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[プレスリリース]
遺伝性パーキンソン病患者由来のiPS細胞を樹立し脳内における新たな病態の解明および再現に成功-パーキンソン病発症メカニズムの解明、新薬開発に期待-

研究医療
2015/06/16  慶應義塾大学医学部

慶應義塾大学医学部生理学教室(岡野栄之教授)、北里大学医療衛生学部再生医療・細胞デザイン研究施設細胞デザイン研究開発センター(太田悦朗講師(慶應義塾大学医学部共同研究員)、小幡文弥教授)の共同研究グループは、遺伝性パーキンソン病患者由来のiPS細胞を初めて樹立し、分化誘導した神経細胞を用いてパーキンソン患者の脳内における病態を再現し、ドーパミン放出異常やリン酸化タウの増加などのパーキンソン病の発症メカニズムの一端を解明しました。

本研究グループは、全患者の10%を占める遺伝によって発症する遺伝性パーキンソン病患者の発症メカニズムの解明を目指して、Leucine-Rich Repeat Kinase2(LRRK2)遺伝子に変異を有する優性遺伝性パーキンソン病家系内の患者2名からiPS細胞を樹立し、これらのiPS細胞から神経細胞のもととなる神経幹細胞を作製後、分化誘導した神経細胞について機能解析を行いました。その結果、iPS細胞から誘導した患者の神経細胞群では、健常者の神経細胞群に比べ、(1)酸化ストレスに対する脆弱性があること、(2)ドーパミンの放出異常があること、(3)細胞内のAKT/GSK-3βシグナル伝達経路の異常によってリン酸化タウが増加することが明らかになりました。また、iPS細胞を樹立したうちの1名の患者の死後脳を調べたところ、GSK-3β活性化によるリン酸化タウの増加、そしてそれが脳内に沈着して引き起こされる神経原線維変化を確認しました。今後、本研究成果を応用し、遺伝性だけでなく突発的に発症する孤発性も含めたパーキンソン病の病態解明や治療のための新薬開発が期待されます。

本研究成果は、2015年6月8日(英国時間)に医学雑誌「Human Molecular Genetics」オンライン版で公開されました。

プレスリリース全文は、以下をご覧ください。

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