5月26日(金)、三田キャンパス北館ホールにて、経済学部主催ジェームズ・ブラード セントルイス連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of St Louis:米国)総裁講演会が開催されました。中村慎助経済学部長による挨拶の後に、ジェームズ・ブラード総裁が“Current Growth, Inflation and Price Level Developments in the U.S.”と題する講演を行いました。
ブラード総裁は講演の中で、最近の米国経済情勢について、雇用情勢が大きく改善し金融面でも低金利を通じた緩和的環境が続いていても、インフレ率やインフレ期待は低下方向で推移している、と報告しました。また、中長期的な視点からみると、労働市場の改善がインフレ率の上昇につながりにくい状況となっており、憂慮すべきことだとの考えを述べました。質疑応答では、塾生から複数の質問がなされ、「金融政策やマクロ経済学について、民間主体の理解度に大きな差があるもとで、金融政策の効果を高めるにはどのようにすればよいのか?」という質問に対しては、「コミュニケーションを繰り返し、政策意図を誤解して捉えられないよう努力することが大切だ」と回答しました。
最後に塾生へのメッセージとして、「大学院生の時に、マクロ経済学は統一された理論がないため専攻しない方がよい、と言われたが、明確な答えがないからこそ面白い分野で挑戦し甲斐があった」として、わからないことに挑むことの大切さを訴え、講演を締めくくりました。
会場には経済学部・経済学研究科の学生を中心に多くの学生・教職員が来場し、参加者は終始、熱心に耳を傾けていました。