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サー・ハロルド・クロトーに対する慶應義塾大学名誉博士称号授与式、同氏による講演会「科学、社会、サステナビリティ」開催

 
2008/07/15  慶應義塾

7月11日午前10時20分から、三田演説館にて、サー・ハロルド・クロトーに対する慶應義塾大学名誉博士の称号授与式、及び北館ホールにて、創立150年記念 UK-Japan 2008 英国人ノーベル賞受賞者によるレクチャーシリーズ第4回講演「科学、社会、サステナビリティ」が行われました。

授与式では、ワグネル・ソサイエティ男声合唱団・女声合唱団のコーラスのなか、サー・ハロルド・クロトーが入場、中嶋敦教授の司会のもと、真壁利明理工学部長が推薦文を朗読しました。続いて、安西祐一郎慶應義塾長が名誉学位記を授与するとともに、式辞を述べ、それに応えてサー・ハロルド・クロトーは挨拶のなかで、福澤諭吉が教育に果たした役割に触れ、現代のグローバルな教育の大切さを強調しました。

引き続き、「UK-Japan 2008 英国人ノーベル賞受賞者によるレクチャーシリーズ第4回講演」としてサー・ハロルド・クロトーの講演がありました。講演会は坂本達哉常任理事が司会を務め、開始に先立ち、安西祐一郎慶應義塾長とグレアム・フライ駐日英国大使が挨拶、中嶋敦教授からサー・ハロルド・クロトーの紹介がありました。講演では、模型玩具メカノ (Meccano)の組み立てによって科学に興味を持った幼少時代の話や、研究や科学の探求は、政治的宗教的な立場を越えた普遍的な真理の追求であることなどについてスライドを使いわかりやすく話されました。この後、幼稚舎を訪れ、幼稚舎生との交流のなかで「どうしたらノーベル賞をとれますか」などの質問に丁寧に答えました。

サー・ハロルド・クロトーによる「フラーレン」をはじめとする炭素新物質の発見は、炭素ナノチューブなど新たな構造体を含めて、最先端医療材料や、21世紀のエネルギー関連素材などとして、幅広い分野での活用が期待されています。「フラーレン」はダイヤモンドと同じく、炭素のみでできた物質です。炭素は、タンパク質、糖、アミノ酸などの炭素化合物として体内に存在し、生命維持活動の全般にわたって重要な役割を担っています。

サー・ハロルド・クロトーは1985年、リチャード・スモーリー教授(アメリカ・ライス大学)とロバート・カール教授(同大学)との共同研究において、ヘリウム中で黒鉛をレーザーによって蒸発させることによって炭素原子60個から構成される中空構造の球状新物質を発見しました。論文発表では、グラフィックアートを趣味としているサー・ハロルド・クロトーの案で、この分子形状に似たドームを設計したリチャード・バックミンスターフラーという米国の建築家にちなみ、C60分子をバックミンスター・フラーレンと名づけ、現在はこれら一連の中空構造の炭素化合物は「フラーレン」と広く呼ばれています。1996年には、新物質「フラーレン」を発見した功績が称えられてノーベル化学賞をスモーリー教授とカール教授とともに受賞しました。また、英国王立協会より 2001年にはマイケル・ファラデー賞を、2002年にはコプリ・メダルをそれぞれ受賞され、2007年には全米科学アカデミー会員に選出されました。このほかにも、「フラーレン」の発見までに至る研究の中で、炭素とリンの原子の二重結合の発見や星間ガス雲中での長鎖炭素関連分子(シアノポリイン)の同定など、数々の新物質の発見をしています。

慶應義塾は2008年、日本の近代総合学塾として初めて創立150年を迎えました。慶應義塾創立150 年と日英の外交関係150年を記念して、慶應義塾・駐日英国大使館共催による、英国人ノーベル賞受賞者、とりわけ科学とイノベーションの分野において卓越した才能を開花させた英国人ノーベル賞受賞者による一般公開講演会「UK-Japan 2008 英国人ノーベル賞受賞者によるレクチャーシリーズ」全4回外部サイトへのリンクを開催しました。
安西塾長から名誉学位記を授与
▲安西塾長から名誉学位記を授与
講演するサー・ハロルド・クロトー
▲講演するサー・ハロルド・クロトー

講演会場の様子
▲講演会場の様子
講演会での質疑応答
▲講演会での質疑応答

▲講演後、聴講者と握手するサー・ハロルド・クロトー 中央はサー・グレアム・フライ駐日英国大使
講演後、聴講者と握手するサー・ハロルド・クロトー
中央はサー・グレアム・フライ駐日英国大使
幼稚舎生とのふれあい
▲幼稚舎生とのふれあい

撮影:石戸 晋