塾_327号_夏
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本年3月19日に開催された評議員会において2025年度予算が、また、5月27日に開催された評議員会において2024年度決算がそれぞれ可決されました。以下、各々の概要と慶應義塾の財政状況についてご報告いたします。2024(令和6)年度決算の概要事業活動収支決算では、事業活動収入計1983億円、事業活動支出計1887億円となり、基本金組入前当年度収支差額︵事業活動収入計-事業活動支出計︶が96億円の収入超過、当年度収支差額︵基本金組入前当年度収支差額-基本金組入額合計︶が2億円の支出超過となりました。前者である基本金組入前当年度収支差額については予算比で123億円のプラスとなりましたが、事業活動収支差額比率は4・8%となり、中期計画上の目標である8・0%には及びませんでした。収入面では、大学病院の医療収入が過去最大になったほか、円安などの影響もあり資産運用による受取・利息配当金が予算を大きく上回りました。寄付金も株式の現物寄付や幼稚舎創立150周年記念事業募金などにより予算を上回りました。また、外部研究費については前年度から引き続き大型の補助金収入︵世界トップレベル研究拠点プログラム﹇WPI﹈、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業託研究の新規課題採択により付随事業収入も増加しました。支出面では、分野別予算シーリング目標の設定に加え、執行段階でも不要不急の支出が控えられ、予算対比では大幅な抑制が図られました。また、人件費には年金財政健全化のため運用収入増にあわせた追加引当金繰入が含まれます。資金収支決算における施設関係および設備関係支出には、三田キャンパス北別館建設、矢上キャンパス産学官連携棟︵YIL︶建設、日吉キャンパス藤山記念館リニューアル工事に関する支出等が含まれています。2025(令和7)年度予算の概要2025年度予算編成においては、一般会計で基本金組入前当年度収支差額を2024年度予算比10億円以上の改善を目標に掲げ、一般会計・特別会計総括の基本金組入後での収支均衡を目指して、工事予算、IT/PEAKS﹈など︶に加え、受﹇塾 SUMMER 2025NO.327      J-2023年度から、これまで決算・予算の主な数値についDX関連予算など分野別にシーリングを設け、支出の抑制を図りました。また、中期計画、2025年度事業計画をもとに必要な財源を重点課題に向けて優先的に確保することとしました。この結果2025年度事業活動収支予算は、基本金組入前当年度収支差額が5億円の支出超過、当年度収支差額は113億円の支出超過となりました。収入面では、学費のスライド改定による収入増加や高等教育の修学支援新制度による補助金収入増︵同額の支出予算増あり︶、入院稼働率増などに伴う医療収入の増加を見込んでいます。支出面では、高等教育の修学支援新制度による奨学費の増加︵補助金収入の増加と対応︶、慶應義塾公式Webサイトリニューアル経費をはじめとする業務委託費の増加などを見込んでいます。また施設関係および設備関係支出には、各地区カーボンニュートラル対策費用︵照明器具のLED化、太陽光発電設備設置﹇SFC﹈、エネルギーの見える化対応など︶、信濃町地区における世界トップレベル研究拠点プログラム︵WPI︶の整備事業に伴う支出等を含んでいます。義塾財政の近況義塾財政の今後に向けて学内で経常費と呼んでいたものを一般会計、外部研究費と基金に関わる収支を特別会計とする区分を使用しています。これにより主に学費などの収入で賄われる一般会計の収支を把握できるようになりました。次頁以降の数値に内訳は掲載していませんが、最も重要である一般会計における教育活動収支は依然として支出超過が続いており、これを教育活動外収入︵主に資産運用による受取利息・配当金︶でカバーする構造が続いています。引き続き安定した運用収入の確保に努めるとともに、教育活動収支の改善に向けて寄付金をはじめ学費以外の収入確保などを進めます。一方で支出抑制努力を継続してきているものの、構造的な社会保険料などの人件費増、インフレによる経費増はしばらく続くことが予想され、教育研究医療のための安定した財務基盤を確立させ、施設設備の更新のために自主財源を確保できるように今後も財政改善に取り組む所存です。ては、次頁以降に掲載しましたのでご参照ください。28

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