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福澤先生ウェーランド経済書講述記念講演会開催

 
2010/05/17  慶應義塾

戊辰戦争のさなかの慶応4年5月15日、江戸中が騒然とする中、福澤先生は動ずることなくいつものように舶来のウェーランドの新著を講述し、学問研究の一日もゆるがせにできない事を塾生に示しました。慶應義塾ではこれを記念し、5月15日を「福澤先生ウェーランド経済書講述記念日」として毎年記念講演会を開催しています。

今年は5月14日(金)、三田演説館にて、松崎欣一名誉教諭により、「『福翁自伝』の成り立ちについて-晩年の福澤諭吉-」という演題で講演会が行われました。

晩年の福澤諭吉は、自身の著述や翻訳の集成として『福澤諭吉全集』を編纂し、『全集』に収録された主要な作品を解説し、著述・翻訳活動に込められた思いを自ら綴った『福澤諭吉全集緒言』を執筆、出版しました。また自身の生涯を口述し、その速記草稿に綿密に手を入れて『福翁自伝』としてまとめあげました。松崎名誉教諭は、福澤のこれらの活動にどのような意図があったのかを論じました。

松崎名誉教諭は『自伝』と『緒言』が福澤自身の前半生に大きな比重をおいて書きあげられたように見えることにふれ、晩年の福澤がその生涯を振り返る中で、自らのかかげた明治維新変革期の理想と、日本の社会が到達した現実との乖離を痛感し、あらためてその原理に立ち帰ることの必要を認識したことが理由ではないかと述べ、そこに次の世代に託されたメッセージがこめられていると論じ、演説館を埋める約130人の聴衆は熱心に耳を傾けていました。

なお、講演録は慶應義塾機関誌『三田評論外部サイトへのリンク』7月号に掲載予定です。
三田演説館
▲三田演説館
演説館正面に福澤諭吉像、左はウェーランドの肖像
▲演説館正面に福澤諭吉像、左はウェーランドの肖像

松崎欣一名誉教諭
▲松崎欣一名誉教諭
会場の様子
▲会場の様子

撮影:石戸 晋