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[プレスリリース]
未分化ヒトiPS細胞の安価かつ高性能の大量培養培地の開発に成功
-iPS細胞を用いた再生医療の実現化に向けて-

研究医療
2014/02/06  慶應義塾大学医学部

心筋梗塞、拡張型心筋症などの重症心不全では、数億個もの心筋細胞が失われていますが、ヒトは失われた心筋細胞を元に戻す自己再生能力がありません。このため、幹細胞から心筋細胞を再生し、これを患者の心臓に移植する再生医療が注目されています。胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、神経細胞や心筋細胞などあらゆる細胞種へと分化できる能力を持つことから、再生医療の細胞源として期待されています。しかし、iPS細胞の多分化能を維持しつつ培養するには繊細な注意が必要であるとともに、維持培養液の品質にも通常の癌細胞や正常細胞用の培養液とは比較にならないほど高品質な性能が求められます。これまでヒトES、iPS細胞用として販売されていた培養液はどれも極めて高価であり、大量の細胞培養を必要とする心臓等の再生医療では、臨床応用への大きな障害となっていました。また、多額の日本のiPS細胞研究費が海外メーカーが作製した培養液へと費やされてきました。我が国ではiPS細胞を用いた難治性疾患治療への挑戦がAll JapanのProjectとして進められていますが、ヒトiPS細胞を用いた臨床応用を普及させるためには、基礎研究から臨床応用に至るまで幅広く活用できる実践的な培養液の開発が必須となっています。

今回、慶應義塾大学医学部循環器内科の福田恵一教授、藤田淳特任講師、遠山周吾助教らおよび味の素株式会社(本社:東京都中央区、社長:伊藤雅俊)の岡元訓主任研究員らの研究グループは、未分化iPS細胞を安価に大量培養するための汎用培地の開発に成功しました。iPS細胞の未分化維持や増殖に必要な栄養素を詳細に解析することにより、必須な成分と不要な成分を明らかにしました。この結果から、培養液の必須成分および有用な成分のみを巧みに組み合わせることで高品質な培養液の作製に成功しました。また、製造の上で高コストとなる原因を究明し、さらに低コストで効率的に培養が出来る方法を考案し、低価格化を実現しました。この培養液を用いることにより、iPS細胞を用いた再生医療の基礎研究と臨床応用が強く推進されるものと考えます。

本研究は、独立行政法人科学技術振興機構 再生医療実現拠点ネットワークプログラム「再生医療の実現化ハイウェイ」等の助成によって行われました。

プレスリリース全文は、以下をご覧ください。

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