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福澤先生ウェーランド経済書講述記念講演会開催

 
2012/05/16  慶應義塾

戊辰戦争のさなかの慶応4年5月15日、江戸中が騒然とする中、福澤先生は動ずることなくいつものように舶来のウェーランドの新著を講述し、学問研究の一日もゆるがせにできない事を塾生に示しました。慶應義塾ではこれを記念し、5月15日を「福澤先生ウェーランド経済書講述記念日」として毎年記念講演会を開催しています。

今年は5月15日(火)、三田演説館にて米山光儀 教職課程センター教授・福澤研究センター所長により、「『修身要領』再考」という演題で講演会が行われました。

米山教授は、道徳・徳育について福澤諭吉の考えや慶應義塾の在りようを時系列に沿って明らかにしつつ、いかにして「成文化されたモラルコード」が必要とされ、『修身要領』の成立に至ったかを講演しました。
生活上の行儀には頓着せず、塾生たちがひたすら学問に打ち込んだ築地鉄砲洲時代、「風儀」への取り組みが図られるようになった芝新銭座時代、そして「善き習風」が塾生に求められた三田移転後の時代。そうして、1896年にはついに『慶應義塾の目的』が語られるに至りました。「気品の泉源、智徳の模範」を謳ったこの文章はいかにも名文ですが、裏を返せば、義塾においてこれらの「風」が達成されていなかったからこそ生まれたものであり、そこに福澤の危機感と期待感があったのではないかと米山教授は考察しました。
このような背景を経て1900年に発表されたのが『修身要領』であり、その全国的普及に専念するべく、福澤は義塾を廃止する意向をも示したことが紹介されました。

当日は雨天にもかかわらず、演説館は立ち見が出るほどに聴講者が集まり、皆熱心に耳を傾けていました。

なお、講演録は慶應義塾機関誌『三田評論外部サイトへのリンク』に掲載予定です。
講演する米山教授
▲講演する米山教授
聴講席の様子
▲聴講席の様子

講演会の様子
▲講演会の様子
新緑の中の三田演説館
▲新緑の中の三田演説館

撮影:石戸 晋