メインカラムの始まり

塾生の「くらし」(3)~県人寮~

 
2013/10/16  慶應義塾

現在、義塾の学部生(2~4年生)のほぼ3割にあたる約6300名が、親元を離れて暮らしています。アパートなど、住んでいる場所はさまざまですが、今回は学生寮、シェアハウス、県人寮での「くらし」にスポットをあてました。実際の住まいを訪ねて塾生の生の声を伝えます。
(「塾」2013年SUMMER(No.279)掲載、特集『塾生の「くらし」』より)

塾生の「くらし」(1)~学生寮~(2013/10/02掲載)
塾生の「くらし」(2)~シェアハウス~(2013/10/09掲載)

[CASE3 県人寮]
故郷の仲間とエイサー踊りで盛り上がる——沖縄県学生寮 南灯寮(なんとうりょう)東京都狛江市

金城雄大君
沖縄出身の金城雄大君が暮らしているのは、沖縄県学生寮 南灯寮。個室、朝夕食事付き(日曜はなし)、規定光熱費込み(たまに超過するがプラス1000円ほど)で月に4万2000円はリーズナブル。ただし入居期間は最短修業期間の半分、大学(4年制)なら2年間と決まっている。沖縄復帰祭、寮祭ではエイサーを演じる。
掲示板
掲示板には寮祭でのエイサーの写真がたくさん貼られていた。エイサーを通じて寮生の仲間意識が高まることがわかる。
——県人寮に住むことになったいきさつは?

(金城)
義塾で学ぶことになったときに、親が見つけて勧めてくれました。慣れない都会生活なので、同郷人との暮らしが安心だと思ったのでしょうね。僕自身はちょっと一人暮らしをしたい気持ちもありましたが、今ではここでよかったなと満足しています。沖縄でも名護出身なので、那覇の高校では寮生活でしたから、共同生活に抵抗はありませんでした。
金城雄大君の部屋
——門にはシーサーが、庭にソテツが植わっていて、故郷を感じさせる寮ですね。

(金城)
それはあまり意識しませんが、入学当初は学校での緊張が、寮に帰るとほぐれたのは確かです。たとえば東京では名字で呼び合うのですが、沖縄では名前で呼ぶのが普通。男子だけでなく、女子からも「雄大」と呼ばれますから。そう呼ばれるだけでなごみます。

——女子?ここは男子学生寮ですよね。
金城雄大君
理工学部2年 金城雄大(きんじょうゆうだい)君
(金城)
ここは男子寮ですが、別の所に女子寮があり、お互いの寮祭などで交流があります。共同でエイサーを踊るのが伝統になっていて、それぞれの寮祭だけでなく、5月の沖縄復帰祭には寮のそばの商店街で太鼓をたたいて踊ります。4月半ばから夕食後の食堂でエイサーの練習が始まり、寮生同士が一気に親しくなります。休みの日には一緒に買い物や遊びに行くし、今は旅行を計画しています。

——寮生活で困ることは?

(金城)
特にありません。ゴミ出し当番と、月一回の全員での廊下と食堂の掃除がありますが、嫌ではないですし。それより、学外の友達ができるのが嬉しいですね。寮で育まれた友人関係は、社会人になっても続くことが多いようです。

塾生の「住まい」いろいろ

日本人家庭に「下宿」する商学部3年女子(ベトナム出身)
○家族ぐるみの付き合いがある日本人家庭に下宿。同世代の子どもが3人いる家庭で、日本の暮らしを体験中。日本企業の奨学金を受けている。

「日本語能力試験1級を取得後に来日し、語学学校を経て、義塾に入学しました。来日時から今の家庭に下宿し、日本のお母さんが作る味噌汁、豚汁、肉じゃがなどの家庭料理が大好きになりました。ベトナムの家族とは週3回、長い時は1時間もスカイプで話すので全然寂しくありません。通学に2時間かかりますが、7時に家を出て遅刻はしません。」


香川県育英会「東京学生寮」に住む文学部4年女子(香川県出身)
○財団法人香川育英会が運営する東京学生寮。三田キャンパスから徒歩90秒。朝夕食付で月5万4000円。個室は家具付き。冷蔵庫とテレビは購入。

「高校の掲示板で見つけて入寮。部屋が5・4畳と狭く、母は心配しましたが、私は物にすぐ手が届く便利さが好きです。寮では讃岐弁。高校時代に顔だけ知っていた人と、寮で仲良くなりました。サークルのチアリーダーズ・ユニコーンズの練習で疲れ果てて寝に帰るような時も、寮の友達が心配して声をかけてくれます。都心なので就職活動にも便利です。」

DATAで見る コスト編

「慶應義塾大学学生生活実態調査報告(第26回)」によれば、親元から離れて暮らす「自宅外」の塾生と親元から通う「自宅」の塾生の1カ月の平均収入額を比べると、「自宅外」は約14万円、「自宅」が約6万円です。その差額8万円は、主として、「自宅外」の「住居費および光熱費」約6万5000円と、「食費および外食費」の差額(「自宅外」約3万円、「自宅」約1万6000円)に充てられています。

2000年以降の同調査(隔年実施)によると、「自宅外」の総収入額は、2000〜08年までは約16万円でしたが、2010年から約14万円とおよそ12%減少しました。

また、ここ1年間でアルバイト経験のある塾生は、「自宅外」63%、「自宅」75%で、「自宅」の方がアルバイト率が高くなっています。職種としては家庭教師や塾講師が多く、アルバイト収入の使い道(2つまでの選択回答)として多かったのは「食費」(「自宅外」47%、「自宅」32%)や「交際費」(「自宅外」41%、「自宅」45%)で、書籍代は両者とも約11%にとどまりました。

一方、奨学金を必要とする学生は年々増加傾向にありましたが、2010年をピークに2012年は若干減少。しかし、奨学金を「非常に必要としている」、「どちらかといえば必要としている」と答えた「自宅外」は58%で、「自宅」も40%にのぼります。
※1 調査に回答した学生全体の収入総額の平均。
※2 家族から仕送りのある者、アルバイトをしている者、奨学金を受給している者の額を収入別に平均した額。