2月5日(火)、アンゲラ・メルケル ドイツ連邦共和国首相が、学生と対話を行うため、慶應義塾大学三田キャンパス北館ホールを訪れ、満員の会場では、集まった学生たちから万雷の拍手で迎えられました。
長谷山塾長からの紹介に続き、メルケル首相は、今回の交流の機会に感謝の意を表し、さっそく学生たちに質問を促しました。日独の両国の共通の課題から、教育政策、AIなどの科学技術が抱えるジレンマや、個人情報、安全保障に至るまで、多岐にわたる質問が次々に飛び出し、首相はそのひとつひとつに熱心に答えました。
メルケル首相は、介護休暇制度、再生可能エネルギー、インクルーシブ教育など、ドイツ独自の先進事例を挙げて、日本での取り組みについて示唆を与えました。また、自国の利益のみ追うのではなく、グローバルな課題に対しては協調して解決にあたる重要性を指摘し、その一例としてAIを含む技術開発を挙げ、先端技術は、人々と社会にとって最も役に立つ形で普及させる必要があると述べました。
また、女性の職場での地位向上についての質問に対しては、キャリアの形成と家庭生活の両立を可能にする雇用制度や社会制度の改善に加えて、人々の意識の改革が必要で、特に、女性には自信をもって目の前にあるチャンスを掴み取ってほしい、と語りました。
メルケル首相は、1時間にわたるイベントの最後に、これ以上質問を受けることができず残念だが、みなさんとの交流を心から楽しんだと述べ、三田キャンパスを後にしました。
【特別記事】「メルケル首相、塾生と語る」(『三田評論』2019年6月号掲載)