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[プレスリリース]
長期記憶への鍵「ネットワーク遷移」
—作業段階に応じたシグナル伝達実行部隊の切り替え—

研究
2012/12/19  慶應義塾大学

慶應義塾大学理工学部生命情報学科 広井賀子専任講師他は、同大学院理工学研究科学生(論文作成当時)の瀧沢大夢と、哺乳動物の長期記憶を司る分子メカニズムを再現した生化学反応ネットワークモデルを作成し、2 週間を超える長期間安定した記憶を形成するには、記憶刺激の繰り返しにともなって、神経細胞内で分子メカニズムのネットワークが刻々と移り変わっていく現象「ネットワーク遷移」が鍵となることを、コンピュータシミュレーションにより示しました。
「記憶する」という現象は、脳内の神経細胞が互いに接続するという現象と直接結びついていると考えられています。この神経細胞間の接続部分に形成される特別な構造は、シナプスと呼ばれます。
これまで、げっ歯類の脳切片や、神経細胞初代培養系を用いた実験によって、記憶を誘導する刺激により新しく形成されたシナプスを長期間維持するためには、一定の間隔を置いて、繰り返し刺激を加えることが重要であるとされてきましたが、そのメカニズムは、はっきりと説明できていませんでした。
研究チームでは、この実験結果を説明するために、「ネットワーク遷移」という仮説を提唱し、実際にこの仮説に従うネットワークの移り変わりを持つ分子機構が、実験結果を再現可能であることをコンピュータシミュレーションにより示すことに成功しました。今後、この分子機構モデルを利用して、ヒトの長期記憶を司る上で重要な要素の同定や、それらを利用した医療技術開発が促進されると期待されます。
この研究成果は米国科学誌『PLoS ONE』オンライン版に2012年12月21日(金)午前7時(日本時間)に掲載されます。http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0051000外部サイトへのリンク

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