科目を選択し、履修することが可能です。

この図は4つのフィールドをさらに掘り下げると9つの分野に広がることをあらわしています。経営学は企業や非営利団体の経営・運営を対象に研究するフィールド、会計学は経済活動の結果をお金の側面からとらえた測定・記録・評価の学問、商業学は企業の創造する生産物やサービスが消費者にたどり着くmだえの過程を研究する学問、そして経済産業は社会の経済活動全体を対象に研究するため、細かく6つの分野にわけることができます。すなわち、国際経済、計量経済、金融・保険、交通・公共政策産業組織、労働・社会、産業史・経営史、の6つの分野です。

A 経営学

企業経営や組織についての理論的また方法論的研究だけでなく、現代日本の企業に対する実証的・計量的研究を含めた広範な問題を扱っています。そこで扱われるアプローチもアメリカ経営管理論からドイツの経営経済学にまでおよんでいます。

科目例:

マネジメント各論(会社と持続可能性①、企業制度①、企業評価②④、企業分析の方法④、企業倫理③、経営経済①、経営情報論①③、経営戦略と企業構造①②、経営組織①、国際経営論①③、組織文化論③、中小企業経営①、経営計画②④*、方法論史①③、理論史①③、CSR 論、企業コンプライアンス論、経営哲学)

※*マークの科目は「線形代数」との関連が強い

この画像は、経営学の科目がどのような性質を持っているかを説明するための図です。科目例であげた科目それぞれを分類する十字型の図が描かれています。この図による分類の基準は2つです。縦軸はアプローチを基準とし、図の上に行くほど「経済学的アプローチ」、下に行くほど「社会・心理学的アプローチ」となります。横軸は手法の違いを表現しており、左に行くほど「事例(ケース)」をベースとし、右に行くほど「データ」をベースとした手法となります。科目例に並ぶ科目名の横には①から④の番号が振られています。これは図の中の4つのエリア(①左上、②右上、③左下、④右下)に対応しており、その科目が「経済学寄りか心理学寄りか」「事例重視かデータ重視か」が一目でわかるようになっています。

B 会計学

洋式簿記の最初の紹介者である福澤諭吉を祖として、その伝統を守っています。財務会計、管理会計、会計監査を対象に、国際的、戦略的、歴史的観点から取り上げています。

科目例:

・会計史 I ③④

・会計史 II ③④

・財務会計各論(会計基礎理論④、キャッシュフロー計算書④、連結会計の基礎④、財務会計の役割と企業価値評価①③、企業会計の基礎④、ディスクロージャー制度と会計情報②、会計基準論②④、税務会計論 I ③④、税務会計論 II ③④)

・会計監査各論(公認会計士による財務諸表監査②、内部統制と実態監査①②)

・管理会計各論(業績評価と会計①、原価管理論Ⅰ①、原価計算論④、現代管理会計論①、サービス業の管理会計①③、上級管理会計①②)

・会計史各論③④

"この図は、会計に関する領域を2つの基準で整理し、4つのグループ(①~④)に分けたものです。まず縦の軸は「会計情報をどう扱うか」を表しており、上半分は「会計情報の利用と検証」、下半分は「会計情報の作成」を示します。次に横の軸は「何に基づくか」を表しており、左側は「実践」、右側は「制度」を示しています。図の中にある番号は、これらの組み合わせを表しています。たとえば、左上の①は「実践的な情報の利用と検証」、右下の④は「制度に基づく情報の作成」といった具合に、それぞれの学習領域やテーマがどの位置づけにあるかを示しています。

C 商業学

商品やサービスを中心として起こる市場の問題を、理論的・経験的に解明す ることを目指しています。その対象は、マーケティング意思決定、流通・小売、 広告・コミュニケーション、サービス、消費者行動等々にまでおよんでいます。

科目例:

・マクロ・マーケティング論

・マクロ・マーケティング各論(流通論)

・ミクロ・マーケティング論

・ミクロ・マーケティング各論(eマーケティング論、グローバル・マーケティング論、広告論、消費者間相互作用とマーケティング、消費者行動とマーケティング、消費者行動論、製品開発論、戦略的消費者行動論、データ解析論、マーケティング経済学、マーケティング・サイエンス*、マーケティング・リサーチ)

・マーケティング学説史

・マーケティング史

※*マークの科目は「微積分基礎」「微積分」「線形代数」「確率論」との関連が強い

ここでは、科目がどのような基準で分類されているかを示す「定義(表)」と、実際にどの科目がどうつながっているかを示す「全体像(相関図)」を示しています。まず、分類の基準となるマトリクス図では、領域を「実践か制度か」「情報の利用か作成か」という2つの軸で分け、それぞれに①から④の番号を振っています。これが地図の凡例のような役割を果たしています。そして、相関図には「マーケティング・サイエンス」や「消費者行動論」といった多くの科目が矢印で結ばれています。それぞれの科目名には①から④の番号がついており、これらが先ほどのマトリクス図のどの領域(タイプ)に当てはまるかがひと目でわかるようになっています。つまり、科目の相互関係とそれぞれの性質を同時に説明しています。

D1 経済産業:国際経済

国際化時代の今日、世界経済と不可分の関係にある日本経済を見据えなが ら、貿易、資本移動、技術移転、国際通貨制度といった問題の理論的・実証的解明、政策的提言を図ります。

科目例:

・国際経済学

・国際経済学各論

・世界経済論

・世界経済各論

・国際金融論

・国際金融各論

この画像は、国際経済学に関連する科目がどのような構成で組み立てられているかを示す図です。図の中央には「国際経済学I・II」があり、そこから上にある発展的な科目「国際経済学各論」へと矢印が伸びています。また、中央からは左右に分野が広がっており、左側には「世界経済論」、右側には「国際金融論」が配置されています。これら左右の分野も同様に、「I・II」という基礎科目を経て、下にある応用科目(各論)へと進む流れが矢印で示されています。

D2 経済産業:計量経済

理論とデータを使って企業や家計の行動を定性的・定量的に分析し、社会の変化に対応した市場や政策の在り方を考察します。

科目例:

・応用経済学各論:マクロ

・応用経済学各論:ミクロ

・経済政策

・経済統計各論

・計量経済学各論

この画像は、経済学の学習がどのようにステップアップしていくかを示したロードマップのような図です。下にあるピンク色の部分が「日吉」での基礎学習、上にあるクリーム色の部分が「三田」での発展学習を表しています。学びの流れは下から上へと進みます。まずは日吉で「経済・統計・数学」の基礎を固めます。その土台の上に、三田での専門的な学びが積み重なっていきます。三田での学びは、目的別に左右2つのコースに分かれています。 左側は「経済の仕組みや政策を学ぶ」エリアです。ここでは、マクロやミクロの視点から具体的な経済政策や、環境・開発といった社会課題に対する応用経済学を学びます。 右側は「分析するための技術を磨く」エリアです。ここでは、データを使って経済を分析するための「計量経済学」や「統計学」を、入門から応用レベルまで段階的に習得していく構成になっています。これらを合わせることで、理論と分析手法の両面から経済学を深められるようになっています。

D3 経済産業:金融・保険

金融の分野は、個々の経済主体の金融問題から国民経済全体の貨幣的側 面まで幅広く研究対象を包摂します。保険の分野は経済的保障のうちでもっとも重要な保険制度を対象とし、その制度の経済的、機能的、数理的な諸側面が分析の対象になります。

科目例:

・金融論

・金融各論

・保険学

・保険学各論

・リスク・マネジメント各論

この画像は、金融と保険に関する学習がどのように進んでいくかを示す図で、左右2つの柱に分かれています。左側は「金融論」の流れです。まずは基礎となる「金融論I・II」から始まり、その次のステップとして専門的な「企業金融論」と「資本市場論」が配置されています。これら2つの専門分野は、矢印で互いに関連し合っていることが示されています。右側は「保険学」の流れです。こちらも同様に「保険学I・II」という基礎から始まり、その下に発展的な専門科目がまとめて列挙されています。具体的には「生命保険論」「損害保険論」「保険経営論」といった保険の各論や、「リスクマネジメント」に関する科目が含まれています。

D4 経済産業:交通・公共政策・産業組織

資本主義経済における望ましい市場競争のあり方-競争と独占-を究明す ることを目指します。また、交通などの公益事業を取り上げ、政府規制の在り方を分析の対象とします。

科目例:

・産業組織論

・産業組織各論

・交通経済論

・交通経済各論

この画像は、「交通経済学」と「産業組織論」という2つの分野の科目が、どのように関連しているかを示す図です。左半分は交通に関する科目群です。基礎となる「交通経済論」からスタートし、矢印に沿って「交通政策」や「国際交通論」といった専門的な科目へ学びを深めていく流れになっています。右半分は産業や企業に関する科目群です。「産業組織論」を中心に、左隣の「企業戦略」や、右隣の「中小企業経営」へとつながりがあり、一番右端には「経済法」も配置されています。また、図の下にある点線は、左端の「交通経済論」と右側の「産業組織論」を結んでいます。これは、これら2つの基礎科目に強い関連があり、合わせて学ぶことが重要であることを示しています。

D5 経済産業:労働・社会

仕事と暮らしの経済学です。具体的には個人の就業行動、企業の雇用行動、それらが調整される労働市場の分析です。またその中での労使関係、組織心理、さらに仕事と暮らしを社会的に支える社会保障などについても考えます。

科目例:

・労働経済学

・産業関係論

・産業関係各論

・産業社会学

・産業社会学各論

・組織心理学

・社会保障論

・社会保障各論

この画像は、労働や社会組織に関連する5つの専門分野が並んでいる図です。横一列に「労働経済学」「社会保障論」「産業関係論」「組織心理学」「産業社会学」という5つの柱があります。このうち、「社会保障論」「産業関係論」「産業社会学」の3つは、基礎となる科目の下に、さらに詳しい内容を学ぶ「各論」がつながっており、2段階で学べるようになっています。一方、「労働経済学」と「組織心理学」は、それぞれ単独の科目として配置されています。

D6 経済産業:産業史・経営史

経済生活の歴史を産業発展、経営活動、金融といった個別の視点からとらえ、解明していくことを目指します。

科目例:

・産業史

・産業史各論

・経営史

・経営史各論

この画像は、歴史的な視点から経済を学ぶ「産業史」と「経営史」という2つの分野の構成図です。図の上段は「産業史」の流れです。基礎となる「産業史」からスタートし、矢印に沿って専門的な「比較小売業史」へと進みます。図の下段は「経営史」の流れです。基礎となる「経営史」からスタートし、そこから「アメリカ経営史」と「戦後日本産業史」という2つの専門分野へ枝分かれして進むことができます。また、基礎科目である「産業史」と「経営史」の間には双方向の矢印が描かれており、これら2つの分野が互いに深く関連し合っていることを示しています。

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