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(2025年4月掲載)
私が学院長に着任した時、図書室はコロナ禍のため長く閉館状態だった。生徒からの強い要望を受け、再開と図書室の抜本的な改革&再構築を決断。インテリアも立体的な書架や慶應カラーのソファセットを入れるなど大々的に改装した。とりわけ 現在 12年生の飯田カンナ君を中心に生徒諸君が力を合わせ完成した福澤先生の斬新な肖像の壁画は、学院の新たなフォト・スポットになっている。
書架にも、「福澤先生の本棚」「学院長の本棚」「トライカルチャー(Triculture=日米慶應の三重文化)の本棚」のほか、大量の贈呈を賜ったことを記念して「早川書房の本棚」も整備。司書川島恵さんは毎月生徒に読んでほしい本の紹介を中心にしたニューズレターも創刊し、地元の新聞にも図書室紹介記事を寄稿。かくして、新生図書室は「ラーニング・コモンズ」(Learning Commons)のコンセプトの下、生徒たちの読書の場、自習の場、・団欒や議論の場を兼ねるかたちで定着した。
特筆すべきは、複数のブッククラブが発足し、図書室で開催されていることだろう。
私自身は着任早々から生徒の希望で、専門である英米文学からホーソーンやメルヴィル、サリンジャー、それにカズオ・イシグロやデイヴィッド・ヘンリー・ウォンなどを原書で取り上げてきたが、国語科の藤田由紀先生は芥川龍之介や山川方夫、ノーベル賞受賞作家の川端康成や大江健三郎の作品を読むばかりかビブリオバトルも実施している。国語科の吉中希先生を顧問に、最近復活した福澤諭吉研究会も見逃せない。こうした活動の一端は、三年前に創刊した学院紀要 Keio Research Review でも垣間見ることができる。(巽 孝之 慶應義塾大学名誉教授/慶應義塾ニューヨーク学院長)
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