[プレスリリース]
慶大SFC4年生が未知のアミノ酸「運搬役」遺伝子を大量発見
慶應義塾大学環境情報学部4年生の菅原潤一君と慶應義塾大学先端生命研究所の冨田勝所長、金井昭夫教授らの研究グループは微生物のゲノム配列からtRNAというアミノ酸の「運搬役」遺伝子を同定する高性能なソフトウェアを新たに開発し、今まで未発見であったtRNAを大量に発見することに成功した。
バクテリアから人間に至るまで、生物の細胞は大部分をタンパク質によって構成されている。タンパク質は細胞内で20数種類のアミノ酸を結合することによって合成されているが、その合成過程において「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」などのアミノ酸すべてにそれぞれ決まったtRNAとよばれる「運搬役」がいる。ところが古細菌とよばれ地球上に太古からいるとされている微生物種では、生命活動を維持するために必須であるはずの「運搬役」tRNA遺伝子の多くが未発見であり、大きな謎とされてきた。
研究グループは、これまで生物学実験で部分的に同定されてきた古細菌tRNAのいくつかが通常とは異なる分子構造を経て合成されることに着目し、この特徴を調べ上げてコンピュータ上にプログラムした。さらに、このプログラムを基にtRNAを生物の全ゲノム配列から網羅的に探索するソフトウェアSPLITSを開発し、およそ30種の古細菌全ゲノムを大規模解析した結果、51種の新規tRNA遺伝子が新たに発見され、いずれの古細菌種についてもアミノ酸の「運搬役」tRNAのセットをすべて同定することに成功した。この新技術は国際学術誌「In Silico Biology」(6 (2006) 411-418)において発表され、太古の生命体のタンパク質合成系への理解を押し進めるものとなった。また米国マサチューセッツ大学を中心として進められていた、国際的なゲノム解読プロジェクトに参加し、SPLITSを駆使して深海に生息する古細菌種Cenarchaeum symbiosumのtRNA遺伝子を同定することに貢献、菅原君は米国科学アカデミー紀要に掲載された論文に共著者として名を連ねた。現在世界中で数多くの生物のゲノム解読が進められていく中で、未発見のtRNA遺伝子は蓄積していく一方であり、問題視されている。
直接的な国際ゲノムプロジェクトへの貢献により、同グループが開発した新技術の実用性が証明された。
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