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[慶應義塾豆百科] No.46 評議員の改選

第29期(平成6年11月1日~10年10月31日)の慶應義塾評議員の顔ぶれが決まった。この評議員会というのは、研究・教育に関する学事面でのことは別として、学校法人慶應義塾の管理運営に関しては、その最高の決議機関でもある。即ち、予算・決算の承認、大学の学部、大学院、研究所、諸学校などの新設や、施設の拡充、その他義塾の運営に関する重要事項の決定は、すべてこの評議員会の議を経なければならないことになっている。従って義塾運営の執行機関である塾長、常任理事、理事及び監事の選任も、すべてこの評議員会を母体としている。それだけにこの評議員会への卒業生(慶應では塾員という)の関心も深いのだが、この評議員会は細かくいうと次の4種の評議員から構成されている。教職員評議員、卒業生評議員、推薦評議員、塾員評議員がそれで、それぞれの定数は14名、30名、25名、30名となっており、任期は教職員評議員は前・後期にわかれ夫々2年、他は4年である。もちろんそれらは選挙母体が異なるだけで、評議員としての権限に差があるわけではない。このうち一部の新聞や週刊誌で話題となるのは卒業生評議員の選挙である。これは塾員総数(約28万名)中、20万人以上の全有権者塾員の投票(すべて郵送)により選ばれるもので、殊に永年連記制であったのを昭和53年11月より就任する第25期評議員会選挙から単記に改められたことから塾員の関心が高まり、例えば、平成6年評議員選挙の時の投票総数は実に11万1000余名(投票率55.9%)の多きに及んだ。候補者には理事会推薦のものと塾員100名以上150名の連署による推薦と2つあるが、今回は前者が56名、後者が5名の計61名の候補者を対象に、得票による上位30名が当選となった。

義塾の評議員について特徴的なことはすべて無報酬だということで、年6回開かれる定例評議員会への出席も、地方在住の評議員は上京に要する旅費宿泊費その他も全くの自前である。それは塾員が母校に寄与することはあっても、義塾からの反対給付は決して期待すべきではないという不文律のきまりが固く守られていることによるものである。なお評議員の定数が学外85名に対し、学内が14名というのも、慶應義塾は単に教職員だけのものではなく、広く義塾社中が協力して維持すべきだという意識からきたものであり、また学事に関しては、金は出しても口は出さぬという相互の良識への信頼があるからでもあろう。