塾_327号_夏
29/40

看護医療学部 教授 ったのに、それを失念していたために手術が延期になるケースは以前から報告されており、入院前の丁寧な説明の重要性が指摘されていました。それに加え、入院前の外来受診時に、日常生活の状況と退院後に予測される身体状況をアセスメントし、必要があれば入院前から退院支援を開始し、場合によってはケアマネジャーとの連携や、地域の訪問看護サービスの紹介などが行われるようになっています。さらに、最近は複雑な治療も外来で実施されるようになり、外来で今後の治療をどうするか話し合いを行ったり、地域の社会資源につないだりすることも増えています。ご自身やご家族の退院後の生活や今後の治療に不安があったら、ぜひ看護師などの医療スタッフに相談し、﹁入退院支援﹂を活用してみてください。永な田た智さ子こがと塾 SUMMER 2025NO.327    病気のために入院すると、治療を受けたのちに退院の日を迎えます。患者さんの多くは、医療スタッフから日常生活の注意事項の説明を受け、次の受診予定を確認した上で退院し、その後は徐々に元の生活に戻ることができます。しかし、中には、退院後も医療機器を用いた治療を継続する場合や、身体が動きにくくなり日常生活に介助を要する状態で退院する場合などがあります。他の病院に転院して回復を待ったり、リハビリテーションをしたりする場合も少なくありません。こうした場合には、入院中から看護師やソーシャルワーカーの支援を受けて退院に向けた準備を進める必要があります。これを﹁退院支援﹂と呼びます。最近では、中規模以上の病院の7割には退院支援を行うスタッフが配置されており、﹁医療連携室﹂﹁地域連携推進部﹂といった退院支援に関わる専門部署を有する病院も多くなっています。入院中は﹁もう少し良くなるのでは﹂という期待もあり、退院後の生活を具体的に想像するのは難しいですが、医師から﹁入院前と同じ身体状況に戻るのには時間がかかる、あるいは難しい﹂﹁治療を継続しながらの退院になる﹂といった説明があった場合は、早めに退院支援の専門スタッフに相談する方が、落ち着いて準備を進めることができるでしょう。もし病院内に専門の部署がない場合は、退院先の居住地の﹁地域包括支援センター﹂や﹁在宅医療・介護連携支援に関する相談窓口﹂に問い合わせてみるのも一つの方法です。入院する日数が短縮化される中、﹁入院前支援﹂も普及しつつあります。治療のために内服薬の一部を中断する必要があ入退院支援─安心して退院するために─27

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る