塾_327号_夏
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”塾 SUMMER 2025NO.327︵取材日:5月8日︶すぐに答えが出なくても簡単に諦めないでほしい私は常に全力でプレーをすることがプロの使命と考え、そのためにもケガをしない頑強な身体づくりに励みました。それでも現役時代はケガには何度も悩まされましたが、ジャイアンツの一員として毎試合ファンに与える﹁感動﹂を最も大切に考えていました。││2015年に17年間のプロ生活を終え、翌シーズンからはチームの監督に就任されました。高橋 現役の最後の方では﹁やがて自分もチームの指揮を執る日が来るかもしれない﹂という意識は持っていました。監督を拝命したときは、球団からの期待と評価だと感じてとてもうれしかったですよ。チーム事情が厳しい時期だったので監督として過ごした3シーズンは苦しいことが多かったですけど、困難な時期だからこそ私にチームを任されたと前向きに受け取っていました。監督の仕事とはとにかく試合に勝つこと。そのためには選手と試合をしっかり見る監督としての﹁眼﹂を持つことが何より重要で、選手時代とは同じ試合でも見える全く異なります。監督在任中は優勝こそるでしょう。しかし、人間の心と身体を使うスポーツはすぐに答えが出るモノではないという側面もあります。私自身の経験を振り返っても、試行錯誤した結果、ようやく得た答えがたくさんありました。若い選手にはすぐに結果が出なくても焦らないでほしいと思っています。││では、最後に野球部の後輩たちを含む塾生へのメッセージをお願いします。高橋 かつて自分が戦った東京六大学野球を観戦することは今も毎年の楽しみです。力を尽くして戦う後輩たちをこちらも全力で応援し、共に勝利の喜びを味わっています。あまり野球に関心がない塾生の方もいらっしゃるかもしれませんが、一度、試合に足を運んで、同じ大学の仲間が頑張っている姿を見てほしい。東京六大学野球の思い出は卒業後も共通の話題として盛り上がりますし、そこから新たな人間関係が芽生えることもあります。慶應義塾で過ごした4年間は私にとってほんとうに素晴らしい日々でした。何より良かったのは今も仲良くしているたくさんの仲間と出会えたことです。もし可能であればもう一度あの頃に戻りたいとさえ思います。││本日はありがとうございました。できませんでしたが、野球というスポーツを捉え直すかけがえのない経験となりました。││現在は評論家・解説者、また球団特別顧問などさまざまな立場で野球に関わっていますが、日本のプロ野球の未来をどう見ていますか。高橋 MLBの大谷翔平選手の活躍が連日伝えられていますが、日本のプロ野球もグローバル市場を意識する時代になったと思います。またサイエンスを取り入れた練習やIT技術を駆使したマーケティングなど、プロ野球全体が大きな変革期にあるように思います。一方で、野球という競技そのものは変わりません。最近の若い選手には、すぐに練習の結果を求める傾向があるようにも思えます。もちろんサイエンスに基づいた合理的な練習で早く結果を求めるというやり方もあ光景“が15東京六大学野球連盟 100 周年記念のレジェンド始球式に登板(写真提供:慶應スポーツ新聞会)

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