総合教育科目|自由研究セミナー
フィールドワークを軸に、学生と教員が相互に学びあう少人数セミナー
経済学部には「自由研究セミナー」という、担当教員が自身の研究の専門分野を中心に、独自にサブタイトルやシラバスを設定して、学生とセミナー形式で活動する少人数制の授業が設置されています。私は、日吉キャンパスにある経済学部の生物学教室に所属し、菌類(きのこやカビなど)を対象として、系統、分類、生物地理、人間との関わりといった視点で研究を続けています。また、日吉キャンパスの中には、雑木林を主体とした豊かな里山の生態系が維持されており、自然観察に適した身近なフィールドとなっています。以上のことから、私のセミナーでは、日吉キャンパスとその周辺地域で、フィールドワークを主体とした活動を展開しています。
日吉キャンパスが位置する横浜市港北区日吉周辺には、都市近郊にありながら、自然の植生や、長い歴史の中で、人為の影響で成立した二次的な自然が残され、地形・地質の特徴が観察できる露頭も存在します。それらの多くは、過去数10万年間の気候変化、海面変動、地殻変動や、人間活動の影響を受けて形成されたものです。また、日吉地域に多く立地し、人の営みを今に伝える神社、寺院、遺跡、農地、公園は、このような自然環境の特性を生かしたものです。そこで、私のセミナーでは、生物学や地学といった枠組みにこだわらず、日吉地域の自然の歴史と現在の自然の実際の姿を、学生自身に肌で触れて実感してもらうことをねらいとしています。具体的には、日吉キャンパスやその周辺を歩き、動物、植物、菌類(きのこ)などの生物や、地形・地質の観察を行っています。また、地域の自然環境と人との関わりの歴史を、実際に野外をブラブラと歩きながら探っています。さらに、日吉キャンパスに広がる森林(日吉の森)で、自然環境と人との関わりを実感するため、里山の雑木林の維持管理(草刈り、枝打ち、樹木の伐採など)の体験も取り入れています。
以上のような活動を踏まえ、このセミナーの履修者には、日吉キャンパスおよびその周辺地域の自然(生物多様性、地形・地質)や、自然環境と人との関わりについて各自で興味あるテーマを設定し、レポートをまとめて紹介してもらっています。また、日吉地域で見られる菌類・きのこについて、形態的・生態的な特徴などをまとめてもらい、図鑑形式の冊子を作成したりしています。
4月から1月にかけてのほぼ一年を通じて、毎週のように学生と日吉キャンパス内やその周辺のあちこちを歩き、きのこや生き物の姿を探索して活動したり、意見交換をしたりする中で、学生と教員との双方向でのコミュニケーションが深まり、お互いに刺激を受けあうことができるのが、このセミナーの特色です。また、このセミナーの受講をきっかけに、学生同士のつながりも濃いものになり、過去の履修者との交流も生まれるなど、学年を越えた人間関係を構築することができるのも特徴です。経済学部には、ほかにも様々な分野を専門とする教員による自由研究セミナーが開講されており、いずれもユニークな内容です。経済学部で学ぶ皆さんには、積極的に履修してみることをお勧めします。
(教授 糟谷 大河)