談話室マーケティング研究という名の免罪符塾 SPRING 2025NO.326 商学部 教授 清し水みず 私の研究領域はマーケティング、その中でも消費者の買い物や消費行動を研究する﹁消費者行動論﹂を専門としています。マーケティングに興味を持ったきっかけの一つに、湘南で食べたハンバーグ定食が、普段日吉裏︵ひようら:日吉駅の慶應とは反対側のことを指す慶應用語︶で食べるそれよりもおいしいのはなぜか、を考えたことが挙げられます。学生時代に日吉で運悪く︵?︶土曜日2限に必修科目があった私は、友人と﹁午後は湘南!﹂をモチベーションに、何とか授業に出席していました。授業の後、その友人の車内でサザンや大瀧詠一を聴きながら湘南のファミレスに赴き、海を観ながら食べたハンバーグ定食がすこぶるおいしかったのを覚えています。週末に、友人とお気に入りの音楽を聴きながらドライブし、眺めのいい場所で食事をすれば、普段の食事もおいしく感じる。マーケティングの要素がいっぱい詰まったこの経験が、今日の自分の礎になるとは、その時は夢にも思いませんでした。そんなきっかけでこの世界に足を踏み入れた私が、数あるマーケティング研究の中で﹁消費者行動論﹂を専攻したのは、ある意味必然だったのかもしれません。消費者の買い物や消費行動は、その人の経済的要因や価値観だけではなく、買い物する際の雰囲気、SNSの情報などの要因に左右されます。研究のゴールは、消費者の行動を正確に予測し企業のマーケティング活動に生かすことですが、その解明には消費者の立場で考えることも必要です。このため、普段は机に向かって消費者に関する各種データや文献と格闘している私ですが、研究に詰まったときは、ふらっと近隣の繁華街やアウトレットモールに車を走らせ、自ら消費者の立場を実践しています。他人から見れば﹁レジャー﹂ですが、私にとってはれっきとした﹁研究活動﹂。﹁マーケティング研究﹂という名の免罪符のお陰で、気持ちよく買い物をしています。ちなみに日吉の当該科目は、ハンバーグ定食のお陰もあり、無事、単位取得ができました。当時は土曜日の必修科目を恨みましたが、今となってはいい思い出です。教員によるエッセイコーナーきら30今でも時々食べたくなります買い物もしていますが研究成果も出しています聰あ
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