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サー・ティム・ハントに対する慶應義塾大学名誉博士称号授与式、講演会「ノーベル賞を獲る方法: ある生化学者の海辺のアドベンチャー」開催

 
2008/06/13  慶應義塾

6月11日午後3時から、三田演説館にて、英国癌研究所主席科学者サー・ティム・ハントに対する慶應義塾大学名誉博士の称号授与式、引き続き北館ホールにて、UK-Japan 2008 英国人ノーベル賞受賞者によるレクチャーシリーズ第3回講演「ノーベル賞を獲る方法: ある生化学者の海辺のアドベンチャー」が行われました。

授与式は、河上裕医学部教授の司会のもと、医学部および大学院医学研究科を代表して、岡野栄之医学研究科委員長が推薦文を朗読しました。続いて、安西祐一郎慶應義塾長が名誉学位記を授与するとともに、式辞を述べ、それに応えて サー・ティム・ハントは「全てのものは変化し、変わらないものはない。科学の役割は世界をありのままに捉え、そこから真理を引き出すこと。異なる文化的背景を持つ科学者間の交流はとても重要」と挨拶をされて授与式は終了しました。

この後、「UK-Japan 2008 英国人ノーベル賞受賞者によるレクチャーシリーズ第3回講演」としてサー・ティム・ハントの講演がありました。講演会は坂本達哉常任理事が司会を務め、開始に先立ち、安西祐一郎慶應義塾長とグレアム・フライ駐日英国大使が挨拶、岡野栄之医学研究科委員長からサー・ティム・ハントの紹介がありました。講演では、生い立ちやなぜ化学に興味を持つに至ったか、研究者として初期に取り組んだ研究課題「グロビン蛋白質の合成にヘムがどう関与するか?」や、夏期の滞在先のウッズホール海洋研究所でのウニ受精卵を用いたシンプルな実験からサイクリンを発見した経緯に触れられました。また、ご自身の体験から、ノーベル賞を獲るには、予想外の結果が出た時がチャンスであり、慧眼を養うには旅に出て色々な人と出会って啓発しあうことが大事であるという触発的なメッセージを送ってくださいました。講演後の質疑応答では、学生の時に何をしておくべきかという質問に、イギリスでは人気がないけれど、化学の基礎をしっかり身につけるのがよいと答えられました。

サー・ティム・ハントによる細胞周期をコントロールする因子「サイクリン」の発見は、生物学はもとより、基礎医学から臨床医学に至るまで幅広い分野に多大な影響を与えています。この「サイクリン」の発見によって、癌細胞の過剰な増殖の仕組みの解明が進み、癌の病態の解明や診断や治療にも役立てられています。また、日本にもたびたび滞在され、若手研究者の育成にも力を注がれています。

慶應義塾は2008年、日本の近代総合学塾として初めて創立150年を迎えました。慶應義塾創立150年と日英の外交関係150年を記念して、慶應義塾・駐日英国大使館共催による、英国人ノーベル賞受賞者、とりわけ科学とイノベーションの分野において卓越した才能を開花させた英国人ノーベル賞受賞者による一般公開講演会「UK-Japan 2008 英国人ノーベル賞受賞者によるレクチャーシリーズ」を開催しています。次回は、7月11日に1996年ノーベル化学賞を受賞されたサー・ハロルド・クロトーの講演会外部サイトへのリンクを開催予定です。
安西塾長から名誉博士学位記を授与
▲安西塾長から名誉博士学位記を授与
挨拶するサー・ティム・ハント
▲挨拶するサー・ティム・ハント

講演会でのサー・ティム・ハント
▲講演会でのサー・ティム・ハント
講演会場の様子
▲講演会場の様子

撮影:石戸 晋