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[ステンドグラス] 義塾の歴史が刻まれた カレッジソングを未来に歌い継ごう

2011/05/23 (「塾」2011年SPRING(No.270)掲載)
“陸の王者 慶應”のフレーズで知られる「若き血」のほかにも、義塾には代々歌い継がれてきた多くの魅力的な歌がある。ときあたかも体育会各部の春の対抗戦シーズン。伝統あるカレッジソングの来歴を知り、歌を覚えて、新入生も上級生も、声を合わせて歌おう。

[参考]塾歌・カレッジソング

「塾歌」「若き血」「慶應讃歌」まずこの3曲を覚えよう

※福澤研究センター所蔵
百五十余年の歴史を持つ慶應義塾には、多くのカレッジソングが歌い継がれている。入学式、卒業式などの式典はもちろん、スポーツの応援、そして卒業後の塾員の集いである三田会でも歌われるなど、義塾のカレッジソングは、青春の思い出とともに、一生の宝物である。

新入生はもちろん、「塾歌」と「若き血」は歌えるという上級生も、あまたある義塾の歌にあらためて興味を持ち、一つでも多く歌えるようになってほしい。

新入生にまず覚えてもらいたいのは何といっても「塾歌」「若き血」、そして「慶應讃歌」である。

応援席で肩を組んで歌う これぞ、カレッジソングの醍醐味

若き血 歌詞
“見よ 風に鳴るわが旗を”で始まる「塾歌」は、入学式で聴いたはずだが、耳に残っているだろうか。
 
1904(明治37)年につくられた旧塾歌に代わり、新塾歌として40(昭和15)年11月に制定され、翌年1月の福澤先生誕生記念会で披露された。二代目の塾歌とはいえ、既に70年以上歌い継がれている。

しかし、それよりも古い27(昭和2)年につくられ、義塾社中のみならず日本中に知られているのが、応援歌「若き血」である。
 
03(明治36)年に始まった早慶野球試合は、応援の過熱による20年もの中断を経て、25(大正14)年の東京六大学野球リーグの開始とともに再開された。その応援歌として翌々年から歌われたのが「若き血」なのである。新入生には、何はともあれ神宮球場へ春のリーグ戦の応援に行くことを薦める。應援指導部による歌唱指導もあり、その日から声高らかに歌えるようになる。

「慶應讃歌」は47(昭和22)年に、塾員でシロフォン(木琴)奏者として名高い平岡養一により作詞作曲された。早慶戦終了後に、隣の人と肩を組んで歌うことが恒例になっていて、野球観戦の気分が盛り上がる。

名曲「丘の上」は 早慶戦勝利の歌

“丘の上には空が青いよ ぎんなんに鳥は歌うよ歌うよ……”

この詞をリズムとともに口ずさめる塾生は、普段から野球をはじめ早慶戦を熱心に観戦しているに違いない。なぜならこの「丘の上」は、早慶戦に義塾が勝ったときにのみ歌われる特別なカレッジソングだからである。

「丘の上」はいわゆる応援歌と一線を画し、詞も曲も大変優美なのが特徴だ。作詞は仏文科卒の塾員で詩人の青柳瑞穂、曲はフランス音楽に通じた作曲家の菅原明朗(すがはら めいろう)による。
28(昭和3)年に野球部が早稲田を下し六大学野球を10戦全勝で制覇した直後に披露されたためか、以来、早慶戦に勝利した時にのみ歌われている。ちなみに種目は野球に限らない。

体育会各部はまさに春のシーズン真っ只中。まずはその応援席で、仲間とともに声を合わせてみてはいかがだろうか。今年も多くの新入生を迎え、義塾の歴史が染み込んだカレッジソングは、次なる世代へと歌い継がれることを待っている。