塾_327号_夏
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村む上か俊と之ゆ◉理工学部長1ーリラトルガミらしみき塾 SUMMER 2025NO.327     福澤先生とその門下生たちは、西洋のスピーチ、ディベートを研究し、わが国の「演説」を創始しました。三田演説館は、1875(明治8)年に開館した日本最初の演説会堂です。並行して、産学連携を促進するためにYイIーL︵Yヤagami 竣工しました。YILは産学連携アライアンスを推進する施設として立ち上げられ、現在だけではなく、未来に想定される社会課題を解決する方針を打ち出すために、研究教育に関して長期的な産学連携体制を築くことを目的としています。これには、研究ユニットの深い関わりも期待されています。近年、感染症による未曽有の公衆衛生・経済・社会危機を克服しつつも、カーボンニュートラルやSDGs等への社会的要求は引き続き重要な位置付けにあり、異常気象や自然災害の発生状況から、科学技術の分野において諸問題への積極的な対応が求められていることも事実かと思います。また、生成AIの活用において、産業界、学界等の迅速な対応が求められています。こうした社会背景から、理工学分野の重要性とともに、理工学人材の育成、特に半学半教の下、﹁流れをつくれる﹂人材育成が将来的な社会発展に必要不可欠と考えています。ノベーションIイnnovation Lラaボboratory︶と呼ばれる施設が2025年4月にイギリスの政治家、小説家であるベンジャミン・ディズレーリの名言に﹁変化は不可避であり、変化は不変である﹂というものがあります。激動する現代社会において、身に染みる言葉でありますが、この言葉の意味するところは、社会の変化を敏感に捉え、単に変化に適応するということではなく、自ら進むべき道を明確にすることにあると考えています。このためには、適応性だけではなく、自身のアイデンティティと専門性に基づいた頑健さも必要になります。正に表題にある、﹁流されることなく、流れをつくれる人材﹂が必要であり、今後の社会に求められる人材と考えています。理工学部・理工学研究科では、こうした人材育成を意識しつつ、2026年度から新しい大学院組織をスタートする予定です。基幹教育としては、学部教育からの連続性も大切にしつつ、アイデンティティを保つための専門性を極め、一方で学術的な発展も担保しつつ、社会課題解決に向けた取り組みにも積極的に関与できる研究ユニットと呼ばれる柔軟な組織も外向きに見える形で立ち上げられる予定です。演説館流されることなく、流れをつくれる人材の育成

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