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[ステンドグラス] 教室、学習室、交流スペースが充実 三田の新しい南校舎

2011/08/31 (「塾」2011年SUMMER(No.271)掲載)
南校舎外観
今年3月、三田キャンパスに新しい学び舎、南校舎が完成した。昭和から平成の半世紀にわたり塾生を育んだ旧南校舎の面影をかすかに残しつつ、機能性の高い最新の校舎へと生まれ変わった。
キャスター付き机
天板を立てると、脚からキャスターが現れ自在に移動できる机。ゆったりした椅子は座り心地も良好。
ディスプレイ掲示板
南校舎の6カ所に設置されているディスプレイ掲示板。休講や補講情報が一目でわかる。
三田キャンパスの正門から入ってすぐの南校舎。創立150年記念事業の一環として行われていた建て替え工事が完了し、4月から利用が始まっている。

地下1階・地上7階、中央階段を挟んで、各階の東側は自然光を取り入れるための吹き抜けを設けた教室部、西側はラウンジやホール、グループ学習室などを備えた交流スペース部になっている。

設備や機能は最新式ながら、中庭に続く中央階段や外観などに、旧南校舎と重なる懐かしい雰囲気があり、さりげなく伝統が継承されていることがわかる。

南校舎の建て替え準備会が発足したのは2006年。その後、新時代を導するにふさわしい施設にするために、文・経・法・商各学部の代表教員を中心に、学生部と管財部の職員も加わってワーキンググループが組織され、活発に意見交換が行われた。そして練り上げられたコンセプトは、「教育環境」のみならず、「教育支援環境」と「交流環境」を充実させようというものだった。

「教育環境」充実のいちばんのポイントは、教室を増やしたことである。その数は旧南校舎の36室から45室になり、収容人数は400人以上増えて3146人になった。また文系学部で増加傾向にある少人数授業に対応するために、20人教室を5室設置したことも特徴だ。その他に、40~50人用16室、80~90人用22室200人用2室など教室の種類が増え、学生数に合わせてより適切な大きさの教室を使えるようになった。

学生部各機能が地下に集結し 相談や手続きがスムーズに

「教育支援環境」の最大の改良点は、学生部のワンストップサービスの実現である。総合窓口、学事、学生生活、福利厚生、国際交流、就職・進路など、これまで事務室が分散していた「学生部」の機能を南校舎地下1階に集約した。学生部の各担当が同じフロアにそろったことで、履修から課外活動、留学、奨学金そして進路相談に至るまで、塾生はさまざまな事務手続きを同じ場所で一度に行えるようになった。

またこれまで西校舎にあった「学生相談室」も同フロアに移った。中央階段に向かって左手の自動ドアが入り口となっている。面接室の数も増え、気軽に相談に行けそうだ。
地下1階フロア図

仲間との自主的な学習に役立つグループ学習室

グループ学習室
パーテーションや壁をホワイトボードとして使えるグループ学習室。
PCラウンジとグループ学習室の設置も、「教育支援環境」充実の一環。1階と2階のPCラウンジには、椅子席の他に、気軽に使える立ち席があり、情報をチェックするだけなら立ち席でスピーディーに、またじっくり使うなら椅子席でという使い分けができる。限られたスペースで多くの塾生が効率的にPCを利用できるようにという工夫である。

7階のグループ学習室は、最大16人のスペースが4区画、9人のスペースが8区画の合わせて12区画あり、ゼミの下準備や打ち合わせなどをする塾生たちに大いに利用されている(学生部で要申し込み)。ユニークなのは壁も間仕切りも、すべてがホワイトボードとして使えること。
16人スペースではディスプレイも利用できる。また照明は人感センサー式で、入室すると点灯し退出すると消える省エネ設計になっている。

ところで、日吉や湘南藤沢ほどの面積がない三田キャンパスは、塾生が語り合ったり交流したりするスペースがどうしても不足しがち。「交流環境」の整備充実も南校舎の大きなテーマだった。

その答えのひとつが、7階の屋上テラスである。晴れた日に、オープンエアーのテラスで風に吹かれながら陽光を浴びる気分は格別。勉強に疲れた頭を休めるには最適の場所といえよう。大公孫樹の中庭とともに、三田の新しい人気スポットになりそうだ。学生が自由にくつろげる場所としては、このほかに1階と7階にラウンジが設けられている。

南校舎では、ランチタイムも一味違う。4階の「ザ・カフェテリア」は、全面ガラス張りの明るく、開放的なランチ&喫茶スポット。フレンチやイタリアンなど、本格的な洋食を手頃な価格で食べられるのが好評だ。

塾員のための交流の場 「社中交歡 萬來舍」も

社中交歡 萬來舍
開放的でモダンな交流スペース「社中交歡 萬來舍」。
交流空間は、塾生の施設だけではない。3階には塾員、教職員のための交流の場、「社中交歡 萬來舍」がある。63席の広い交流スペースの他に、12~16席の個室が3室あり、世代や分野を超えた塾員のコミュニケーションの場として活用されている。

5、6階にまたがる680席の南校舎ホールは社会に開いた交流施設。壁面と椅子の色調は単一ではなく、不規則に濃淡が混じっていて、落ち着いたなかにも躍動感を感じさせる。主に講演会、シンポジウム、学会などに利用されるが、各席には余裕をもってパソコンがおける広い折りたたみテーブルが装備されていて、授業の大教室としても十分に使うことができる。

省エネの工夫も随所にある。例えば教室の窓には日光の直射を防ぐ深い庇(ひさし)と、室内に間接光を取り込むライトシェルフと呼ばれる反射板が設置されていて、夏の室温上昇低減や明るさの確保に役立っている。

気になる地震対策は地下1階と地上1階の間に中間層免震構造を採用し、建物への震動を軽減させ揺れを伝わりにくくする構造となっている。
4階 ザ・カフェテリア
5・6階 南校舎ホール
7階 屋上テラス

新・南校舎 各フロアの施設
2階 PCラウンジ、5・6階 南校舎ホール