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[半学半教] 最先端科学の成果・新薬をうまく使いこなすには(薬学部教授 黒川達夫)
2012/12/10 「塾」2012年AUTUMN(No.276)掲載
※職名等は掲載時のものです。
研究開発や評価、副作用・薬害の研究等を通じ、多様性に富む社会でどうすれば医薬品を使いこなせるか、そのための社会と科学の合意や手立ての研究を行っています。
研究開発や評価、副作用・薬害の研究等を通じ、多様性に富む社会でどうすれば医薬品を使いこなせるか、そのための社会と科学の合意や手立ての研究を行っています。
黒川 達夫(くろかわ たつお)薬学部教授
近年の分子生物学や遺伝子科学の急速な進歩は、新薬開発や薬物療法に大きな影響を与えています。病気の成り立ちを解明し、そこに現れる遺伝子や細胞内の情報伝達などの変化をキャッチし、それらの連鎖に入り込んでまるでスイッチを入れたり切ったりするように働く医薬品の登場など、とくに今世紀に入ってからの成果にはめざましいものがあります。
しかしその一方で実際の医療の場では実験段階で期待されたような効き目が示されなかったり、期待の新薬が実社会では深刻な安全性問題を起こしたりと、思うようにいかない現実も認めなければなりません。さらに、これらの研究に要する歳月や膨大な開発コストは最終的に製品価格に反映され、価格面から新薬の普及が阻まれるような事態も指摘されています。
日進月歩の科学技術を、現実の社会が受け入れ、使いこなせる医薬品の姿に育てるにはどう開発の戦略を組み、どのように研究を展開すればよいのか。研究室やベッドサイドでの発明・発見を、安全性や有効性、価格などを含め医療の第一線で役立つ形に仕上げるには、何を明らかにし、どこをどのように調べればよいのか。これらを明らかにし、その道標を造り出す科学がレギュラトリーサイエンスです。
科学技術からの新たな提案についての社会との合意形成を常に視野に置いた調査研究になるので、健康、病気や安全に関する価値観、TV報道などによる社会心理学的な要素なども大事な研究対象になります。さらに医薬品は優れた国際商品でもあるので審査や医薬品規制の国際ハーモナイゼーションも欠かせない研究領域です。
できたばかりの「試験管を使わない研究室」ですが、既に大型シンポジウムを開催するなど、積極的な展開を図っています。また来年度から、患者や人間を対象とする試験研究やデータ評価などに取り組む臨床薬物評価学講座と合併し、課題を広げ総合的な展開を図ることにしています。
しかしその一方で実際の医療の場では実験段階で期待されたような効き目が示されなかったり、期待の新薬が実社会では深刻な安全性問題を起こしたりと、思うようにいかない現実も認めなければなりません。さらに、これらの研究に要する歳月や膨大な開発コストは最終的に製品価格に反映され、価格面から新薬の普及が阻まれるような事態も指摘されています。
日進月歩の科学技術を、現実の社会が受け入れ、使いこなせる医薬品の姿に育てるにはどう開発の戦略を組み、どのように研究を展開すればよいのか。研究室やベッドサイドでの発明・発見を、安全性や有効性、価格などを含め医療の第一線で役立つ形に仕上げるには、何を明らかにし、どこをどのように調べればよいのか。これらを明らかにし、その道標を造り出す科学がレギュラトリーサイエンスです。
科学技術からの新たな提案についての社会との合意形成を常に視野に置いた調査研究になるので、健康、病気や安全に関する価値観、TV報道などによる社会心理学的な要素なども大事な研究対象になります。さらに医薬品は優れた国際商品でもあるので審査や医薬品規制の国際ハーモナイゼーションも欠かせない研究領域です。
できたばかりの「試験管を使わない研究室」ですが、既に大型シンポジウムを開催するなど、積極的な展開を図っています。また来年度から、患者や人間を対象とする試験研究やデータ評価などに取り組む臨床薬物評価学講座と合併し、課題を広げ総合的な展開を図ることにしています。
懸け橋をつくる
安本 ひかり(やすもと ひかり)君
薬学部薬学科5年
薬学部薬学科5年
全ての医薬品は研究者の方々の努力の結晶であり、人を病の苦しみから救いたいという願いのもとで創り出されています。しかし、医薬品についての科学的かつ倫理的な判断がおろそかにされたために、医薬品が患者さんに病や治療以上の苦しみを与える原因となってしまったという、目をそらすことのできない事実もあります。私たちは、レギュラトリーサイエンスを通して、このような過ちを繰り返さないようにするだけでなく、後の世代にもより良い医療が提供できるようにすることを目標としています。「薬を育てているのは患者さんである」ということを心に留めながら、「人と薬」ひいては「人と医療」の懸け橋を構築していきたいと考えています。
























