システムデザイン・マネジメント研究科 国立環境研究所︵前職︶では、人間活動と自然生態系との関係を調査するフィールド科学者として現場で研究に取り組んできました。また、気候変動政府間パネル等の代表執筆者や、グローバル・カーボン・プロジェクトの国際オフィス代表として、京都議定書やパリ協定に関する国際交渉に参加し、科学と政策とのインターリンケージに関与しました。これらのローカルとグローバルな経験を通じて、持続可能な合意形成にはステークホルダーと研究を﹁共創﹂するプロセスが極めて重要であることに気付き、﹁未来社会共創ラボ﹂︵山形研究室︶を2021年にスタートしました。授業では、﹁持続可能都市システム﹂と﹁都市システムデザイン﹂を担当、カーボンニュートラルかつウェルビーイングな都市システムの在り方を学生と共に考えています。実際に現場に足を運んで﹁気付き﹂を得ることを重視し、地元︵竹芝、葉山、北杜等︶の皆さんと連携して大学独自の自由な立場で未来社会を﹁共創﹂するプロセスを学んでいます。気候変動に関する研究では、中長期的に必要となる持続可能な未来社会シナリオの構築と、空間ビッグデータ解析やデジタルツイン技術を活用して、すでに発生している水害や暑熱などのリスクに短期的に対処する、両方の研究を行っています。地方創生に関する研究では、地域に根ざした自然・文化・食に注目して、国内外のハイエンドの旅行者から高い評価が期待される地域を発掘して滞在する﹁テロワール・マイニング・ツーリズム﹂の概念を新たに提唱しました。このような地域では2地域居住での移住者の増加が見込まれ、地域の空き家やモビリティの問題を解決してウェルビーングな地域を再生することが期待されます。この研究では、医師や建築家など多様な専門家と連携して、各地のテストサイト︵ニセコ、長野、出雲、別府、沖縄等︶での社会実装研究に取り組んでいます。さらに2023年から戦略的イノベーション創造プログラム︵SIP︶に参画して、地域独自の課題解決と組み合わせて、未来都市における新たな陸海空のモビリティの可能性をシミュレーションしています。また塾 SUMMER 2025NO.327 カーボンニュートラルでウェルビーング未来社会の共創を目指して教授 山や形が与よ志し樹き新モビリティ(自動運転 EV、水上モビリティ、空飛ぶクルマ)都市計画(快適な住宅やオフィス・歩きやすいまちづくり)地方創生(産業・観光・持続可能性)ライフスタイル(環境・健康・働き方・社会・消費)スマート農業ドローン林業環境と健康を同時に実現する都市・地域づくりで貢献26未来の都市システムにおけるスマートエネマネを実現するデジタルシミュレーョン基盤【社会課題解決】カーボンニュートラル未来都市シナリオSIP の研究概要【人間中心】 ウェルビーイングスマートエネマネ教育・研究の最前線FRONTIER
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