今回行っている免震レトロフィット工事は、建物下部を8mほど掘り進め、地盤支持層で底盤を打ち、免震装置を54箇所設置するものです。
施工手順は大きく分けて6段階になります。
(1)山留め杭打設
(2)地下1階床スラブ撤去、既存基礎底レベルまで掘削(1次掘削)(約2m)
(3)既存基礎・梁の補強構築
(4)基礎下に仮受杭(鋼管杭)打設のうえ、掘削(2次掘削)(約6m)
(5)底盤に耐圧スラブを構築
(6)免震基礎構築・免震装置の据付
2017年8月現在、全体工事の約17%が進捗し、施工手順の(3)既存基礎・梁の補強構築を行っている段階です。劣化した箇所の保存修理作業は2018年から開始する予定ですが、作業が開始されると建物の周囲に足場を立てるため、工事終了までの間、図書館旧館の姿は見えなくなってしまうことになります。
この工事は、文化財の保存事業ともなっているため、文化財の作業主任者を選定、委託し監理しています。ただ工事を進めるだけでなく、進捗の記録を取り、当時どういった材料が使われていたかなど文化財としてのチェックも行いながら適切に事業を行う体制をとっています。
外から見ている限りは、一見してほとんど変化がありませんが、実際は、建物の下を掘り進んで免震層を構築していくという、非常に難しい工事が日々着実に実施されています。