教職員執筆の新刊慶應義塾この一冊◉長倉大輔︵経済学部教授︶著﹃将来予測と意思決定のための時系列分析入門│様々な時系列モデルによる予測方法からその評価方法まで﹄ソシム/3080円︵2025年3月︶◉井奥成彦︵名誉教授︶編著﹃動物たちの江戸時代﹄慶應義塾大学出版会/2640円︵2025年4月︶◉原大地︵商学部教授︶著﹃﹁悪の花﹂の旅│ボードレールを読もう﹄慶應義塾大学出版会/770円︵2025年5月︶◉小川原正道︵法学部教授︶著﹃福沢諭吉と大名華族│﹁破壊﹂と﹁創造﹂の理論と実践﹄ミネルヴァ書房/3850円︵2025年5月︶◉金柄徹︵文学部教授︶著﹃韓国の若者と徴兵制﹄慶應義塾大学出版会/770円︵2025年6月︶◉難波ちづる︵経済学部教授︶著﹃日本人戦犯裁判とフランス│インドシナ・サイゴン裁判・東京裁判をめぐる攻防﹄慶應義塾大学出版会/2860円︵2025年6月︶『メディアとしての福沢諭吉─表象・政治・朝鮮問題』”塾 SUMMER 2025NO.327 民主主義の危機を克服する新しい政治の捉え方を考える敵対勢力を悪役“に見立て、扇情的なキャッチフレーズによって広く大衆の支持を得る政治手法を﹁劇場型政治﹂と呼ぶことがある。またカリスマ性のある政治家の名を冠して﹁○○劇場﹂などという言葉がしばしばマスメディアに登場する。本書は﹁演劇と民主主義はその本質において複雑に交錯している﹂という視座に立ち、11人の演劇学者と政治学者が演劇の仮構性・虚構性を生かした政治的発想の転換を模索。著者たちは日本を含む先進国で見られる外国人差別や移民・難民排斥の言説に危機感を覚え、民主主義への無力感と絶望が広まる世界に従来とは異なるアプローチで一石を投じる。平田栄一朗(文学部教授)・北川千香子(商学部准教授)ほか編三元社/3740円(2025年2月)都倉武之(福澤研究センター教授)著慶應義塾大学出版会/4950円(2025年5月)『学問のすゝめ』をはじめとする著作活動や新聞『時事新報』の創刊など、福澤諭吉は明治の近代化を先導したメディアの発信者だった。本書はそんな福澤自身が「メディア」でもあったと捉える意欲的な著作。福澤にとっての文明開化を「交通」というキーワードで提示。福澤の服装や執筆名義を取り上げ言説と行動を考察し、さらに国会開設や災害義援金・被災地支援活動から福澤が考えるメディアと国家、国民の関係を読み解く。そしてたびたび議論されてきた「脱亜論」や「朝鮮問題」への関わりが論じられる。『演劇と民主主義─演劇学と政治学のインタラクティブ』(価格は全て税込/編著者の職名は原則として発行当時のもの)33慶 應 義 塾に 関 連し た出 版 物や 教 職 員の 新 刊 著 書な ど を中 心に 、 本 に 関 す る情 報を お届 け し ま す。B O O KW I N D O W S
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