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[慶應義塾豆百科] No.44 塾員

慶應義塾に、「塾員」ということばがあって、現行の「慶應義塾規約」はこれを次のとおり規定している。

第27条(塾員) ①次の各号の一にあたる者をもって塾員とする。
 1 慶應義塾大学学部又は大学院並びに慶應義塾看護短期大学の正規の課程を卒業した者
 2 慶應義塾がかつて設置した高等部、大学附属医学専門部及び獣医畜産専門学校の正規の課程を卒業した者
 3 社頭の特選した者、社頭空位のときは評議員会の議決により特選した者
 この塾員の特選に関する規則は別に定める。
 ② 塾員たる名誉を毀損する行為があったときは、社頭(社頭空位のときは塾長)は理事会及び評議員会の議決を経て塾員を除名することができる。
 ③ 塾員が慶應義塾の設置する大学及び大学院並びに短期大学に在学するときは、その在学中塾員としての資格を停止する。

つまり、塾員とは一般に義塾の高等教育の課程をおえたものをさし、そしてまたこの塾員は義塾運営の最高決議機関である評議員会を通して、義塾の経営に参加しうることになっている。

ところで、このような塾員の制度というものがいつからはじまったかというと、起源は明治22年(1889)にさかのぼる。すなわち、同年8月にそれまでの「慶應義塾仮憲法」に代わるものとして、「慶應義塾規約」が制定され、その第3条に「慶應義塾卒業生と、社頭の特撰せる者とを以て、慶應義塾々員とす」という規定がはじめて出来て、しかも塾員は評議員の選挙権および被選挙権を与えられることになったのであった。しかし、このときそれ以前卒業生に対しても、この趣旨を説明して各人に塾員たることの承諾を求めたところ、当初はこれをことわってきたものもないではなかった。

そして、承諾のあったものについてとりあえず刊行された明治23年5月の塾員姓名録では、登録された人員686名であったのが、それから100余年を経て平成5年12月刊行の「塾員名簿」に収載されている人員は、故人を除き実に22万5000人になんなんとしている。