登場者プロフィール
齋藤 智也(さいとう ともや)
その他 : 国立保健医療科学院 健康危機管理研究部長医学部 卒業塾員(2000医[熱帯医学・寄生虫学])。医学博士。専門は公衆衛生危機管理。厚生労働省新型コロナウイルスクラスター対策班メンバー。
齋藤 智也(さいとう ともや)
その他 : 国立保健医療科学院 健康危機管理研究部長医学部 卒業塾員(2000医[熱帯医学・寄生虫学])。医学博士。専門は公衆衛生危機管理。厚生労働省新型コロナウイルスクラスター対策班メンバー。
天谷 雅行(あまがい まさゆき)
医学部 医学部長塾員(1985医、89医博)。医学博士。専門は皮膚科、自己免疫等。2005年より医学部皮膚科学教授。17年より医学部長。
天谷 雅行(あまがい まさゆき)
医学部 医学部長塾員(1985医、89医博)。医学博士。専門は皮膚科、自己免疫等。2005年より医学部皮膚科学教授。17年より医学部長。
北川 雄光(きたがわ ゆうこう)
その他 : 大学病院長塾員(1986医)。博士(医学)。専門は一般・消化器外科。2007年より医学部外科学教授。大学病院副院長を経て17年より病院長。
北川 雄光(きたがわ ゆうこう)
その他 : 大学病院長塾員(1986医)。博士(医学)。専門は一般・消化器外科。2007年より医学部外科学教授。大学病院副院長を経て17年より病院長。
佐谷 秀行(さや ひでゆき)
その他 : 大学病院副病院長研究所・センター 臨床研究推進センター長1981年神戸大学医学部卒業。医学博士。専門は腫瘍生物学。2007より慶應義塾大学医学部先端医科学研究所遺伝子制御研究部門教授。
佐谷 秀行(さや ひでゆき)
その他 : 大学病院副病院長研究所・センター 臨床研究推進センター長1981年神戸大学医学部卒業。医学博士。専門は腫瘍生物学。2007より慶應義塾大学医学部先端医科学研究所遺伝子制御研究部門教授。
福永 興壱(ふくなが こういち)
医学部 内科学(呼吸器)教授塾員(1994医、2000医博)。博士(医学)。専門は呼吸器内科全般。2019年より医学部内科学(呼吸器)教授。病院長補佐。
福永 興壱(ふくなが こういち)
医学部 内科学(呼吸器)教授塾員(1994医、2000医博)。博士(医学)。専門は呼吸器内科全般。2019年より医学部内科学(呼吸器)教授。病院長補佐。
竹内 勤(司会)(たけうち つとむ)
その他 : 常任理事【病院、信濃町キャンパス担当】塾員(1980医)。医学博士。専門はリウマチ・膠原病。2009年医学部内科学教授。大学病院長等を経て17年より慶應義塾常任理事。
竹内 勤(司会)(たけうち つとむ)
その他 : 常任理事【病院、信濃町キャンパス担当】塾員(1980医)。医学博士。専門はリウマチ・膠原病。2009年医学部内科学教授。大学病院長等を経て17年より慶應義塾常任理事。
2020/08/06
画像:慶應病院1号館より外苑方面を望む
日本の新型コロナウイルス対策
今日は「ウィズコロナ時代の医学、医療」というテーマで座談会を行いたいと思います。
慶應病院、医学部にて新型コロナウイルス対策に日夜頑張っていただいている面々に加え、厚生労働省のクラスター対策班で奮闘されている齋藤先生に加わっていただいています。日本のコロナウイルス対策に対する取り組みも踏まえて、これまでの現場の状況、そしてこれからのことについて活発な意見交換ができればと思っております。
この新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を私たちは想像もしていませんでした。昨年12月31日に武漢で原因不明の非定型肺炎が集団発生したと武漢市衛生健康委員会から発表がありましたが、それがこんなにも日本に入ってくるとは思いませんでした。
1月の武漢からの観光客バスツアー、2月初旬からのクルーズ船の問題といろいろなことが起こり、その頃から少しずつ新型コロナウイルスへの不安が増していきましたが、3月末から起こった全国的な感染拡大は想像を絶するようなことでした。4月7日には緊急事態宣言が発令され、日本社会全体、それから慶應病院、医学部、そして慶應義塾も大きく巻き込まれました。
まず齋藤先生から、日本の新型コロナウイルス対策の基本的な考え方についてご紹介いただけますか。
私は塾の熱帯医学・寄生虫学教室の出身で2011年から厚生労働省に3年間お世話になった後に今の国立保健医療科学院に来ております。現在、クラスター対策班のほうでも活動しています。
今回の新型コロナの対策について、日本は上手くいったのか、いっていないのかという議論がありますが、私はこれまでは上手くやってきたと思っています。
その理由は、いち早くきちんと患者さんを見つけて、その感染経路の調査をしっかりとやってきた。そして、この新型コロナウイルス感染症はどのように広がっていくか、それをしっかりと認識して戦略を立てて対策をとってきたからです。これはいわゆるクラスター対策と呼ばれていますが、日本の初期の対策の中心的な考え方になっています。
初期の感染者100例ほどを調査してわかったことは、インフルエンザなどのように多くの感染者が次々と感染させていくという感染様式でなくて、いわゆるスーパースプレッダーと呼ばれる、ごく一部の人がたくさんの人に感染を広げていくことがこの流行の特徴だということでした。
逆にほとんどの人は次の人に感染させない。本当にわずかな人が5人、10人と大きく感染させて、それが大きな流行につながっていくことがわかってきました。そのため、いかにこのクラスターをはやく見つけて、その本質を摑み、またクラスターを起こさせないかが重要になります。それから流行が指数関数的に増えるフェーズをいかに早く察知して対策を取るかということに注力してやってきました。
3月中旬、欧米からの旅行者や帰国者に感染者が増えてきて、国内で大きく広がる予兆が見えました。そこでいち早く大阪、東京が県境をまたいだ移動をしないように、週末は外出を自粛するように、といったメッセージを出し、各都道府県でも対策が少しずつ本格的に動き出していきました。
そして4月7日、国が新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を行って、社会において人と人との接触を大きく削減するという対策をとり、拡大しつつあった新規感染者の数をかなり減らして、小康状態に戻すことができました。そして、今は第2波に向けて準備を進めているという状況にあると考えています。(厚生労働省HP参照)
7月1日現在、世界では約1千万人罹患者がいて、死亡者は約50万人で約5%の死亡率です。日本はそれに対して約2万人弱、死亡者約千人です。日本の新型コロナウイルス感染者、死亡者がここまで低く抑えられたのはクラスター対策がしっかり行われたことが1つの原因だということですね。
慶應病院での感染対応
さて、3月以降、慶應義塾大学病院も新型コロナ感染症に大きく振り回されました。北川病院長にこれまで慶應病院で起こったことについて簡単にご説明いただきたいと思います。
詳しくは本誌の7月号に記載させていただきましたが、当院におきましては残念ながら他院から転院した患者を発端とする院内感染が起きてしまいました。また、市中感染した研修医から「夜の会食」を介して集団感染が起きました。この2つの大きな事案については、皆様に大変なご迷惑、ご心配をおかけしてしまいましたこと、病院長として深くお詫び申し上げます。
私が今、思い起こしても痛切に感じるのは、われわれはこの新型コロナウイルスの典型的な難しい特徴を持った患者さんを経験したのではないかということです。無症候で陽性の方がいらっしゃる。その無症候の方が発症する直前、そして発症直後に感染性が高い。ごくわずかではあっても特殊なスーパースプレッダーが存在するということです。われわれが院内感染の発端者として経験した第1例目の方がこれら全ての特徴を有していました。
入院された時には他の疾患の手術目的で、まったく肺炎症状はなかったのですが、同室者、医療従事者に数多く感染が起こりました。
理論的にいえば、スタンダード・プリコーション(標準予防策)が完璧であれば院内感染は起こらないはずですが、そういう処置をしていても院内感染が起こり得る未知の部分があるウイルスだと思います。
私どものような大学病院、あるいは感染症の専門医療機関でも院内感染が起こっていることを見ても、特殊な患者さんの場合には、感染制御が非常に難しい状況があり得ます。コロナであることを認識しないで医療を行った場合、院内感染が起こりうることを常に念頭において診療を行わなければいけないと痛切に感じています。
また研修医の集団感染は会食という場で広がりました。私どもが日常の診療行為でしっかりとスタンダード・プリコーションを遵守していても、バックヤードでの昼食や夜の会食時にマスクを外して他者と接触する時に感染は起こり得るということです。市中感染は市民生活をしている以上、医療従事者にも起こり得ますので、これを防ぐには診療行為の中だけではなく、生活全般に対して様々な注意が必要であると痛切に感じました。
一方で起こってしまった院内感染に対しては、徹底的な接触者調査、迅速なPCR検査、医療チームの入れ換えなどを講じて制御することができました。ウイルスゲノム配列解析による疫学分析の結果も大変有用でした。このように抜本的な対応を迅速にとることで制御できることも学んだと思っています。
新型コロナウイルスが流行するにつれ、WHOあるいは様々な医療機関からこのウイルスの特徴についての報道がありましたが、わからないことも多く、その中で現場は対応しなければならなかった。多くの困難を抱えながらウイルスに向き合ってきたという現状があると思います。
特に無症候感染がわかったのはアメリカCDCの報告でも3月30日でした。慶應病院で起こったケースはその前でしたので、無症候者の中にそれだけ感染力が強い方がいるという認識はあまりなかったわけですね。
そうですね。当時、私どもはすでに2月中にPCR検査の体制を整えており、肺炎疑いの患者さんは全員個室入院させてPCR検査を行っていました。少しでも疑いのある方については、しっかりと水際対策はとれていたと思っていた中で、予想外の経路からの院内感染の発生でした。
「救命診療チーム」の立ち上げ
日本全体、そして世界全体がそのような状況の中でこの新型コロナウイルス感染症と向き合ってきた。その中で日本は対人口の死亡数が非常に低く抑えられ、世界各国の中では感染対策が上手くいったと評価されているのではないかと思います。
日本は最悪の医療崩壊を免れましたが、3月末から4月、5月にかけては本当に危機感を持ち、慶應病院も戦々恐々として臨んだのではないかと思います。
3月末から4月、患者さんが押し寄せてきて病棟が大変な状況になりました。そして今は少し落ち着いていますが、なにか不気味な動きがある。この現状を踏まえながら、一番現場に近い福永先生はどのようなことをお感じになっていらっしゃいますか。
3月の下旬、転院患者さんによる院内感染が起きてしまった状況の中、病院長からCOVID-19に対する診療体制構築の要請を受けました。それまで慶應病院はPCR検査体制や感染予防対策などCOVID-19に対する準備を着々と進めていましたが、この未知の感染症に対する診療経験はほぼないに等しく、診療体制の構築は急務と感じました。
一方で、我々呼吸科器内科のような限られた専門科の医師だけが新型コロナウイルス感染症患者を診ていくということは、当時の諸外国の様子を見た時に、患者が急激に増加すれば、診療できる医師が不足し、早晩医療崩壊につながるであろうと想像しました。このためにも多くの医師たちがこの病気と早い段階で向き合う機会を持ち、医療に参画する体制を構築することが肝要と考えました。
そこで慶應病院全体の医師から成る、「COVID-19 救命診療チーム」を立ち上げました。感染症診療の経験が多い我々呼吸器内科は病態が不安定な中等症を担当し、重症化する人たちをいち早く見つける役割を担う。そして麻酔科、救急部の先生方には急性期あるいは人工呼吸器を要する患者さんを中心に担当していただく。
人工心肺(ECMO)が必要になった場合に備え心臓血管外科、循環器内科とチームを形成。さらに、これらの重症~中等症チームに内科そして外科から医師を交代制で派遣していただくシステムを作りました。また比較的落ち着いている軽症の患者さんについては、内科、外科以外の院内の科の先生方に軽症チームとして同じく交代制で診療に当たっていただきました。
一方で、この得体の知れない病気を診るということは少なからず医療従事者に大きな精神的負担がかかってきます。そこで精神科の三村將教授を中心に「心のケアチーム」を立ち上げていただき、医療従事者のメンタリティのフォローもできる体制を構築しました。
この「救命診療チーム体制」を通じて、初動の段階からこの未曾有の感染症に対する理解を深めていった医師たちが一丸となってこの疾患に立ち向かったことが、第1波の窮地を乗り越えられた鍵の1つとなったかも知れません。
今後、第2波、第3波が来たとしても慶應病院の医師たちはこの診療チームでの経験を活かし、それぞれの現場の指揮官として他の医療従事者と連携をとりながら乗り越えて行けるのではないかと考えています。
遺伝子を継ぐ「ドンネルプロジェクト」
慶應は幸いなことにクルーズ船の患者を受け入れた2月中旬から新型コロナウイルス感染症患者の診療をしていましたので、患者が来た場合の体制や検査体制は整えられていました。
しかし、先ほど話があったように不意を突かれた状況もあり、非常に危機感を持ったわけですが、そのような中、各診療科の皆さんが協力して対応していただいたということが、慶應の非常に大きな特徴だったのではないかと思います。
医学部、そして臨床研究推進センターの研究部門も皆、一緒になって対応しました。教員、学生教育、あるいは病院を支えるという立場でのご苦労もたくさんあっただろうと思いますが、天谷先生、第1波が来た頃の医学部の状況についてお願い致します。
3月下旬、院内感染の事例が発生した瞬間、北川先生、福永先生をはじめとした病院関係者が全身全霊で、皆で何とかコントロールしようとしていた現場を医学部の立場で見せていただきました。
そこで、医学部から何ができるかということを佐谷先生に臨床研究推進センター長としておまとめいただき、自然と基礎研究の方々もどうやってこの緊急時に貢献できるかという機運が高まり、4月2日に第1回会議が開かれました。
そこで集まったメンバーの熱い気持ちが一気に噴き出しました。COVID-19克服のために自分たちにできることはなにかと様々なバックグラウンドの方が情報を共有し、キャンパス内の基礎研究者に伝播するまで時間はかかりませんでした。
具体的な方策に関しては佐谷先生が述べられると思いますが、こういう土壌があったのは慶應義塾大学医学部の、いわば遺伝子があります。つまり、初代医学部長の北里柴三郎が体験したこと、そして大切にしたことの遺伝子が継承されているのだと思います。
北里柴三郎は1894年、アジアでペストが大流行した時、日本の調査隊の派遣団の代表として香港に行き、当時致死率が9割を超えていたペスト菌の原因菌を分離するという偉業をなされたわけです。香港での環境は今の3密どころではありませんでした。研究活動を行ったケネディタウン・ホスピタルでは、8畳ほどの部屋に5人以上の人が詰め、市民に見られることを恐れてカーテンも閉じて蒸し風呂のような状態でした。
死亡例があると、そこから臓器を取り出して染色するというとんでもない作業をして、実際に派遣団から感染者も死亡者も出るという状況でこの偉業を成し遂げました。
慶應医学100年の歴史の中にはそういった遺伝子があるために、このような機運が出てきたのではないかと思います。そして、北里柴三郎のニックネームであった「雷おやじ」からドンネル(ドイツ語で雷の意味)と名付け、基礎・臨床が一体となって新型コロナウイルスについて研究していく「慶應ドンネルプロジェクト」が誕生しました。
佐谷先生、ドンネルプロジェクトは具体的にはどんな枠組みでどんなことが行われているのでしょうか。
今、天谷医学部長がご説明されたように、私たちは「基礎・臨床一家族のごとく」という北里柴三郎先生の言葉にあるように、常に一体化して、基礎医学の研究を臨床に反映するためにこれまでも研究を行ってきました。
私たち臨床研究推進センターは慶應で生まれた基礎研究を臨床に移行することを支援する組織です。今回は特にこの感染症に対して、いち早く研究の成果を診断や治療に直結させることが使命と考え行動しています。基礎研究者も臨床の皆さんとともにこのCOVID-19に立ち向かおうと一体化しています。
実は東日本大震災の際、医療資源が非常に限られた時に、何か基礎の研究者も貢献できないかと、「経験なき医師団」という組織が自発的に立ち上がりました。今回も医学部では松尾光一先生が中心となってボランティアを募ったところ、わずか1週間で100人以上の登録がありました。基礎研究者が臨床の人たちとともに診断、治療に向かって進みたいという熱い気持ちから、ドンネルプロジェクトが生まれました。
今までは異なった分野でそれぞれ仕事をしてきた人たちがその専門性を発揮し、協力してこの新型コロナウイルスに立ち向かっています。
ウイルスに対する抗体や抗原を検出するシステムの開発、そしてウイルスに対する中和抗体の作成などが急速に進んでいます。また分子遺伝学の研究者は、ウイルスゲノム配列解析を迅速に実施し、患者さんのウイルスが武漢から来たものなのか、ヨーロッパ由来なのかを明らかにしました。
また理化学研究所や国立感染症研究所との共同研究もスタートし、第2波のための診断、あるいは新しい治療を行う体制が慶應の中で育ちつつあります。
基礎臨床一体化した研究体制は整い、まさにワンチームでこの感染症に立ち向かっています。
ドンネルプロジェクトは、公衆衛生学的な疫学の解析のチームもあれば、中央検査部を中心とした抗体検査、PCR検査の検査チーム、そのウイルスの配列を読み取るチーム、新たに抗体検査を開発するチームもある。また治療として中和抗体を抽出して、治療に結びつけようとするチーム、あるいは回復期の患者血清から血清を抽出して、それを治療に結びつけようという、様々なチームがあります。
同時に理化学研究所、国立感染症研究所等とのコラボレーションも進めていただき、4月からのわずか3カ月間で多くの成果を出していただいており、これからもその成果が世に出てくるのではないかと期待しています。
第2波、第3波への備え
では今後はどうしていったらいいのか。国の方針も含めて第2波、第3波に対する備えを考えていきたいと思います。
齋藤先生、4月から5月にかけての第1波を踏まえて、これから国の動きはどのような方向に向かっていくのでしょうか。
人と人との接触を8割削減という、東京都心が空っぽになるような対策を行って、第1波をどうにかいったんは収めることができました。そうすることで特に医療体制を整備する時間稼ぎはできたと思っています。
しかし、再びこういった対策を行うことは社会的にも抵抗感は強いでしょうし、経済の面からもなかなか難しくなってきます。また、今は国境もほぼ閉じている状況ですが、海外との交流が全くないという状態もそう長いこと続けるわけにはいかないでしょう。
一方で、いわゆる集団免疫をつけるような方策というのもまだまだ時間がかかりそうで、1、2年では難しいかもしれない。そう考えると今後の対策はなかなか難しいところはあります。
1つ大きな方針としては、医療・公衆衛生体制を底上げしていくことです。それによって社会的にこの流行が許容できる幅を広げていく。具体的には重症者の治療体制を改善していく。あるいは治療薬の開発も非常に重要です。重症化しにくい治療法、医薬品ができれば、当然、社会的にもこの流行への許容度は上がっていきます。
公衆衛生体制という面では、今までクラスター対策をやってきているわけですが、その流行状況をなるべくリアルタイムに、その実態をしっかりと監視下に置くことで、社会の許容度を上げていくことができると思います。
また感染対策という意味では、どういった状況で集団感染が起こりやすいのかを理解していくことで、より賢く感染対策をとることができると思います。そうすることで、大人数を集めるイベント等に対する社会的な許容度を高め、以前の生活に近いところに戻していけるのではないかと思っています。これが大まかな国の考え方かと思います。
これまでの世界の新型コロナウイルス感染症の中で、先ほどご指摘いただいたスーパースプレッダーの特徴はわかっているのでしょうか。
スーパースプレッダーについては、ウイルスの排出量が多い人、それから多くの人に感染させやすい環境の2つの要素があると思っています。現在、高齢者のほうがウイルス排出量が多いという話もある一方、若者で無症状の方でもウイルスを多く排出している方もおられる。その本態はまだわからない部分があります。
「感染させやすい環境」という点では、今までも3密対策と言っていますが、まさにこれが本態ではないか。無症状の時、あるいは咳などがなくても会話などの機会に感染させる可能性があり、ここが一番難しいところです。意識して避けることが難しい感染様式があるために多くの人が感染してしまう。それが3密のような場であると思います。
環境の部分では感染のさせやすさがわかってきた。一方、個人レベルでどういう方がウイルス量が多いのかはまだわからないところがある。
武漢型、さらにはヨーロッパ型など、ウイルスの種別によって感染させやすい、あるいはウイルス量が多いということについての世界のコンセンサスはあるのでしょうか。G614Dの変異があるウイルスがヨーロッパ型で感染させやすいというデータもあると思いますが。
今の流行状況の中でウイルスの変異と感染しやすさを明確に関連づけられるエビデンスはまだないのではないかと考えています。
齋藤先生のお話を聞いて、慶應病院で起こったことはまさにこの2つの典型例であったと思いました。1人は比較的高齢で免疫機能が落ちた方が一気に発症して、周りの同室者に感染させたという事例。
それから研修医の場合、発端者は市中感染でしたが、そのあと研修医ルーム等での集団生活で感染が広がり、そして会食の場で一気に広がりました。齋藤先生がおっしゃった典型的なスーパースプレッダー、感染しやすい環境における集団感染を体験したという印象です。
一方で、まったく無症候のままうつさなかったという事例も多くあり、そこをどのように見極めていくかが課題です。臨床上はこれから非常に知りたいところだなと感じています。
検査体制の充実をどう図るか
感染しやすい環境でスーパースプレッダーがいると感染してしまうことは明らかなので、いわゆる3密を避け、感染しやすい、させやすい環境をつくらないことが一番重要であるということですね。
もう1つ、今後どうするかという課題に検査体制があると思います。どういう検査をすれば私たちはウィズコロナの時代に感染リスクを下げながら暮らせるのかということです。
今、いろいろな検査が行われており、感染していることを、ウイルスの遺伝子をPCR法で検出する方法とウイルスのタンパクを抗原抗体法で検出する方法がまずあります。それから感染していたことを示す抗体を検出する方法についても様々な感度、特異度のものが出回っています。それぞれ簡便さ、検出にかかる時間、検体の処理法などが違う中で、これらをどのように使っていくかは非常に大きな議論になっています。
もちろん検査の処理能力が上がってきているので、これまでの、「できるだけターゲットを絞って見つけていく」という方向からより広く検査を実施して実態を把握することができるようになってきたと思います。
そういった公衆衛生学的な面で見ていく話と、一方で医療現場や医療従事者など、インフラとして守らなければならない場所で、いかに検査を使っていくかはまた別の問題だと思います。
抗原抗体反応による検査法については感度が必ずしも良くはないという話もありますが、少なくとも検査をした時点でウイルス排出量が多い人を把握することで、リスクを下げることはできると思います。そういった使い方は現場のオペレーションの中でどのような目的で使うのかを考えながらやっていく必要があるのではないかと思っています。
検査の方法によって使う場所、対象をある程度分けていきながら、一番効率のよい検査体制を作るということですね。全例にPCRを毎日やることはナンセンスで、コストもかかってとても現実的ではない。リスクを避けなければいけない場所で速く結果を知りたい場合は、例えば簡便な抗原検査で短時間で行うという方法もあるのではないかということですね。
北川先生、慶應ではPCRの体制が整っていることもあって、抗原検査を救急患者、熱発患者全員にすることは今は考えていませんね。医療者を守る、あるいは患者さんを適切に治療する観点から検査体制については今後どのように考えていらっしゃいますか。
当院で入院前PCRによるスクリーニング検査を全国に先駆けて始めたところ、この方法を都内の多くの病院が採用しました。しかし、現在の状況では必要ないのではないかという病院もあり、また首都圏以外の病院ではあまり導入されませんでした。ただし、東京都、特に新宿区はそれ以外の場所とはまったく違う環境だと考えています。
慶應病院も協力して新宿区PCR検査スポットで連日PCR検査をしていますが、そこでの陽性率は今日(7月1日)の段階で3割から4割になっています。このような環境の中でわれわれは診療していますので、入院前PCR、職員に少しでも症状が出た時のPCR、あるいは外来患者さんが不調を訴えた時のPCRは引き続き迅速に行うべきと考えています。
抗原検査ですが、現在、症状が出た段階から数日間はほぼPCRと同じような感度であると認定されていますが、これから検証が必要です。やはり現段階では私どもの環境ですと、より感度の高いPCRによる陰性の確認がないと陰性として扱えないという状況があります。もちろんこれも100%ではありませんが。
慶應病院は新宿区内にある大学病院で、しかも院内感染を経験したことからも、しばらくは厳密にPCR検査を基軸にした防御体制をとっていきますが、今後、効率がよくて感度のいい抗原検査が出てくれば、例えば救急外来で急変のあった方、今からすぐに手術をしなければいけない方、あるいは分娩が迫っている妊婦の方には抗原検査も行い、迅速に対応していくことも必要かと思っています。
PCR検査で陰性を確認してから入院していただいている背景には、4月の頭に入院前患者にPCRをやったところ、陽性率が3.3%もあり、その後の1週間で7.3%だったということがあったわけですね。
4月の第3週ですね。それが東京都の感染のピーク時と一致しています。しかし、それから5月、6月は陽性者はゼロで、スクリーニングした患者さんをトータルしますと、現在、陽性率は0.3%程度です。これは首都圏の抗体陽性率とほぼ一致していますので、4月の高いスクリーニングPCR陽性率も当時の市中感染状況を反映していたのだと推察できます。
大学、社会での感染予防
病院はそのようにガッチリと検査している一方、義塾全体の教育現場あるいは一般の会社などで、今後、教育活動や社会活動が活発になってくる中で、この新型コロナウイルス感染症に対する検査をどのように利用していったらいいでしょうか。
医学部だけですと600人程度ですが、全塾の学生となると、何万人という単位になります。しかも様々に日常生活が営まれている中、どうやったらキャンパス内でクラスター感染を起こさせないかということを考えると、まずはそれぞれ個々人に感染防御対策をしていただくことです。
体温を毎日測定して、何らかの体調不良があった場合には、それをきちんと報告して対策をとる。キャンパス外における会食等も含めて、生活基準を感染対策用にしていただいた上で、発熱等の症状がある場合には保健管理センターに連絡するという形が現実的なのではないかと思います。
教員が授業をするにあたってたくさんの学生、生徒を相手にした時に、ある一定リスクでコロナに感染した学生がいた場合、教職員をどうやって守るのかということがあります。
その際に、検査をすればある程度リスクがわかるのではという意見がありますが、まずは教職員、学生・生徒も、体温や体調等をきちっと把握して、それが異常であれば、キャンパスに行かないということを守るという基本原則を徹底するのが重要だということですね。
リソースの問題をまったく考えなければ、日常的にPCR検査をして、常にクリーンな状況を保つという考え方はあると思います。ドイツのサッカーリーグが週に2回PCRをしていますね。
しかし、大学のようにこれだけ多くの人がいるところで、リソースのことも考えると、やはり体調モニタリングが1つの大きな柱になるのではないかと思います。「1人1人が感染しない、感染させない」という2大原則を守って、この長い闘いを切り抜けなければいけないのではないかと思います。
今、医学部では学生、教職員全員に「keio.jp」という慶應に関連するすべての人が持っているサイトから毎日検温してそれを入力してもらい、これを第3者が見て、もし熱があれば病院、医学部に来ないというやり方を取っていますね。
はい。「keio.jp」に毎日体温を記入していただいて、37.5度以上ある場合には管理者及び保健管理センターに自動的に連絡が行くというシステムです。これを上手く利用していただくと、どこかにクラスターがあったり、集団的に熱が出ているということを早期に検出し、対策をとることが現実的にできるのではないかと思っています。
このシステムを全塾的に広げるというのが次のステップでしょうか。
はい、このシステム自体は全塾的に広げられますので、全塾的な対応がきちんとできる管理体制になると思います。
市中感染への備え
齋藤先生、今、「夜の街関係」とよく言われますが、接待を伴う飲食店(ホストクラブ、キャバクラなど)で感染が広まるのはなぜなのですか。
3月頃も東京で夜の街クラスターがありました。要は業種として、マスクをして接客するとか、遠くで話をするといった対策がなかなか徹底しにくいところです。お酒を飲みながらお話ししていれば、マスクを外したままになってしまうかもしれません。お店側が対策を行っても、お客さんが守ってくれるか、という問題もある。サービス業としてなかなか言い出しにくいところもあるかもしれません。そういういろいろ難しい条件が重なっているのだと思います。
また、そういった業種の人たちは病院になかなか行かなかったり、就業しては駄目と言われても、出勤できないと言い出しにくかったり、収入面から断れないかもしれない。また、調査で勤務先や行動歴を訊ねても、そういった店に飲みに行ったとか、勤めているとか、なかなか聞き出せないこともある。そのため、実態が非常に見えにくいといった要素もあります。
そこでのある行為が特に危険というよりは、危険を避けにくい、そして介入しにくい、という複合的な状況がそこにあるというのが正しいのではないかと思います。
逆に言うとこの情報がかなり流れて、「夜の街に行かなければ安全なのではないか」という安心感があるのも、また注意が必要かなと思います。普通の昼の生活を送っていても、市中で感染者がいて3密空間で接すれば感染リスクはあるわけですね。
はい。あと接触感染というルートもありますので、手を洗う必要性を皆だんだん忘れつつありますが、これも非常に重要だと思います。
ウィズコロナ時代の診療体制
このウィズコロナ時代に病院を今後どのように元に戻していくか。これは大変大きな課題です。北川先生いかがでしょうか。
私どもは厳しい体験をして、いろいろなことを学びました。その中で集中治療チーム、呼吸器内科のような呼吸器感染のプロ、そして竹内先生のような免疫疾患のエキスパートなどが一丸となったチームに治療戦略を最適化していただいたと思っています。もう一度あのようなフェーズが来た時には最善の治療、すなわち重症例の救命はもとより、中等症の患者さんを重症化させない、あるいは軽症例を中等症に進展させない治療ができると思います。
一方で院内感染が起こった時に、どうやって迅速に制御していくかが重要です。暗中模索の中、重大な決断を迫られる場面に何度も遭遇し、私自身も多くのことを勉強しました。今、重要だと思っているのは、そういったことが起きた時にも病院機能の縮小を最小限としていかに乗り切るかということです。
院内をゾーニングし、しかも医療チームをいくつかに分けて、そのチームが活動する場所と担当する患者さんをしっかりと決め、大きな被害が及ばないような体制をとる。それから、診療体制を平準化して、密をつくらずに同レベルの診療をやっていくことが非常に大事だと思っています。
防御に関しては、PCR検査のハードルを下げて、迅速に幅広く行っています。教職員はごく軽微な症状でも保健管理センターを受診し、必ずPCR検査を受けて陰性確認ののち復帰させる体制を堅持しています。それでも市中感染は外来患者さんにも教職員にもこれから出てくる可能性があります。
濃厚接触者をつくらない生活態度を徹底して、たとえ市中感染が出ても、その1人でストップすることが重要です。そして、万が一院内感染が起きても小規模に抑えて診療機能を保っていく。その中でわれわれは大学病院として本来行うべき高度な医療を皆さまに提供しながら、コロナに感染した患者さんに対しても適切な治療を行っていく。このバランスをとってやっていきたいと思っています。
今後の病院の体制の中で、ぜひ付け加えてお伝えしたいことは、慶應病院は今、完全に感染制御ができていて、安全な病院空間であるということです。
これは北川病院長のリーダーシップの賜物です。しかも感染者とわかっていた患者さんから医療従事者への感染は1人もいない。市中感染で医療従事者に感染が出た例もありましたが、そこからの2次感染は1人も起こっていない。つまりスタンダード・プリコーションを行い、生活の注意を守っていただければ感染は制御できるということです。
受診抑制への警戒
大変力強いメッセージをいただきました。『三田評論』をご覧になっている皆さまにご理解いただきたいことは、受診抑制が起こってしまいますと、新型コロナウイルス以外の疾患が悪化してしまう可能性がある点です。コロナ禍が過ぎてから受診すればいいと思うのは危険です。これまでと同じように病院にかかるべきことがあったら必ず病院にかかっていただきたい。そのための体制は慶應義塾大学病院、医学部一同が力を合わせて皆さまの診療に当たっているとお考えいただければと思います。
齋藤先生、超過死亡はアメリカでも、イギリスでも最近の報道によれば通常より大幅に増えていますね。それは単に新型コロナウイルスによる死亡率以外に、新型コロナウイルスによって病院の受診を控えたことが重なっていると思うのですが。
超過死亡は、新型コロナウイルスによる死亡以外に、そのように間接的に影響した死亡も含みます。
超過死亡は、日本ではアメリカやイギリスで報告されているよりもかなり低く抑えられていて、まさにコロナで亡くなられた方が上乗せされたくらいかと思います。それだけ本当に上手く病院でコロナの対応をしていただいたのだと思います。
これからは病院受診を抑制したために、他の疾患で超過死亡が上がることがないようにしていかなければいけないと思います。
これからこのウイルスを制御するには年単位の闘いがあると思います。医学部は、佐谷先生が説明されたドンネルプロジェクトで、様々な観点から基礎研究、臨床研究がされていますので、その活動にぜひご支援いただければと思います。成果が出たら、また皆さまにいろいろな形でお伝えしたいと思います。
今回われわれは慶應病院・社中一丸となって基礎から臨床まで融合しながら治療・研究に当たることができたことは困難な状況ながらも1つの大きな成果であったと思います。
今後はこの成果を慶應病院外のOB、OGをはじめとした医師の方々とも連携をとりながらさらに発展させていければと考えています。現在普及が急がれているオンライン診療を活用するなど、新たなツールを積極的に取り入れながら院外との関係もこの機会にさらに強固に築いていければ良いのではと思っています。
必要とされる感染症専門家の育成
慶應の成果はこれからどんどん出てくると有り難いですが、そうは言っても例えばワクチン開発とか、薬剤開発は競合も多く、研究費も莫大で、その受け皿となる組織がないと簡単ではない。慶應の中で感染症の専門家、あるいはウイルスの専門家、ワクチン開発の専門家を、今後はもっと育てていかないといけないのではないかと思うのですが。
今回のダメージを受け、われわれが潜在的に感染症を甘く見ていたことがわかっていきました。感染症には勝てるという、勝手な思い込みがあったのではないか。そのために、大きな一撃を食らったという気がしています。
私がかつて仕事をしていたヒューストンのがんセンターに連絡をしたところ、あまりの蔓延にがん診療も十分に行えない状況で、このダメージから回復するには数年かかるだろうと言っていました。アメリカですらそうだったわけです。幸い第1波を何とか乗り切ることができたので、その轍を踏まないようにするためにも、まずは今ある体制で協力して、第2波、第3波を食い止めることです。
それと同時に、今後様々な感染症が流行する可能性を考えて、平時に対策をとっておくべきではないか。スタッフや体制の充実、あるいは今回のことを教訓としてSOP(標準作業手順書)をつくっておく必要があるだろうと考えます。
食事をした時の飛沫感染が大きいことを考えると、感染力が強い時は唾液中にかなりウイルスが含まれているということもあります。まだ唾液からのPCRは一般化していませんが、是非この時期にきちんと整備して、検査を唾液でできるようにしたいとも考えています。
検査や治療に関して、世界全体の情報を迅速に得て、一番先端にある役に立つ情報を集約し提供することも私たち研究者の務めかと考えております。
慶應の中には感染症に対して興味を持っている人がたくさんいますし、基礎的な分野では世界最先端の基礎研究をしている先生がたくさんいらっしゃるので、ぜひこういう力を結集して、何らかの形で貢献できれば一番いいのかなと思います。
今回、いろいろなプロジェクトがすぐさま立ち上がったところを見て、さすが慶應だなと拝見していました。
一方で感染症研究そのものは国内でもあまり注目されていない業界です。実際に病原体を扱う研究者がどれだけおられるか、それをさらに動物実験まで手がける方、そしてフィールドに出ていって疫学研究をやったり、あるいはワクチンなどの臨床開発をやる方がどれだけおられるのかというと、そこは手薄なところがあるのかなと思っています。
こういったパンデミックが起きると、一時的に関心が高まりますが、喉元を過ぎるとすぐ忘れられてしまいます。ぜひここで感染症の危機管理、またそれに向けた研究体制を中長期的に充実させていく必要性を改めて社会が認識してくれるといいなと思っています。
ウィズコロナ時代の生活様式を
最後に社中の皆さんに向けてのメッセージは齋藤先生、何かありますでしょうか。
院内感染のことで1つ是非申し上げたいことは、検査をやって、絶対に病院内にウイルスを入れないぞ、というリスク軽減は非常に重要ですが、一方で、検査をこれだけやっているのだから、感染者はここにはいるはずがない、感染者がいてはいけないんだ、というゼロリスクの考え方に向かってしまうと逆に危険だと思います。
どんなに努力しても感染者が院内で出てしまうことを前提にして、その上でいかにそこで広げないかという方向で対策を考える、そういったマインドを持つことが重要だと思います。これは慶應病院だけでなく、関連病院も含めて非常に重要なことだと思っています。
また、これからは社会全体がコロナにかかりにくい、あるいはかかっても広がりにくい社会を考えなければいけないと思います。本当に集まって仕事をしなければいけないのか。いつも同じ時期に皆が休暇を取らなければいけないのか。本当に皆で都会に住まなければいけないのか。そういった大きな視点で生活の仕方も含めて考える機会になるのではないかと思っています。
有り難うございます。大変重要なポイントですね。慶應病院は、いつも8時半になるとフロアは患者さんで満杯になり、午前中に診療ピークを迎えていました。これを朝、昼、夕方まで時間の偏りや、曜日の偏りを平準化するというのが課題です。
医師や職員も、働くスタイルをなるべく平準化することが重要かと思います。社会全体も一極集中するのではなくて、個々が自分の仕事のスタイルを決めていくことが求められるのかなと思います。まさに独立自尊、自分で考え、自分らしく仕事をしていただいて、また楽しんでいただくということになるのでしょう。
本日は大変お忙しいところを活発な議論を有り難うございました。
(2020年7月1日、オンラインにより収録)
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。