塾_328号
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ョンを世界に提示し、人類全体の進歩に貢献しようと開催されたのである。その際に世界中から集まってきた来場者が単に展示を見るだけでなく、それぞれがアイデアを交換し、未来社会を﹁共創﹂する機会の創出が積極的に図られたことが今回の万博の大きな特色だろう。時代とともに万博の在り方は変わっていく。しかしその根底には福澤がその重要性を指摘した﹁智力工夫の交易﹂が確かに受け継がれ、より進化した﹁共創﹂へと結実した。今回の万博において、世界中の人々が知恵を寄せ合う姿から多くの万博来場者がそのことを感じ取ったに違いない。福澤の時代から続く万博を舞台にした知の交流は、私たちに新しい未来を創造する力を与え続けている。163年前に﹁ロンドン万博﹂で大きな感銘を受けた福澤が、﹁大阪・関西万博﹂にさまざまな形で参加・貢献した慶應義塾の研究者、塾員・塾生たちを知ったなら、いったいどのような感懐を覚え、何と言っただろうか? みるのも楽しい。り、2005年には愛知で﹁自然の叡智﹂をテーマに﹁愛・地球博﹂が開催され、さらに20年を経て万博は再び大阪に巡ってきた。今、私たちは万博開催にどのような意義を見ves︵いのちに力を与える︶﹂ngves︵いのちをつなforOurves︶﹂。これは﹁SavLves︵いのちを救う︶﹂﹁Empowering﹁ConnectiSocietyngiLiiiLiLi塾 AUTUMN 2025NO.328       があった大阪で開催された。当時の最先端技術と文化が集結したこの万博は戦後日本の復興と発展、まさに高度経済成長期の人々が見た夢を象徴するイベントとなった。いだせるのだろうか?今回の﹁大阪・関西万博﹂が掲げたテーマは、﹁いのち輝く未来社会のデザイン︵DesignngFutureぐ︶﹂というサブテーマに象徴されるように、SDGs達成への貢献や未来社会の課題解決に向けたアイデアや技術の提示を目的としていた。そのため﹁未来社会の実験場﹂というコンセプトのもと、先端技術など世界の英知を集め、地球規模のさまざまな課題に取り組むために新たなアイデアを創造・発信する場とすることを目指した。福澤は﹃西洋事情﹄の中で技術は日進月歩だと述べ、新しい知見を学び続けることの必要性を説いた。現代の万博もまた、最新のイノベーシそんなSF的な想像をして現代に受け継がれる「智力工夫の交易」17『西洋事情』(福澤研究センター提供)1862(文久 2)年、ロンドン万国博覧会での遣欧使節団(「イラストレイテッド・ロンドン・ニューズ」より)21世紀に入

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