8塾 SPRING 2025NO.326授業で「太宰治」に出会うまで小説にはそれほど興味がなかった││金子さんは子どもの頃から読書好きだったのですか。金子 まったくそんなことはなくて、小学生のときでしたら﹃週刊少年サンデー﹄や﹃週刊少年ジャンプ﹄などマンガばかりを読んでいました。文字で書かれた小説はあまり読んだ記憶がないです。覚えているのは、今回私の本を出版してくださっている講談社の児童向け小説叢書﹁青い鳥文庫﹂に入っていて学校の友達にも人気があった、はやみねかおるさんの作品ぐらいでしょうか。あとは虫が好きだったので﹃ファーブル昆虫記﹄とか。ゲームは大好きで、友達との話題もマンガやゲームのことばかりだったように思います。中学生になったら友人の勧めで東野圭吾さんや伊坂幸太郎さんのミステリー作品を面白く読むようになったのですが、国語にはむしろ苦手意識がありましたね。ずっと作文や小論文は不得意だと思い込んでいて、まさか自分が小説を書くようになるなんて思いもしませんでした。││金子さんは小学校から高校までの一貫教育校に通われていたそうですが、進【かねこ れいすけ】2016年商学部卒業。在学中に公認会計士試験に合格し、卒業後は監査法人に勤務。慶應義塾志木高等学校在学中から小説の執筆を始め、就職後も数々の文学賞に作品を応募する。2023年、母校がモデルの “啓栄大学附属穂木高等学校”を舞台にした『死んだ山田と教室』で第65回メフィスト賞を受賞し、プロ作家としてデビュー。同作は改稿を加えた上で、翌年講談社より単行本として刊行された。同年には「デスゲーム」を取り入れた『死んだ石井の大群』、慶應義塾大学演劇研究会をモデルにした『死んだ木村を上演』も立て続けに刊行され、期待の新人作家として注目を集めている。小説『死んだ山田と教室』の舞台となった慶應義塾志木高等学校の教室にて作家金子玲介 君志木高校時代に「文学」の面白さに目覚め母校をモデルにした小説で作家デビューを果たす塾員山脈
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