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[特集] ひろがる慶應義塾 —地域連携キャンパスと国内外の拠点(1)

 
2014/12/15  慶應義塾

義塾には6つの主要キャンパス以外にも、国内外の各地にさまざまな特徴を持つ拠点があります。自治体と連携して設立されたタウンキャンパスでは、義塾の教員・研究者、塾生たちが世界をリードする最先端の研究を行うとともに、地域との交流を深めています。その他にも、海外における義塾の拠点として機能しているオフィスなど、未来に、そして世界にひろがる慶應義塾を紹介します。

(「塾」2014年 AUTUMN(No.284)掲載)

<新川崎タウンキャンパス>研究環境と利便性を兼ね備えた産学官地域連携拠点

2000年に川崎市との協働のもと開設された新川崎タウンキャンパスは、日吉・矢上キャンパスと直線距離で2km足らずの川崎市幸区に位置しています。研究成果を社会に還元する実践的なキャンパスとして、義塾のさまざまなキャンパスの教員・研究者と大学院生が参加し、分野横断型のプロジェクトや最先端技術の産業化を目指す研究等、20件近いプロジェクトが日々進行しています。

このキャンパスの通称は「K²(ケイスクエア)タウンキャンパス」。慶應義塾と川崎市が協力して産学官連携に2乗の成果を挙げるべく、頭文字Kをかけ合わせてK²としました。K²タウンキャンパスは「新川崎・創造のもり」地区内にあり、公園が点在し、緑豊かな環境です。また周辺には大手企業の研究所や先進技術に意欲的な中堅企業が多くあり、セミナー等を通じての意見交換等が盛んに行われています。
プロジェクトの一つとして理工学部の大西公平教授の研究室がK²タウンキャンパスで取り組んでいるのが、「ハプティクスプロジェクト」です。ハプティクスとは、人間の触覚を工学的に伝達・再現・可視化し、それを実用化して社会に活かす技術のことです。

「遠隔の触覚再現には、センサーを用いる方法もありますが、微妙な手触りを感知して細かな動作を再現するには限界があり、世界の多くの研究者が断念しています。しかし、大西研究室が世界で初めて開発した実世界ハプティクスは、位置と力の情報を電気的に制御する技術により、皮膚感覚の手触りと繊細な動作を遠隔操作で実現しました。百聞は一にしかず、まず実体験してください」
理工学部システムデザイン工学科 大西公平(おおにし こうへい)教授
▲理工学部システムデザイン工学科 大西公平(おおにし こうへい)教授
機器の一方にスポンジを置き、無線でつながれた片方の機器のレバーを押すと遠隔操作でスポンジを押す手触りがリアルに伝わります。またマジックテープを剥がした時のベリベリという微妙な感覚も正確に再現します。さらに遠隔会議システムの画面を見ながら矢上キャンパスの研究室にある風船を割る体験では、遠く離れた場所にある風船の弾力も割れた瞬間の手応えも、驚くほどリアルに伝わってきました。

「医学部の要請で手術ロボットを開発するために始めた研究ですが、この実世界ハプティクス技術は手術に限らず、さまざまな遠隔作業に活用できます」

K²タウンキャンパス発の先端テクノロジーとして、実用化される日も遠くありません。

矢上との行き来はシャトルバス。仮眠設備も完備

理工学研究科後期博士課程2年 谷田和貴君・理工学研究科修士課程1年 許 倩南君
▲(左)理工学研究科後期博士課程2年 谷田和貴(たにだ かずき)君
(右)理工学研究科修士課程1年 許 倩南(きょ せいなん)君
谷田和貴君と許倩南君は、共に大西公平研究室で学ぶ大学院生。大西研究室は、研究テーマによってキャンパスが分かれており、主にK²タウンキャンパスではハプティクス、矢上キャンパスでは二足歩行ロボットを研究しています。

「僕は両方に関わり、2つのキャンパスを頻繁に行き来しています。K²タウンキャンパスは研究室が広く、実験や作業がしやすいのがメリット。厚生棟のK²ハウスには仮眠設備もあり、泊まり込みの実験も苦になりません」(谷田君)

「私の研究室はK²タウンキャンパスですが、授業は矢上キャンパスなのでやはり移動します。シャトルバスで10分。授業時間に合わせて運行しているので便利です」(許君)

公園や池がある静かな環境で研究に集中できるのもK²タウンキャンパスの魅力。2人とも大西教授のもとで、世界最先端の研究に携わっていることに確かな充実感と強い使命感を抱いています。
※[特集] ひろがる慶應義塾—地域連携キャンパスと国内外の拠点(2)は12月22日ごろ掲載予定です。