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第688回三田演説会開催「演劇人・高橋誠一郎 -観客として・先導者として-」

 
2009/07/28  慶應義塾

7月24日(金)に、第688回三田演説会が開催され、塾員(1982年経済学部卒業)で演劇評論家の犬丸治氏が「演劇人・高橋誠一郎 -観客として・先導者として-」というテーマで講演を行いました。会場となった三田演説館には多くの塾員、学生、一般の方や教職員が来場しました。

犬丸氏は講演の中で、歌舞伎の劇評家や愛好者の中には、すでに鬼籍に入った俳優の往年の名演技を思い出しては悦に入って若い世代に語って聞かせる人(俗に「團菊爺」と呼ばれる人)がいますが、観客としての高橋誠一郎はそうした懐古趣味的な歌舞伎の見方に陥ることなく、むしろ過ぎ去った時代の単純な美化とは距離をとり、時代を相対化して捉える人だったと語りました。さらに、高橋誠一郎がこうした視点を持ちえた理由を彼の幼少期の体験、とりわけ歌舞伎座開場以前の小芝居との出会いや、新劇・新派等を含む日本近代演劇の揺籃期に多感な少年時代を送った体験の中に探り、先導的見巧者としての高橋という一面を紹介しました。

来場者は真剣に耳を傾け、劇聖と謳われた九代目団十郎や「オッペケペー節」で一世を風靡した川上音二郎など、明治の俳優に思いをはせつつ講演会を楽しみました。講演後は質疑応答が活発に行われました。

この講演の内容は、慶應義塾機関誌『三田評論』外部サイトへのリンク10月号(2009年10月1日発行)に掲載される予定です。
歴史ある三田演説館
▲歴史ある三田演説館
講演会の様子
▲講演会の様子

講演する犬丸治氏
▲講演する犬丸治氏
熱心に聞き入る聴衆
▲熱心に聞き入る聴衆

撮影:石戸 晋