慶應義塾大学医学部内科学教室(循環器)の佐野元昭准教授、白川公亮助教らは、お腹がぽっこりと出る内臓脂肪型肥満が、免疫老化を加速させることで、さまざまな疾患を引き起こす原因となること、すなわち、内臓脂肪型肥満による生活習慣病と免疫機能低下の発症基盤に、免疫細胞(とくにTリンパ球)の老化が深く関与していることを初めて明らかにしました。
内臓脂肪型肥満は、若齢時から糖尿病や心血管疾患の発症のリスクを高めることが知られていますが、詳細なメカニズムは不明でした。そこで、研究グループは内臓脂肪型肥満と免疫老化の関連について検討することにしました。その結果、高脂肪食をたくさん食べさせて太らせた若齢マウスの内臓脂肪において、健康な若齢マウスにはない老化したTリンパ球集団が短期間で大量に出現することを発見しました。
今後、老化したTリンパ球集団を標的とした免疫機能の回復により、内臓脂肪型肥満に関係する生活習慣病の発症予防をめざす治療法の開発につながることが期待されます。内臓脂肪型肥満患者の生活習慣病の発症予防という観点からも、アンチ・エイジング医学という観点からも、大きな成果であると考えます。
本研究成果は、2016年11月8日、米国の権威ある医学研究専門誌「The Journal of Clinical Investigation」に掲載されました。
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