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[プレスリリース]
パーキンソン病iPS細胞を樹立、その病態メカニズムを再現
—パーキンソン病の病態解明、新薬・早期診断法開発に期待—

研究医療
2012/10/10  慶應義塾大学医学部

慶應義塾大学医学部生理学教室の研究グループ(岡野栄之教授、今泉陽一研究員)と順天堂大学医学部脳神経内科(服部信孝教授)の共同研究グループは、パーキンソン病患者さんからiPS細胞を作製し、病態メカニズムを再現することに成功しました。このことは、病態解明と根本治療につながると期待されます。
パーキンソン病は、アルツハイマー病の次に多い神経変性疾患であり根本的治療法がありません。手足のふるえやこわばり、動作が緩慢になる、転びやすくなる、といった運動症状を主に示します。パーキンソン病には特定遺伝子の変異が原因となり発症する「家族性」と、家族らに発症者がいなくても発症する「孤発性」があることが知られています。今回、岡野教授らの研究グループは、2人の家族性パーキンソン病患者さんの皮膚の細胞から、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作成することに成功しました。
さらにこれらのiPS細胞から神経細胞を誘導した結果、パーキンソン病由来の細胞では酸化ストレスが亢進し、エネルギー産生器官であるミトコンドリアに異常があることが確認できました。また、iPS細胞の由来となった一方の患者さんの死後、脳を解析したところ、αシヌクレインと呼ばれる毒性の高いたんぱく質が蓄積していることを見出しました。同患者さん由来iPS細胞から作出した神経では、脳の解析と同様にαシヌクレイン蓄積していることを確認しました。
本研究では、世界で初めて実際のパーキンソン病患者さんの脳内で起きている現象を、同じ患者さん由来iPS細胞を用いて正確に再現しました。今後、パーキンソン病研究が新たな展開を迎えることとなります。
本研究成果は、医学雑誌「Molecular Brain」のオンライン版で公開されました。また、2012年10月13日から米国で開催される"Society for Neuroscience"でも発表されます。
本研究は、科学研究費補助金、文部科学省・再生医療の実現化プロジェクトなどの助成によって行われました。

プレスリリース全文は、以下をご覧ください。

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