塾 AUTUMN 2025 NO.328学びと遊びウィークで発表未来社会のエネルゲイア「UniConn」塾生会議で育まれた提案が、慶應義塾の枠を飛び出して今年2月の日本経済新聞社主催のコンテストで最優秀賞を取りました。審査員としてこの提案の発展を見守ってきましたが、万博会場で発表されたこの提案は、堂々としたプレゼンテーションを含めて評価の高いもので教授した。「SDGs+Beyond いのち輝く未来社会」テーマウィークのアドバイザーとして、私もこうした若者からの提案をはじめとした万博での議論を未来につなげたいと思います。村む井い大だ慈じ君文学部通信教育課程万博のテーマである﹁いのち輝く未来社会のデザイン﹂は、私にアリストテレスの﹁エネルゲイア﹂を想起させる。アリストテレスは人間が生まれながらに持つ可能性を現実の活動へと開花させ、生まれてくる充実した状態が幸福だと考え、これを﹁エネルゲイア﹂と呼んだ。まさにこの﹁エネルゲイア﹂の発露を促すための装置こそ我々が7月24日万博で発表した﹁UniConn﹂の構想である。﹁UniConn﹂は全国の学生同士と企業を結びつけて、社会課題解決を目指すプラットフォームアプリである。学生が社会課題に対して思いを投稿し、共感を集め、仲間を集い、具体的なアクションに至るまでを支援する。私は社会課題とは誰しも少なからず抱える困難から始まると考えている。例えば私の友人は、幼時より妹2人のプリでの企業との連携により、学生は活動資金や専門的知見を得られ、企業は自社の課題解決に学生の斬新な視点や行動力を生かすことが可能にな導く。誰しもが日々の瑣さ末まつな雑事にりからい塾 AUTUMN 2025NO.328 政策・メディア研究科 蟹か江え憲の史ち世話をするヤングケアラーであり、家庭環境を理由に進学を諦めた。もし、彼の苦境が早期に社会課題として共有され、支援があれば未来は変わっていたかもしれない。一個人が抱える困難に多くの人が共感し、協力して解決へと導くプロセスが必要である。実際、学生79名を対象に行ったアンケートでも82・2%が社会課題に関心を持つ一方で、すでに行動しているのは20・3%、行動できていない学生の6割が﹁何をして良いかがわからない﹂と回答した。既存のSNSは共感を得ることはできても、世の中でアクションに至ることは少ない。さらにこのアばかりに目を向けて本当に為すべきことを忘れてしまう。それは過去の後悔か、環境のあるべき姿か、どんなに自分自身が恵まれていようとも社会課題はありふれている。そしてあり得たかもしれないより良い未来は私たちが作っていかねばならない。いのち輝く未来社会が﹁エネルゲイア﹂で満ちることを期待している。662024 塾生会議 最終提言を塾長に提出万博での発表り得る点でもアクションへと
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