今や「大国」となった中国の経済を、経済史の視角から研究しています。学部3・4年生合わせて20名程度とともに学んでいます。加か島じま ゅん経済学部 教授中国を中心とした東アジアの近現代経済史を研究しています。ここで言う近現代とは、19世紀半ばの中国の開港から現在までの、およそ180年程度の期間を指しています。19世紀半ばの時点で、中国は多くの人口と広い領土を擁する巨大な国ではありましたが、国民1人当たりで見れば世界の中で必ずしも豊かな国ではなく、軍事的に見ても強国ではありませんでした。しかし、21世紀の現在では、アメリカと並ぶ﹁大国﹂として国際的に大きなプレゼンスを誇っています。こうした中国の経済発展がどのように実現し、そして今後どこへ向かうのかということは、非常に興味深いテーマです。とりわけ、同じ東アジアの隣国である日本にとって、中国経済の来歴と現状を深く理解することは極めて重要であると言えるでしょう。本研究会では、こうした大きなテーマについてさまざまな角度から研究を行っています。このように書くと、研究会ではもっぱら過去︵近現代とはいえ︶の中国経済について研究していると思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。実際、ゼミ生の関心は、リアルタイムで刻々と変化する中国経済の現状や、その日本経済に対する影響にあることが多く、研究会では現代的なトピックも幅広く扱っています。ただ、一見すると新奇に見える事象も、その発生要因は歴史的に形成されていたり、長期的な構造変動の一部だったりすることが少なくありません。それゆえ、本研究会では、現代的な事象についても歴史的な視角を踏まえて分析・解釈することを重視しています。活用にも力を入れています。日本語、英語に加え、中国語での情報にアクセスしそれを活用する力を身に付けることは、研究のみならずさまざまな分野で生かされます。さらに、中国語のナマの情報を通じて中国の政治・経済・社会・文化に触れ、自国とは異なる多角的な視野を得ることも、本研究会の大きな目標の一つです。また本研究会では、中国語の情報のや まぐ ちめい山口芽衣塾 AUTUMN 2025NO.328 12交わる探究心、 広がる視野 今年 5 年目を迎える加島潤研究会は、中国に関する基礎的知識を身に付けたい人から専門的な研究を志す人まで、個々の関心の幅に応じた学びがある研究会です。香港賭博産業、韓国化粧品産業、シンガポール外資企業参入など、中国はもちろん東アジア地域の産業・経済に関する個性あふれる研究がゼミ全体の学びを豊かなものにしています。これらの研究は日々のゼミ活動を土台としており、今年春には日中高度経済成長比較を行いました。 教授が一人一人を丁寧にサポートしてくださること、のびのびとした雰囲気が魅力だと感じます。ゼミ後には加島教授と一緒に中華料理屋さんへ行くのが恒例になっています。 君 経済学部4年潤じ半学半教中国経済はどのように発展し、どこへ向かうのか
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