Keio University

金正恩政権の北朝鮮と国際社会

Publish: February 14, 2019

Participant Profile

  • 平岩 俊司(ひらいわ しゅんじ)

    Other : 南山大学総合政策学部教授

    塾員

    平岩 俊司(ひらいわ しゅんじ)

    Other : 南山大学総合政策学部教授

    塾員

2019/02/14

ご紹介にあずかりました南山大学の平岩です。私は学部生時代、東京外国語大学で朝鮮半島の近代史を学び、兪吉濬(ユギルチュン)という開化思想家について研究しました。この人物は韓国の近代思想の祖とも言われていますが、慶應義塾に最初に留学に来た学生のうちの1人だそうで、帰国後に福澤先生の『西洋事情』を参考にしながら『西遊見聞』という本も著しています。そのような意味で、私は学部の頃から慶應にご縁があったことになります。その後、関心が徐々に現代へと移り、慶應義塾の大学院で小此木政夫先生にご指導をいただきました。そして本日、この小泉信三記念講座でお話をさせていただく栄誉にあずかり、緊張しながらも非常に感激しております。

本日は「金正恩政権の北朝鮮と国際社会」と題して、ただいま国際社会の注目を集めている朝鮮半島情勢の実情や背景などについて、できるだけ分かりやすくお話ししたいと思います。

核ミサイル問題をめぐる朝鮮半島情勢、危機回避か非核化か?

2018年、本質的な変化を迎えたか?

ご承知のとおり、2017年末までの朝鮮半島情勢は、北朝鮮が連日のようにミサイル発射実験や核実験を行い、それに対してアメリカのトランプ大統領が激しく批判するという具合で、本当に一触即発のような雰囲気がありました。

ところが2018年の1月1日、北朝鮮の金正恩委員長が施政方針演説に当たる「新年辞」を発表し、この中で2月の平昌オリンピックに参加する可能性を示唆したわけです。これをきっかけに韓国が積極的に動き、南北関係が一気に進展します。前年までの一触即発の雰囲気から対話の方向へと一気に移行していきました。

ただし、この流れを本質的な変化と呼べるかどうか。つまり、北朝鮮がこれまでの姿勢を改め、国際社会に協調・恭順の意を示したのかと考えると、一般の期待とは違って、そうではなさそうだというのが、現時点での私の見立てです。

もちろん、前年までの状況を踏まえれば、大きな変化の中にあることは間違いありません。したがって、私たちはこの変化をより本質的な変化につなげるために何をしなければいけないのか、ということを考える必要があると思うのです。

1つの大きな変化として、例えば2018年に入ってから韓国と北朝鮮の南北首脳会談が3回行われました。さらに、6月には米朝首脳会談も行われました。1年前に、米朝首脳会談が行われるであろうと予測した人がどれだけいたでしょうか。当時、アメリカで盛んに議論されていたのは、北朝鮮が核放棄をしない場合にどう行動すべきかということでした。高度の緊張状態が続いていたので、まさかトランプ大統領が金正恩委員長と会談するなどとは考えにくい状況でした。

また、この一連の動きの中で自らを米朝関係の仲介役と任じる韓国の役割が、非常にクローズアップされました。私たちは、米朝関係さらに両国と韓国の連携についても注意して見る必要があると思います。

もう1つ注目されるのが中朝関係です。ここ数年、中国と北朝鮮は関係がよくない時期が続きました。習近平政権がスタートすると同時に、北朝鮮は人工衛星発射と称してミサイル発射実験、そして核実験も行う。さらに、中国と北朝鮮とのパイプ役になっていた張成沢氏(金正恩委員長の義理の叔父)が粛清されてしまう。そして2017年2月には、実の兄である金正男氏が暗殺されます。彼は中国に庇護されていたと言われます。こうした出来事が両国関係にどれほど本質的な影響を与えたかは慎重に検証する必要がありますが、両国が冷却関係にあったことは間違いありません。

ところが、2018年に入り、金正恩委員長が最初に首脳会談を行った相手が習近平国家主席でした。南北首脳会談の直前に電撃訪問したわけで、これが金正恩委員長の外交デビューともなりました。そして、その後の流れの中で中国の存在感が大きくなります。ご案内のとおり、6月12日にシンガポールで行われた史上初の米朝首脳会談に際して、金正恩委員長は中国の飛行機をチャーターして会場に向かいました。中国は、まさに隠れた参加者だったのであり、そんな中国の動きが今後の朝鮮半島情勢で極めて大きな意味を持つことは間違いないと思います。

危機の本質は北朝鮮の核か、朝鮮半島有事か?

結局、この一連の流れをどのように評価すればよいのでしょうか。国際社会の一般的な捉え方としては、2つに分かれると思います。

1つは、日本で多く見られる否定的な評価、つまり「北朝鮮は全然変わっていない。核も放棄しないし、単なる時間稼ぎなのだ」という評価です。とりわけ米朝首脳会談以降、核問題が劇的に進展するかもしれないという期待が膨らんだこともあり、その後の停滞に対して「そら、見たことか」という論調が出てきています。

その一方、実はアメリカ、中国、韓国などでは、「もちろん、非核化はなかなか難しいだろう」と言いながら、「去年の危機的な状況に比べれば、戦争の可能性が低下しただけで十分だ」という論調も多く見られます。政治学者のイアン・ブレマー氏は『読売新聞』(10月19日)で「米国主導で築き上げられてきた国際秩序が揺らいでいる。米国の指導力の欠如が原因だ」としつつも、北朝鮮の問題については「たとえこのまま非核化が進まず、対話だけが続いたとしても、我々は2年前に比べれば安全な地点にいる……トランプ米大統領の功績を認めなければならない」としています。これは米朝首脳会談を高く評価しての発言なのですが、このような見方がアメリカの政治学者の中から出てきているのです。

日本では、北朝鮮が核を放棄するのかどうか、つまり「恒久的な非核化」の如何それ一点が評価の基準になりがちですが、国際社会はむしろ東アジア全体の国際関係の中で、朝鮮半島の安定をいかに確保するかという視点で見ています。その意味で、朝鮮半島をめぐる問題設定そのものから考え直してみたい、というのが、本日のお話のテーマです。

北朝鮮は合理的か、非合理的か?

北朝鮮は先制攻撃をするか?

さて、世界の専門家たちが朝鮮半島情勢を分析する際の基本的な命題の一つに、「北朝鮮は合理的か、非合理的か」という問いがあります。つまり、金正恩委員長は合理的な人間なのか、非合理的な人間なのか、そして北朝鮮は合理的な意思決定ができる国なのか。2017年、北朝鮮の核問題が議論されていた頃のアメリカの政権中枢の関心は、この一点に集まっていたと言われます。

それは、なぜでしょうか。仮に北朝鮮が合理的なプレーヤーだとすれば、彼らが核ミサイルを保有したとしても、アメリカに対して先制攻撃はしないでしょう。当然、アメリカの報復攻撃を受けて体制崩壊の危機を招くことは避けるでしょうから。だとすれば、十数発程度の核ミサイルを北朝鮮が持ったとしても、アメリカにとって大きな脅威ではなく、十分に共存できることになります。アメリカは何千発の核を持ったソ連・ロシアとも共存してきた。何百発も持っている中国とも共存している。その前提となっているのは、ロシアや中国が合理的なプレーヤーであって、核の先制使用はしないだろうという認識です。同様に、北朝鮮が仮に合理的だとすれば、高い犠牲を払ってまで核ミサイルを取り上げる必要はないという判断になります。

しかし、もしも北朝鮮が非合理的なプレーヤーであると前提すれば、一発でも核を持ったとたん、アメリカを攻撃するかもしれない。ならば、どんな犠牲を払ってでも──つまり戦争になって数十万人に被害が及ぶとしても──、この核は絶対に排除しなければいけないというのが、当時のアメリカの議論だったようです。

北朝鮮にとっての合理性

ただし、合理・非合理というのも、それぞれ考えるところが違います。例えば、アメリカの研究者から「北朝鮮は、金正恩委員長個人を含め、合理的だと思うか」と訊かれた時、私は「合理的だと思う。だから先制攻撃はしないだろう。彼ら自身、自分たちが先制攻撃をすることはないと繰り返し言っており、その意味での合理性はあると思う」と答えます。

すると、彼らから「アメリカが北朝鮮の軍事施設・核関連施設に部分的な攻撃を加えた場合、彼らは反撃するか」という質問が返ってきます。それに対して「反撃すると思う」と答えると、「それなら合理的ではない。なぜなら、反撃したとたんに戦端が拡大して、体制が崩壊することは、彼らにも分かるはずだ。ノリエガ将軍であれ、カダフィ大佐であれ、部分的な攻撃に対しては反撃してこなかった。金正恩委員長もそれぐらいの合理性を備えているとは言えないのか」と訊くので、「北朝鮮からすれば、アメリカの最初の攻撃がそこで止まるかどうかは分からない。二の矢、三の矢が来るかもしれない。だとすれば、その前に一矢を報いるということが彼らの合理性だ」、すると「いや、それなら合理的なプレーヤーとは言えない」と。

私たちのように地域研究の枠組みで朝鮮半島情勢を分析する場合、欧米の物差しを使って北朝鮮が合理的かどうかを測ることよりも、「北朝鮮にとっての合理性とはどのようなものか」を明らかにすることのほうに、より重点を置きます。欧米の人々にすれば、北朝鮮の「合理性」を受け入れることはなかなか難しいでしょう。しかし、彼らには彼らの合理性というものがあり、それを理解しなければ、彼らの行動に正しく対応することもできないはずです。

チュチェ思想と国際法

北朝鮮の場合、その一つの手掛かりになるのが、彼らの行動指針であるチュチェ(主体)思想です。チュチェ思想を一言で説明するのは難しいのですが、ここでは簡単に、一種の唯心論として、「自分たちがどのように考えるのか」を最重要に考える思想とお考えください。北朝鮮で、とりわけ政治・外交などに従事する人々は、自分たちの行動をこのチュチェ思想に則って説明するのです。

そして、このチュチェ思想を基本にして、自分たちが所属する社会で貫徹しているルールを自分たち流に解釈し、自らの行動を正当化するというのが、私の北朝鮮に対するイメージです。例えば、東西冷戦期には社会主義陣営の中で行動の規範となる最も重要な思想がマルクス・レーニン主義でした。彼らは、このマルクス・レーニン主義をチュチェ思想によって都合よく解釈し、自分たちの行動を正当化していたわけです。

冷戦終結後の現在、彼らが自分たちの行動を正当化するために使うのが国際法です。もちろん、国際社会一般に共有されている解釈に従うのではなく、国際法の規定を都合よく引用・解釈し、自分たちの政策・行動を正当化するための論拠とするのです。

例えば、この2〜3年間、北朝鮮はいわゆる軍事目的でミサイル発射実験を繰り返してきましたが、その前段階では「宇宙開発」すなわち人工衛星の打ち上げ目的と称してロケットを発射していました。国際社会から見れば、人工衛星の打ち上げであれミサイルであれ、ロケット技術を利用したものなのだから区別はなく、国際社会に対して挑発行為を繰り返す北朝鮮はけしからんということで、実際に国連で「ミサイル」発射実験を禁止する制裁決議が出ます。

それに対して北朝鮮は「これはミサイルではなくロケットだ」という理屈で「ロケット」発射実験を続けます。そこで、次の国連決議ではロケット技術を利用した「あらゆる」発射実験を禁止します。すると、北朝鮮は「いや、宇宙開発は国家の自主権だ。人間の自主権と同様、国連決議で制限されるものではない」と返してくる。これはもちろん、専門家から見ればとんでもない話ですが、とはいえ国際法の解釈というのは難しい面もあり、北朝鮮の主張が100パーセント間違っているとまでは言い切れないこともあるようです。私もかつて国際法の専門家から「北朝鮮にミサイル発射実験を制限させるのに、国際法との関連で議論しないほうがいい。むしろ、国連決議違反であるという一点で攻めたほうがいいだろう」というアドバイスを受けたことがあります。

いずれにせよ、北朝鮮は「自分たちは無法者ではなく、国際法に照らして(それを自分たちで解釈して)正しく行動している」という論法を用いるわけです。したがって、北朝鮮の行動の合理性を問うならば、彼らが自分たちの行動を国際法でどう説明しているのか、どのような立場で自分たちを正当化しようとしているのかという視点をも踏まえる必要がありますし、それが北朝鮮の行動を理解する一つの手掛かりになると思います。

金正恩政権は何を目指すのか?

「常軌を逸した独裁者」イメージの真相

さて、北朝鮮という国家の合理性に続いて、金正恩委員長という個人の思想と行動に焦点を移したいと思います。皆さんは、金正恩委員長に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。義理の叔父である張成沢氏を粛清した人物、あるいは実兄の金正男氏を殺害した男、さらに政権の幹部を次々と粛清していく常軌を逸した独裁者というイメージをお持ちの方もいらっしゃるだろうと思います。

ただし、これらの情報は、当時の韓国の朴槿恵政権から北朝鮮に対する国際世論のイメージ操作として、意図的に出されたような印象もあります。また日本をはじめ各国メディアが特定のイメージを前提として北朝鮮の異様さをアピールするような報道を繰り返した結果という面もあるだろうと思います。

それが、2018年に入ってから一変します。トランプ大統領も「金正恩委員長はいいやつだ」、「高潔な人間だ」と称賛しました。「叔父殺し、兄殺し」から「高潔な指導者」へと、このジェットコースターのような変化はいったい何なのだろうと思うわけです。

私自身は、叔父殺し、兄殺しの常軌を逸した指導者というイメージにも違和感がありますし、昨今の高潔な指導者というのも首肯しかねます。例えば粛清と呼ばれている一連の出来事は、大きな流れで見ると、金正日総書記の時代から金正恩体制への移行過程における、ある種の権力闘争であったと評価すべきだと考えています。

危機管理体制から平常化への回帰?

北朝鮮では、金一族の血統が非常に重要視されています。そして、金正日総書記から金正恩委員長への権力継承に関しては金正日総書記が自ら決定したと伝えられていますから、それ自体が覆されることは考えにくいでしょう。それでも、三男である金正恩氏に継承させるにあたって、金正日総書記は生前からさまざまな準備をしました。そのようにして父親から与えられた権力を自らの権力構造に作り変えていくプロセスが、まさにこの2〜3年間に起きていたことだと、私は理解しています。

もちろん、個別の事例に関してはそれぞれ事情が異なるでしょうから、慎重に検証する必要があると思います。その一方で、張成沢氏や金正男氏が排除された理由は、大きく考えれば、金正日体制から金正恩体制へと移行する権力闘争の中で起きた出来事と言えるでしょう。

このような権力の組み換えが起きる理由を理解するには、金一族の3代の歴史的な位置づけを考える必要があると思います。初代の金日成時代を振り返ると、ロシア革命に影響を受けて社会主義革命が世界的に展開される中、その思想的な支えになったマルクス・レーニン主義がアジアに伝播し、アジアの共産主義革命の一形態として北朝鮮が誕生し、その中心となったのが金日成氏でした。この時代、北朝鮮は東西冷戦という固定的な国際関係の中における社会主義陣営の一員であり、その立ち位置から政権の維持が追求されました。

一方、続く金正日氏の時代は、冷戦が崩壊して国際社会が劇的に揺れ動く中で、自分たちの体制を維持しなければなりませんでした。そのため、金正日総書記自身が先頭に立って軍と一体化し、いわゆる「先軍政治」を行ったわけです。金正日氏が権力を掌握していったこの時期、東側諸国ではルーマニアのチャウシェスク大統領が民衆の手によって処刑され、中国では天安門事件が起きています。これらの出来事から金正日総書記が得た教訓は、「やはり重要なのは、政変の最後の瞬間に軍がどちらにつくのかだ」ということでしょう。ルーマニアでは、軍はチャウシェスク政権ではなく民衆の側についた。一方、中国では中国共産党を守るように人民解放軍が動き、その結果、体制は維持された。

だから、北朝鮮でも自分たちの体制を維持するように軍をコントロールする必要があったのです。おそらく、それが金正日政権の先軍政治の本質であって、北朝鮮の歴史の中で考えれば、冷戦終結に伴う危機をいかに脱するか、ある種の「危機管理体制」として政権運営を行ったのが金正日総書記の時代だったと思います。ここで、もし金正日総書記が自分と同じように軍と一体化する形で、まだ若く経験も十分でない金正恩氏に政権を渡してしまえば、軍の影響を強く受けてしまう。それを回避するためには党が軍をコントロールする本来の形に戻さなければならなかった。そのために党を整備してその中心に金正恩氏を据える。その際、若い金正恩氏の後見人として軍、党から何人か据える。これが、おそらく金正日総書記が準備したものなのだろうと思います。

しかし、金正恩政権がスタートして5年が経ち、かつて金正日総書記が準備をした体制とは顔ぶれが大きく変わりました。これは金正恩委員長が自ら中心となって、自分の政権に作り変えてきた結果だと思います。それが完成したのか、まだ途中なのかということは、今の段階では言えません。

父親の金正日総書記の歴史的使命が危機管理状況下で北朝鮮の体制を守ることだったとすれば、金正恩委員長の歴史的使命は、北朝鮮を本来の革命の姿に戻し、初代の金日成主席からの目標である革命を完成させることなのでしょう。だから、まずは金正日政権からの流れを受けて自国の安全を確保するために核ミサイルに注力し、合わせて経済発展を目指すという並進路線を取ってきたのです。

そして、2017年11月29日にアメリカまで届くミサイル発射実験を成功させ、並進路線に「勝利」したのだから、今後は経済建設中心路線に転換して経済発展を目指すというのが、おそらく金正恩委員長の目指すところなのだと思います。

金正恩政権は核を放棄するか?

時間稼ぎか、一方的放棄か?

このような認識を前提として、では次に「金正恩政権は核を放棄するのか」という問題を考えてみましょう。米朝首脳会談から既に5カ月近くが経過していますが、当初の期待に比べ、残念ながら北朝鮮の核放棄が進展しているとは言えません。ここまで、核放棄をめぐっては大きく三つの見方があったと思います。

一つは、「北朝鮮が核を放棄するはずはない。核ミサイル完成のための時間稼ぎなのだ」という説です。まだ、アメリカに届く実戦配備可能な核ミサイルは完成していないのだから、それを完成させるための時間稼ぎとして、このような融和路線、対話攻勢に出ているのだという見方があります。

もう一つは、「いや、そんなことはない。金正恩委員長は、自分の使命として経済発展を目指しているのだから、核を放棄するという戦略的な決断をしたのだ」という解釈があろうかと思います。

では、私はどうかと言いますと、そのどちらでもなく、三つ目の見方として、アメリカの対応次第だと考えています。

まず、最初の核ミサイル完成のための時間稼ぎという考え方について。これも全否定はしにくいのですが、仮に北朝鮮がわずかな数の核ミサイルを完成させたからといって、米朝のゲームが大きく北朝鮮に有利に働くとは考えられません。核ミサイルを完成させて軍縮交渉を、ということなのでしょうが、アメリカがそれに応じるとは思えませんし、北朝鮮もそう理解しているはずです。

むしろ、完成していない現在の状況で交渉に出たほうが、アメリカに対して交渉の余地はあると考えるでしょう。完成させてしまったら、そしてアメリカが北朝鮮を「非合理的」と判断した場合、軍事行動も辞さないという事態になりかねません。そう考えると、現在のほうが状況はいいわけですから、北朝鮮はそのことを合理的に理解したうえで、交渉に出てきているのだと、私は判断しています。

一方、北朝鮮が核放棄を戦略的に決断したという解釈についてですが、これも残念ながら無条件での放棄は期待できません。私は、北朝鮮が核ミサイルでアメリカおよび国際社会を相手に大きな取引をする決断をしたと考えています。

北朝鮮にとっての「非核化」とその条件

多くの人々は、北朝鮮が核を放棄することを「申し訳ありませんでした。今までやってきたことは間違っておりました」と国際社会に恭順の意を示すというイメージで捉えているようです。しかし、2018年9月の国連総会で北朝鮮の李容浩外務大臣が「一方的に核武装を解除することは絶対にあり得ない」と発言しました。同じく9月に開催された3回目の南北首脳会談の中でも、「アメリカの対応次第で自分たちの対応を決める」という表現が明確に使われています。私たちが注意しなければいけないのは、「朝鮮半島の完全な非核化」と言った場合、いわゆる敗戦国の武装解除ではないのですから、北朝鮮が無条件で一方的に核を放棄するということはあり得ないわけです。

さらに、先ほども触れた2018年1月1日の「新年辞」では、「責任ある核強国として、侵略的な敵対勢力がわが国家の自主権と利益を侵さない限り核兵器を使用しない」と明言する一方、「核のボタンは私の執務室の机の上に常に置かれている」とも言っているわけです。これは、ご記憶の方もいらっしゃるでしょうが、その翌日にトランプ大統領が「私の執務室にある核のボタンはもっと大きい」とツイートし、変な言葉のキャッチボールが成立してしまったという文言です。

北朝鮮が戦略的な決断をしたという解釈の根拠になるのが、2018年4月20日、ちょうど最初の南北首脳会談の1週間前に開催された朝鮮労働党中央委員会総会での決定書です。この党中央委員会総会とは党大会と党大会の間に行われ、会議としては党大会の次に位置するもので、北朝鮮にとってはその時々の重要な内容を決定する会議です。彼らはそこで「4月21日から核実験と大陸間弾道ミサイル、ロケット試射を中止する。核実験の中止を透明性のあるものに裏付けるために、北部核実験場を廃棄する」と表明し、かつ「核実験の中止は世界的な核軍縮のための重要な過程」と位置づけました。ただし、ここにも「わが国家に対する核の威嚇や核の挑発がない限り、核兵器を絶対に使用しないし、いかなる場合にも核兵器と核技術を移転しない」という文言が入っています。

つまり、「もうこれ以上は核実験をしないし、ミサイル発射実験もしない」。それは間違いありません。しかし、既に保有している分に関しては、少なくとも中央委員会総会の決定書では「放棄する」とは言っていない。重要なのはむしろ、自らの核保有を前提にして、「わが国家に対する核の威嚇や核の挑発がない限り、核兵器を絶対に使用しないし、いかなる場合にも核兵器と核の技術を移転しない」としている点です。

実は、2016年5月に行われた第7次朝鮮労働党大会でも、同様の主張が見られます。すなわち、「責任ある核保有国として、侵略的な敵対勢力が核でわれわれの自主権を侵害しない限り、既に明らかにしているとおり先に核兵器は使用しないであろうし、国際社会に対して負った核拡散防止の義務を誠実に履行して、世界の非核化を実現するために努力する」と。

この党大会というのは、北朝鮮の最高の決定機関で、本来は定期的に開催されることになっているのですが、1980年を最後に、実に36年間も開催されていませんでした。この期間は金日成政権の最晩期から金正日時代に当たり、金正日時代とは危機管理体制でしたから、本来の姿とは違った形で政権運営が行われたわけです。このことを踏まえれば、金正恩委員長が党大会を開催したのも、彼が朝鮮革命を本来の姿に戻し、その政策決定のあり方も正常化させるという意思表示だったのだろうと思います。

ただし、党大会が開かれた2016年というのは、1月に通算4回目の核実験が行われ、その後もミサイル発射実験を連日のように繰り返し、1年間で合計20数回の弾道ミサイル発射実験が行われた年でした。

なぜ2018年4月の党中央委員会総会が注目されたのか。1月1日の「新年辞」をきっかけにして、2月の平昌オリンピックへの北朝鮮参加、3月前半には南北首脳会談の開催決定、そしてアメリカのトランプ大統領が「では米朝首脳会談をやる」と発言し、流れが大きく変わった後の決定書で核実験の中止を表明したので、こうした一連の流れが注目されたのでした。同時に、この決定書では経済中心の路線に転換することも謳っています。この2点から、北朝鮮は戦略的な決断をしたのだと評価されたのです。

しかし、少なくとも「責任ある核保有国として、侵略的な敵対勢力が核でわれわれの自主権を侵害しない限り」という条件に関しては、国際社会にミサイル発射を繰り返していた2016年も、融和が進んだ2018年も、実は変わっていません。ある意味、北朝鮮は基本的に変わっていないとも言えるわけです。もちろん、だから「時間稼ぎ」だとは思いませんが、北朝鮮が白旗を上げたわけではないので、現段階で北朝鮮の一方的な核放棄を期待することはできないのです。

それでも、北朝鮮が経済中心路線に転換しようとしていることは事実でしょうから、これを実現するために、北朝鮮は大きな取引に出ているのだと思います。だからこそ、米中をはじめ国際社会の対応が非常に重要になってくるのです。

米朝の溝と韓国、中国──核ミサイル問題進展のための構造的課題

「北朝鮮の非核化」か「朝鮮半島の非核化」か?

北朝鮮とアメリカの間で「非核化」についての溝があることは間違いありません。アメリカは、まず「北朝鮮の非核化」を優先し、その後に制裁の解除、さらには体制の保証に移るというのが基本姿勢です。ただし、実はトランプ大統領が本当にそう思っているのかどうかは分かりません。その点が曖昧になる可能性も含めて、私たちは注意して見ていく必要があります。

一方、北朝鮮が望んでいるのは「朝鮮半島の非核化」です。自分たちが安心して核を放棄できるような「平和体制」を構築してほしい、つまり体制の保証と核放棄が同時でなければならないというのが北朝鮮の立場だろうと思います。

繰り返しますが、北朝鮮は必ずしも白旗を上げて「核を放棄します」と言っているのではなく、大きな取引として核を放棄する可能性を示しているのだと思います。既に持っている核を認めさせたままアメリカとの関係を構築したい、というのが本音でしょうが、それが難しいとすれば「核を放棄する意志はあるのだから、安心して核放棄できるような環境を作ってくれ」ということです。具体的には、アメリカからの軍事攻撃を受けないような、東アジアにおける平和体制を作ってほしい。米朝関係がうまくいかない時でも、中国、韓国、ロシアなどが加わって、アメリカが乱暴なことをしないようにしてほしい。さらには、経済発展のための手助けをしてほしいというのが、北朝鮮の望みだと思います。

存在感を増す中国、その狙いは?

ご承知のとおり、中朝関係は1992年に韓国と中国が国交を正常化したことをきっかけに冷却化していました。しかし、金正日総書記が金大中大統領との南北首脳会談の直前に電撃的に中国を訪問し、中朝関係を回復していきます。彼は亡くなる直前まで中国に足しげく通っておりました。

一説によると、金正日総書記は最後の訪問時に、中国側に二つの要請をしたと言われます。一つは核の傘を提供してほしい、もう一つは、通常兵器の近代化を助けてほしいということです。もちろん、真偽のほどは定かでありませんが、昨今の状況、例えば北朝鮮が核を放棄した場合に何が起こるかを考えると、何となく腑に落ちるところもあります。

北朝鮮は2013年の党中央委員会総会で核と経済の並進路線を掲げ、以来、安全保障に関しては核ミサイルにエネルギーを集中したわけですが、その半面で通常兵器の近代化が置き去りにされてきました。

この状況で核を放棄したら、北朝鮮の安全保障はどうなるのか。老朽化した通常兵器だけで自らの安全保障をどうしていくのか。仮にアメリカが韓国に核の傘を提供し続けるなら、北朝鮮も中国の核の傘に入り、かつ通常兵力を整備しなければ、核を放棄することなどできないでしょう。もっとも、この場合は中国の属国のようになって、それで北朝鮮の主体性が維持できるのかという別の問題も出てきますが。

いずれにせよ、北朝鮮にとっては、平和体制の構築──体制の保証と経済制裁の解除──が最も重要な外交目標となりますし、中国もそのような方向で動かなければいけないという状況かと思います。

では、この状況を中国の専門家はどう見ているか。私が2週間ほど前に中国での会議に出席し、専門家たちに直接話を聞いたところ、半々というところでしょうか。朝鮮半島問題を専門とする研究者は、「北朝鮮は核を放棄する決断をしていると思う」と分析する人たちが多いように思います。一方、安全保障、国際関係を専門とする研究者は、「北朝鮮は核を放棄しない」と分析する人たちが多いように思います。

ところが、北朝鮮の意図については意見が分かれる人たちも、結果については「うまくいかないだろう」という見解で一致するのです。それというのも、彼らはアメリカがこの交渉プロセスを受け入れないと考えているからです。北朝鮮は、核放棄の用意はあるけれども、無条件で放棄するわけではなく、むしろ取引しようとしている。それにアメリカは付き合えないだろう。また中国も、現在の貿易戦争のような対立関係を前提にすれば、なかなかアメリカの思うように動くつもりはない。だとすると、おそらくアメリカは痺れを切らして、このプロセスは座礁するだろう。こうした推測から「北朝鮮に核放棄の決意あり」と考える人々も、放棄へのプロセスは失敗すると予想しているのです。これが、今回、私が中国で得た一つの興味深い印象です。もちろん、今後の米中関係次第で中国の対応も変わるでしょうが、やはり中国はどちらかというと北朝鮮寄りであって、アメリカへの不信感や警戒感のほうが強く、核放棄のプロセスを成功させるためにはアメリカが姿勢を変えなければいけないという捉え方をしています。

この点を少し補足しておきましょう。中国の北朝鮮問題についての捉え方は、日本人のそれと少し違っています。例えば、しばらく休会状態が続いている6カ国会議(6者会合)について、日本はこの会合を「北朝鮮に核を放棄させるための枠組み」と捉えています。しかし、中国の専門家たちは、それと同時に「アメリカの行動を制御するための枠組み」でもあると考えているのです。

私はいつも「中国は国際社会と北朝鮮の間に立っている」という言い方をしていますが、より積極的に言えば、彼らは「東アジアにおけるアメリカの軍事的プレゼンスをいかに制限するか」ということを追求しています。今回の一連のプロセスでも、王毅外相は「中国の玄関先である朝鮮半島でアメリカが軍事行動を起こすことは絶対に許容できない」と繰り返し警告しています。私たちは、このことを前提にして中国の言動を見ていく必要があります。

緊張緩和を進める韓国は勇み足か?

次に、米韓関係について考えてみましょう。自らを米朝間の仲介者と任じ、2018年1月1日以降の流れを止めてはいけないという立場なのが韓国です。ただし、9月の平壌共同宣言などを見ると、韓国はやや勇み足のような印象を受けます。例えば安全保障面でも、ずいぶん踏み込んで南北関係を変化させており、アメリカ側が不満を抱えているのが昨今の状況です。

私は、2018年の1月から2月にかけて韓国を訪問する機会がありました。まさに韓国がイニシアティブをとって南北首脳会談を準備し、また北朝鮮の平昌オリンピック参加を実現させた時期です。その時に韓国の関係者が盛んに言っていたのは、自分たちの対北朝鮮政策は、本当に「こんなに細かいことまで」というぐらい、すべてアメリカと協議・交渉しており、アメリカが納得したことしかやっていないということです。

例えば平昌オリンピックでは女子アイスホッケーで南北合同チームが実現しましたが、そのユニフォームはアメリカのノースフェイス製でした。しかし、アメリカ製品を北朝鮮に提供することには国連決議との関係で慎重に対応する必要があったようで、ロゴをどうやって見えないようにするかについて外交ルートでアメリカと相談し、許諾を得たそうです。それぐらい丁寧に対応しているのだから、日本で言われるような「勇み足」「前のめり」にはなっていないというのが彼らの主張でした。

それを聞いて、私も「そういうものか」と思っていましたが、9月の平昌宣言や3回目の南北首脳会談に対するアメリカ側の反応を見ると、やはり勇み足と言わざるを得ない部分があるようにも思われます。

冒頭で、北朝鮮問題を「北朝鮮の非核化」と捉えるのか「朝鮮半島の緊張緩和」と捉えるかによって評価が異なるというお話をしました。以前、国連の北朝鮮制裁専門家パネルの関係者と意見交換をした際、「最近、韓国は人道支援の枠組みをどうやって広げるかということばかり考えている」「中国とロシアは制裁解除を正面突破でやろうとしている」「それに対してアメリカは腰が定まらない」、そのため日本だけが厳格に制裁を実施しようとしているという話を聞きました。それなら、安保理の常任理事国であるイギリスとフランスに働きかければよさそうなものですが、その当時はフランスもイギリスも、とにかく北朝鮮が今の流れから離脱しないようにということばかり言っていたそうです。

その背後には、北朝鮮もさることながら、どうやらトランプ大統領も何をやるか分からないという警戒感があったようです。そうした文脈から、イアン・ブレマー氏の「2年前に比べれば安全な地点にいる」という評価も出てくるのだと思います。

核ミサイル問題の行方と日本

日本は「蚊帳の外」なのか?

最後に、日本のお話をしたいと思います。北朝鮮問題をめぐっては、よく日本「必要論」と「蚊帳の外論」との間で議論されるようですが、北朝鮮側から見た具体的な論点としては、一つが朝鮮戦争の終結、つまり平和体制構築へのきっかけとして休戦協定の問題があります。そしてもう一つが、経済発展に向けての国際支援の獲得となります。国際社会が日本に期待するのは主に後者で、日朝国交正常化後に日本が北朝鮮にどれだけの経済支援を提供できるのかということが議論になっています。

中国や韓国の専門家と話していても、小泉政権時代の日朝平昌宣言によって、国交正常化の暁には経済協力をすることになっているが、いったいどのくらい出せるのかという話題が盛んに出ます。もちろん、私はそれを知る立場にありませんし、小泉総理と金正日総書記との間で具体的な額が出たという話も聞いていません。ただ、交渉の過程で60億ドルあるいは100億ドルという数字が出たという報道はありました。

ちなみに、その積算根拠ですが、日韓国交正常化の際の有償・無償を合わせた日本の供与額が5億ドルでしたので、これをその当時のレートなり国力なりを基に換算すると、およそ60億ドルあるいは100億ドルになります。そんな話を韓国の友人にすると、「では、今なら300億ドルか」と返ってきます。私は経済専門ではありませんが、日本国内でそんな話は聞こえないし、むしろ100億でも厳しいという声さえあります。

いずれにせよ、北朝鮮の非核化が進み平和体制の構築問題が焦点になる時、日本に対して経済的な期待があることは事実ですが、平和体制がどのようなメカニズムになるにせよ、安全保障面でも日本の役割が不可欠であることは間違いありません。だからこそ日本としては、核ミサイルの問題が解決され、日朝2国間の問題が解決されれば国交正常化し、その後に経済協力という日朝平昌宣言を基本とする原則を曲げず、冷静に対応する必要があります。

安倍政権の姿勢と課題

2018年1月以降、安倍政権の強硬な姿勢に対して国内外で日本の「乗り遅れ論」や「蚊帳の外論」が出ていますが、私自身は、安倍政権の北朝鮮政策は、基本は変わっていないものの雰囲気はずいぶん変わったという印象を持ってます。

例えば、2017年の安倍総理の国連演説では、「必要なのは対話ではない。圧力なのです」とまで言い切りました。帰国された後、当時の衆議院選挙などでは「対話に引き出すための圧力だ」と表現は変わりましたが、それでもかなり厳しい言い方だったわけです。

ところが、今年の国連演説では「北朝鮮との相互不信の殻を破り、新たなスタートを切って、金正恩委員長と直接向き合う用意があります」と語りました。この部分はテレビや新聞で強調されるところですが、私はその手前の部分、「手つかずの天然資源と大きく生産性を伸ばし得る労働力が北朝鮮にはあります」、そして「私たちは北朝鮮がもつ潜在性を解き放つための努力を惜しまないでしょう」という2つの文章に大きな変化を感じています。今後の流れの中で、日本がどのような役割を果たすのかということを明確に示していると思うからです。ただし、「実施する以上、拉致問題の解決に資する会談にしなければならないと決意します」と条件が付けられています。当然ですが、拉致問題がどのように処理されるかがカギになっています。

拉致問題について、北朝鮮はしばしば「解決済みである」と言っていますが、北朝鮮の対応は日本側の対応次第だろうと思っています。北朝鮮はこれまでも解決済みとの立場でしたが、再調査には何度も応じてきました。しかし、再調査の結果が日本にとって納得のいかないものであったり、再調査の結果自体が出てこなかったりしたために、先へ進めませんでした。私は、日本が真相究明に向けて、具体的にどう関わっていくのかということがより重要になるだろうと思います。つまり、これまでのように北朝鮮側に一方的に再調査をさせて、その結果を日本側が判断するという方法ではなかなか進まないので、むしろ日本側が納得できるように真相究明に関わっていく必要があるということです。

もう1点、河野外務大臣が中距離・短距離ミサイルの廃棄を繰り返し訴えていますが、北朝鮮にも自衛権があります。私は別に北朝鮮の肩を持つわけではありませんが、例えばICBMについては、米朝関係が改善されれば保有する必要はないというロジックもあり得るでしょう。しかし、短距離・中距離ミサイルは依然として自国防衛に必要な軍事力のはずです。もちろん、日本にとっては重大な脅威ですので、北朝鮮に短距離・中距離ミサイルを放棄させるために、どのような枠組みやプロセスで軍縮を進めるかについても別途に工夫が必要だろうと思います。

その意味で、日本は対北朝鮮政策の基本である「拉致・核ミサイル問題の包括的解決」および「国際的協調」の2つを前提にして、対話と圧力をバランスよく使いながら北朝鮮に向き合っていく必要があるでしょう。やはりこれが基本姿勢であることは変わらないと思います。

国際的な動向を受け、安倍政権の姿勢にも変化が見られます。今後、米朝関係や中国、韓国の動きを踏まえつつ、日本はどう動いていくのか。核問題が当初に期待されたような形では動かないとすれば、日本の役割はますます大きくなっていくだろうと思います。

以上で私の講演を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。

(本稿は、2018年11月5日に行われた「小泉信三記念講座」での講演をもとに一部を加筆修正したものです。)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。